第3章|吃音の訓練・指導法

吃音 第3章

訓練法の分類

直接的訓練 vs 間接的訓練

分類主な技法
直接的訓練(発話への直接介入)流暢性形成法・吃音緩和法・統合訓練・リッカムプログラム・メンタルリハーサル法・DAF(遅延聴覚フィードバック)
間接的訓練(心理・環境への介入)環境調整法・認知再構成法・マインドフルネス・エクスポージャー法・RASS(自然で無意識な発話への遡及的アプローチ)

「メンタルリハーサル法は間接的訓練」は誤り——直接的訓練に分類される。「吃音緩和法は間接的訓練」も誤り——直接的訓練。「ブロックは環境的要因で生じる」は誤り——ブロックは中核症状であり環境要因とは直接結びつかない。

流暢性形成法

流暢な発話パターンを直接訓練する方法:

  • 軟起声(声の開始を柔らかく)
  • 軽い構音接触(調音器官の接触を軽く)
  • やや引き伸ばす発話(発話速度を下げる)
  • 適度なフレージング(区切りを意識する)

「足で床を蹴りながらの発話」は流暢性形成訓練に含まれない(随伴動作を強化する不適切な手技)。「硬起声発声の指導」は流暢性形成と逆方向であり不適切。

吃音緩和法

吃音そのものを修正・受容することを目的とする:

  • 脱感作(吃音への感情的反応を和らげる)
  • 吃音に向き合う姿勢を育てる

リッカムプログラム

  • 幼児・学童向けのオペラント条件付けに基づく直接訓練
  • 両親・家族が日常場面で実施
  • 言語的随伴刺激(「それはスムーズだったね」など)を用いる

メンタルリハーサル法

  • 発話前に頭の中でリハーサルする
  • 直接的訓練に分類
  • バイオフィードバックとは無関係

環境調整法

  • 吃音児の周囲の環境を整える間接的訓練
  • 両親・家族・学校への指導を含む

マインドフルネス・認知再構成法

  • 自己の吃音に向き合うことを目的とする
  • 間接的訓練に分類
  • マインドフルネス:今この瞬間の吃音体験を評価せずに観察する

セルフヘルプグループ(自助グループ)

主な活動目的:心理的共感(経済的援助・疾病予防・介護支援・文化交流ではない)

DAF(遅延聴覚フィードバック)

  • 自分の声を少し遅らせて聴く装置
  • 発話速度を下げる効果がある
  • 発達性吃音者ではDAFで流暢になりやすい

訓練法の組み合わせ一覧

訓練法分類特徴
流暢性形成法直接系統的発話訓練;軟起声・軽い構音接触
吃音緩和法直接脱感作;吃音修正
統合訓練直接流暢性形成と緩和法の統合
メンタルリハーサル法直接発話前リハーサル
リッカムプログラム直接オペラント;言語的随伴刺激;両親が実施
RASS間接自然発話への遡及的アプローチ
環境調整法間接親・学校への働きかけ
認知行動療法間接認知再構成
マインドフルネス間接吃音への向き合い
エクスポージャー法間接回避を減らす段階的曝露