第4章|公的扶助と児童家庭福祉

対応過去問 14問/難易度 ★★★★☆
この章のねらい:ここは社会保障の「公的扶助(生活保護)」と「社会福祉(児童)」の柱です。STにとって、経済的困難を抱える患者・家族の背景理解や、小児のことばの支援で関わる母子保健・児童福祉施設・障害児通所支援の制度的土台になります。とりわけ言語発達支援では児童発達支援・放課後等デイサービスが実務の場に直結します。国試では「生活保護の8扶助・4原理」「児童=18歳未満」「保護施設5種/児童福祉施設」「委嘱=厚生労働大臣」など、名称と数字の暗記が問われます。生活保護基準額など年次依存の数値は改定されます。

4-1 生活保護の4原理・4原則

生活保護は憲法25条の生存権を具体化する公的扶助で、租税を財源に最低生活を保障します(救貧)。基本となるのが4原理4原則です。

4原理4原則
国家責任の原理申請保護の原則
無差別平等の原理基準及び程度の原則
最低生活(保障)の原理必要即応の原則
補足性の原理世帯単位の原則

原理のひっかけ:「原理」として問われたら国家責任・無差別平等・最低生活保障・補足性の4つ。職種主義・施設保護は原理ではない(居宅保護が原則で、施設保護はその方法の一つ)。「原理」と「原則」を分けて覚える。

補足性の原理=不足分の給付:生活保護は、資産・能力等を活用してもなお不足する場合に、最低生活費の不足分を補う。「最低生活費の不足分が給付される」は正しい。実施機関は福祉事務所で、医療券も福祉事務所が発行する(保健所ではない)。複数の扶助は必要に応じ併給できる

4-2 生活保護の8扶助と給付方法

生活保護には8種類の扶助があります。「生活保護の種類として誤っているのはどれか」で頻出です。

8扶助給付方法
生活・教育・住宅・出産・生業・葬祭扶助原則金銭給付
医療・介護扶助現物給付
覚え方:「生活・教育・住宅・医療・介護・出産・生業・葬祭」の8つ。医療と介護は現物給付、他は原則金銭給付。

相互扶助」は生活保護の扶助ではない(社会保障の理念を表す語)。「生活保護の種類として誤っているのはどれか」→相互扶助。8扶助の名称に紛れ込ませるのが定番。

4-3 保護施設と「措置」「契約」

生活保護法の保護施設は5種です。

保護施設5種
救護施設・更生施設・医療保護施設・授産施設・宿所提供施設

「生活保護法で規定する保護施設でないのはどれか」→介護施設(介護保険法など別制度)。5種の名称を覚える。

措置制度と契約制度

福祉サービスの利用方式は、行政が決定する「措置」から、利用者と事業者の「契約」へと移行してきました。

措置制度(行政が決定)契約制度(支給決定+契約)
救護施設・児童養護施設・婦人保護施設・養護老人ホーム障害者支援施設(障害者総合支援法)
頻出:「措置制度に基づかない施設はどれか」→障害者支援施設(支給決定を受けた利用者との契約で利用)。障害福祉サービスは支援費制度を経て契約利用が基本になった。

4-4 児童福祉法

児童は満18歳未満。児童福祉の基本法です。

項目内容
児童の定義18歳に満たない者(20歳ではない)
児童相談所設置義務は都道府県・指定都市(市町村ではない)。児童福祉司が置かれる
保護者親に限らず、現に監護する者(親権者・後見人等)を含む
児童福祉施設助産施設・乳児院・母子生活支援施設・保育所・児童養護施設・児童自立支援施設など

児童福祉施設の取り違え(頻出):
少年院少年院法に基づく矯正施設で、児童福祉施設ではない。
救護施設・授産施設・更生施設・宿所提供施設生活保護法の保護施設で、児童福祉施設ではない。
・児童福祉施設は助産施設・母子生活支援施設など(根拠法で区別)。

障害児通所支援

児童福祉法の障害児通所支援は次の4つです(STが言語発達支援で関わる場)。

障害児通所支援(○)含まれない(×)
児童発達支援・医療型児童発達支援・放課後等デイサービス・保育所等訪問支援児童デイサービス(旧制度の名称で再編・廃止済み)

4-5 母子保健法

母子保健法は、母性と乳幼児の健康を守る法律です。用語の年齢定義が頻出です。

用語定義
新生児出生後28日を経過しない児
乳児満1歳未満の児(「2歳未満」は誤り)
幼児満1歳から小学校就学前
  • 母子健康手帳市町村(自治体)が交付。
  • 1歳6か月児・3歳児健康診査を規定。
  • 低出生体重児(2500g未満)は自治体に届け出る。
  • 未熟児の養育医療母子保健法に規定(=「養育医療=母子保健法」でセット)。

「乳児とは2歳に満たない児」→誤り(=1歳未満)。年齢区分は「新生児(28日未満)<乳児(1歳未満)<幼児(就学前)」を数字で固定する。

4-6 児童虐待の通告

虐待が疑われる児童を発見したら、市町村・都道府県の福祉事務所・児童相談所へ通告します(児童虐待防止法)。

核心:通告は「疑い」の段階で行ってよく、速やかに通告する義務がある。専門職だけでなく一般国民にも課される義務。確証がなくても通告できる点が重要。

4-7 福祉の担い手 ― 民生委員と専門行政機関

民生委員

  • 選任の流れ:市町村の推薦会 → 都道府県知事の推薦厚生労働大臣が委嘱
  • 無給・非常勤の地域福祉の担い手で、児童委員を兼ねる福祉事務所の事務に協力する協力機関。

「民生委員を委嘱するのはどれか」→厚生労働大臣。都道府県知事は推薦まで。「委嘱=厚生労働大臣、推薦=都道府県知事」を区別する。

社会福祉の専門行政機関

社会福祉の専門機関(○)福祉の機関でない(×)
児童相談所・身体障害者更生相談所・知的障害者更生相談所・婦人相談所・福祉事務所保健所(保健衛生)・公共職業安定所(ハローワーク)(労働行政)
頻出:「社会福祉の専門行政機関はどれか」→児童相談所・身体障害者更生相談所・婦人相談所。保健所は保健衛生、公共職業安定所は労働行政の機関で区別する。
つながる知識:本章の身体障害者更生相談所・障害児通所支援は、第5章障害者福祉(身体障害者手帳・障害者総合支援法)へ直結します。とくに身体障害者手帳の「音声・言語・そしゃく機能障害」はST国試の必修論点で、次章で詳しく扱います。