第3章|読み書き障害

対応過去問 35問/難易度 ★★★★☆

3-1 失読の分類

失読とは後天性の読字障害。大きく「純粋失読」と「失読失書」に分けて理解する。

種類特徴的な誤り責任病巣特記
純粋失読逐字読み・語長効果左後頭葉+脳梁膨大部書字は保たれる
失読失書仮名の読み書き障害左角回漢字が仮名より保たれやすい
音韻失読非語の音読障害左前頭〜側頭葉実在語は読める
表層失読規則化錯読(不規則語で誤る)側頭葉前部(意味記憶)仮名は保たれる
深層失読意味性錯読広汎な左半球損傷機能語・非語の読みが困難

3-2 純粋失読

書字は保たれるが読字だけが障害される解離が特徴。

症状の特徴

  • 逐字読み(1文字ずつ読む)
  • 語長効果(文字数が多いほど困難)
  • 運動覚促通(文字をなぞると読めることがある)
  • 右同名性半盲を合併することが多い

責任病巣(古典型)

左後頭葉(視覚野)の損傷 + 脳梁膨大部の損傷 ↓ 右視野からの視覚情報が 左半球言語野に届かなくなる
⚠️ 純粋失読では書字は正常
(書いた文字を自分で読めない、という状態になる)

3-3 失読失書

読字と書字がともに障害。特に仮名の障害が目立つ。責任病巣は左角回

純粋失読との鑑別

純粋失読失読失書
読字障害障害
書字保たれる障害
漢字 vs 仮名差なし仮名が特に障害
病巣後頭葉+脳梁膨大部角回

3-4 錯読の種類

錯読とは読字の誤りのこと。

種類定義
音韻性錯読音韻の置換・転置「竹藪」→「たやけぶ」
意味性錯読意味的に類似した語への置換「蛸」→「いか」
視覚性錯読形が似た漢字への置換「基地」→「ぼち」
語彙化錯読非語を実在語として読む「天丼」→「てんき」
規則化錯読不規則語を規則通りに読む表層失読の特徴
類音的錯読音が似た語への置換「海老」→「かいろう」

3-5 失書の分類

失書とは後天性の書字障害

種類特徴責任部位
失行性失書文字の形態が崩れる(他の失行と独立して出現)左頭頂葉
前頭葉性失書文字の選択・配列の障害左前頭葉
過剰書字止められない書字右半球損傷
脳梁性失書非利き手(左手)のみの書字障害脳梁
純粋失書書字のみの選択的障害。読字・発話・聴理解は保たれるエクスナー野(左中前頭回後部)
⚠️ 「下前頭回(ブローカ野)」は純粋失書の責任病巣ではない(頻出の引っかけ)

純粋失書の責任病巣(複数あり)

  • エクスナー野(左中前頭回後部)← 最重要
  • 上頭頂小葉・中心後回
  • 側頭葉後下部・角回

3-6 錯書の種類

種類定義
音韻性錯書音韻の置換・転置「さくら」→「さかる」
形態性錯書形が似た文字への置換「侍」→「待」
類音性錯書音が似た別の語「親友」→「新タ」
意味性錯書意味が似た別の語「先生」→「がっこう」

3-7 漢字と仮名の障害パターン

漢字と仮名では読み書きの神経基盤が異なる。

漢字優位の障害(仮名が保たれる)
  • 表層失読・表層失書
  • 角回損傷(失読失書)
仮名優位の障害(漢字が保たれる)
  • 音韻処理の障害(音韻失読・音韻失書)
  • ブローカ失語(書き取りでは漢字が保たれやすい)
⚠️ ブローカ失語では「書き取りで漢字が書けても、書称(自発的に書く)は困難」な場合がある

3-8 引っかけ対策まとめ

❌ よくある誤りの組み合わせ
  • 純粋失読 + 書字障害 → ×(書字は保たれる)
  • 失読失書 + 漢字が特に障害 → ×(仮名が特に障害)
  • 表層失読 + 仮名の読み障害 → ×(仮名は保たれる)
  • 純粋失書の責任病巣 = 下前頭回 → ×(エクスナー野)
  • 音韻失読 + 実在語が読めない → ×(実在語は読める、非語が困難)

確認問題

Q1. 書字は保たれるが読字のみ障害される失読の種類は何か。
Q2. 規則化錯読が特徴的な失読の種類は何か。
Q3. 純粋失読の古典型で損傷される部位を2つ挙げよ。
Q4. 失読失書で特に障害されやすいのは漢字か仮名か。
Q5. 純粋失書の主要な責任病巣(部位名)はどこか。
Q6. 非語(実在しない語)の音読が特に困難な失読の種類はどれか。
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