第3章|介護保険と地域包括ケア

対応過去問 11問/難易度 ★★★★☆
この章のねらい:介護保険は、STが訪問リハビリテーション・通所リハ・介護保険下のST訓練で直接関わる制度です。実際に国試でも「言語聴覚士は介護予防訪問リハを行える」「介護支援専門員の受験資格にST実務経験がある」といった形でST自身が問われます。この章は数字(保険者・年齢・自己負担・計画期間)のひっかけが多い章。「保険者は市町村」「第1号65歳・第2号40歳」「自己負担は原則1割」「事業計画は3年」を数字で正確に固定します。自己負担割合など年次依存の数値は改定されるため「◯年時点」と明記します。

3-1 介護保険の基本 ― 保険者と被保険者

介護保険は、加齢に伴う要介護状態を社会全体で支える社会保険です(国民の共同連帯の理念に基づく)。

項目内容
保険者市町村(特別区を含む)。国ではない
第1号被保険者65歳以上(外国人でも住所要件を満たせば含む)
第2号被保険者40〜64歳の医療保険加入者(特定疾病で要介護になった場合に給付)

数字のひっかけ(頻出):
・保険者を「国」「都道府県」とするのは誤り(=市町村)。
・「第1号被保険者は40歳以上65歳未満」は誤り(第1号=65歳以上、40〜64歳は第2号)。
・「被保険者は45歳以上」は誤り(=40歳以上)。

3-2 要介護認定の流れ

サービスを受けるには要介護認定が必要です。申請先・審査主体・区分が問われます。

  • 申請先=市町村(特別区)。家族や事業者による代理申請ができる
  • 認定調査+主治医の意見書による一次判定 → 介護認定審査会(市町村に設置)の二次判定。
  • 区分は要支援1・2+要介護1〜5の7区分
  • 不服申立てを扱う介護保険審査会は都道府県に設置(=介護認定審査会とは別物)。

審査主体の取り違え:
・要介護認定の審査を「都道府県知事が行う」は誤り(=市町村の介護認定審査会)。
・代理申請を「認められない」は誤り(代理申請できる)。
・「介護保険審査会(=不服審査)が都道府県に設置」は正しい。認定の審査会(市町村)と不服の審査会(都道府県)を混同しない。

3-3 給付の種類・自己負担・財源

項目内容
給付の種類介護給付・予防給付・市町村特別給付の3種
自己負担原則1割(所得により2〜3割)〔◯年時点。負担割合は改定される〕
財源保険料 約50%+公費 約50%(国・都道府県・市町村)
介護報酬国(厚生労働大臣)が定める(市町村・住民が定めるのではない)

頻出のひっかけ:
・「利用者負担は3割である」は誤り(原則1割)。負担割合は定番の引っかけ。
・「財源は第1号・第2号被保険者の保険料である」は誤り(公費が約半分を占める)。
・「介護報酬は市町村(自治体)が定める」は誤り(=が定める)。

STが問われる論点:「言語聴覚士は介護予防訪問リハビリテーションを行うことができる」→正しい。「介護支援専門員の受験資格に言語聴覚士の実務経験がある」→正しい。STは介護保険領域の担い手として位置づけられている。

3-4 介護支援専門員(ケアマネジャー)

介護支援専門員はケアマネジメントを担う、介護保険法に基づく専門職です。

  • 登録・介護支援専門員証の交付は都道府県知事が行う(厚生労働大臣ではない)。
  • 証は5年ごとに更新研修を受けて更新。
  • 介護予防サービスも担当。守秘義務がある。

「介護支援専門員は厚生労働大臣の登録を受けなければならない」→誤り。登録・更新は都道府県知事。多くの国家資格が厚生労働大臣免許なのと対比して、ケアマネは都道府県単位である点が狙われる。

3-5 介護保険事業計画と介護保険法の規定範囲

介護保険事業(支援)計画は3年を1期として策定し、保険料も同じ周期で見直します。

「介護保険事業計画は5年間を1期とする」→誤り(=3年1期)。「3年1期」が頻出のひっかけ。

介護保険法に規定されるもの/されないもの

介護保険法に規定(○)介護保険法でない(×)
介護支援専門員/介護認定審査会介護扶助(=生活保護法の8扶助の一つ)
居宅介護福祉用具購入費の支給
介護医療院/地域密着型サービス(看護小規模多機能型居宅介護など)
核心:「介護保険法に規定されていないのはどれか」→介護扶助(生活保護法)。名前が似ていても根拠法が違う(介護保険=介護保険法/介護扶助=生活保護法)。

3-6 地域包括ケアシステム

地域包括ケアシステムは、高齢者が住み慣れた地域で暮らし続けられるよう、サービスを一体的に提供する仕組みです(団塊世代が75歳以上になる2025年を見据えて構築)。

5つの構成要素
医療・介護・予防・住まい・生活支援
  • 単位は日常生活圏域(おおむね30分でかけつけられる範囲=中学校区)で、市町村が主体。都道府県単位ではない
  • 地域包括支援センターが中核。認知症高齢者対策・自立支援・重度化防止を重視。
  • 自助・互助・共助・公助を組み合わせ、専門職と住民が支える。

頻出のひっかけ:
・5つの構成要素に「」は含まれない(=医療・介護・予防・住まい・生活支援)。
・「都道府県単位での支援が基盤」は誤り(=日常生活圏域=市町村)。

3-7 高齢者福祉施設と設置主体

高齢者の施設は、措置施設か・契約(保険給付)施設か、そして誰が設置・経営できるかで区別されます。

施設位置づけ・設置主体
養護老人ホーム老人福祉法の措置施設。地方公共団体・社会福祉法人が設置(医療法人は開設・経営できない
介護老人保健施設・介護医療院医療提供施設。医療法人が代表的な開設主体
有料老人ホーム・調剤薬局医療法人も附帯業務として開設可
頻出:「医療法人が開設・経営できないのはどれか」→養護老人ホーム(措置施設)。介護老人保健施設・介護医療院・有料老人ホーム・調剤薬局は開設できる。設置主体の違いで区別する。
つながる知識:介護保険(第3章)と対をなすのが、租税を財源とする公的扶助(生活保護)です。第4章では生活保護と児童家庭福祉を扱います。「介護扶助」が生活保護法の給付である点(本章3-5)は、第4章の8扶助にそのままつながります。