第4章|失語症の評価・検査

対応過去問 42問/難易度 ★★★☆☆

4-1 代表的な失語症検査一覧

検査名略称特徴
標準失語症検査SLTA日本で最も広く使われる総合的検査
WAB失語症検査WAB失語指数(AQ)を算出。タイプ分類も可能
SALA失語症検査SALA認知神経心理学モデルに基づく掘り下げ検査
失語症語彙検査TLPA類義語判断が特徴。語彙属性を統制
実用コミュニケーション能力検査CADLICFの「活動」レベルを評価
重度失語症検査重度例でも実施可能。非言語課題を含む
失語症構文検査統語理解・産生、理解ストラテジーを評価
標準失語症検査補助テストSLTA-STSLTAで評価しきれない部分を補う
トークンテスト聴覚的理解力・把持力を評価

4-2 SLTA(標準失語症検査)

日本で最も標準的に使われる失語症の総合評価検査。

6領域の構成

  1. 聴く(単語・短文・長文の聴覚的理解)
  2. 話す(呼称・語列挙・文の産生・復唱など)
  3. 読む(文字の理解・音読)
  4. 書く(書称・書き取り・写字)
  5. 計算
  6. 復唱
⚠️ SLTAに含まれない項目
流暢性の定量的評価・失語指数(AQ)の算出
※ SLTAには系列語・語列挙は含まれる

プロフィール(C)から失語型を推定

  • 「聴く」が低く「話す」もさらに低い → ウェルニッケ系
  • 「話す」全般的に低く「聴く」は比較的保たれる → ブローカ系
  • 「復唱」だけが突出して低い → 伝導失語

SLTA-ST(補助テスト)

SLTAでは評価できない部分を補う。

  • 統語機能の精査(まんがの説明→談話レベル)
  • モーラ分解・抽出
  • 文の理解・産生

4-3 WAB失語症検査

  • 失語指数(AQ:Aphasia Quotient)を算出できる
  • 失語タイプの分類が可能
  • 失行の検査項目がある
  • 非言語性知能の検査項目がある(レーヴン色彩マトリックス等)
  • 「はい」「いいえ」で答える項目がある
⚠️ WABには長文の聴覚的理解の検査項目はない(引っかけ頻出)

4-4 SALA失語症検査

認知神経心理学的モデルに基づく。「どのモジュールが障害されているか」を特定するための検査。

主な下位検査

  • 語彙性判断検査(意味理解)
  • 語音弁別検査(語音認知)
  • モーラ分解・抽出検査(音韻操作)
  • 文の理解・産生に関する項目

4-5 TLPA(失語症語彙検査)

認知神経心理学的モデルに基づく。語の親密度・心像性・語長を統制している。

下位検査評価対象
類義語判断意味システム(認知システム)← 特徴的
呼称語彙アクセス・意味→音韻変換
語音弁別語音認知

4-6 CADL(実用コミュニケーション能力検査)

ICFの「活動」レベルを評価。日常的なコミュニケーション場面を想定した課題。

  • 非言語的な反応(ジェスチャー・描画等)も評価対象
  • 発話量を計測する項目がある
  • 計算課題あり(日常場面の計算)
⚠️ CADLは言語機能の評価ではなく「実用的にコミュニケーションがとれるか」を評価する

4-7 重度失語症検査

  • 重度例でも実施可能な課題で構成
  • 非言語記号の理解を評価できる
  • 意味カテゴリー別名詞検査を含む
  • コミュニケーションレベルを評価
💡 SLTAやWABは重度失語症者には実施困難なため重度失語症検査を用いる

4-8 失語症構文検査

  • 統語理解と産生を評価
  • 理解ストラテジー(語順ストラテジー等)を評価できる
  • 4コマ漫画を用いた構文産出課題がある
語順ストラテジーとは

語順通りに最初の名詞を主語として解釈する方略。
この方略を使う患者は受動文や語順が入れ替わった文の理解が困難になる。

4-9 その他の重要な検査

トークンテスト

色・形・大きさの異なるトークン(コマ)を操作。聴覚的理解力と把持力を評価。

  • 色名・形の名称・位置関係語・関係節の理解・聴覚的把持力

モーラ分解・抽出検査

音韻操作能力を評価。キーワード法(仮名文字訓練)の適応判断に使用。

ピラミッドアンドパームツリーズテスト

意味記憶(意味システム)を評価。絵→絵の意味的関連を判断する。

レーヴン色彩マトリックス検査(RCPM)

非言語性知能・視覚的推論を評価。失語症者にも実施可能。WABにも含まれる。

4-10 計算課題の有無・検査の選び方

検査計算課題ICF領域
SLTAあり心身機能
WABあり心身機能
CADLあり(日常場面)活動
SLTA-STなし心身機能
SALAなし心身機能

確認問題

Q1. 失語指数(AQ)を算出できる検査はどれか。
Q2. 類義語判断検査が含まれる検査はどれか。また、それは何を評価しているか。
Q3. ICFの「活動」レベルを評価する検査はどれか。
Q4. 重度失語症者に実施できる検査を3つ挙げよ。
Q5. 統語理解のストラテジーを評価できる検査はどれか。
Q6. WABに含まれない検査項目として頻出の引っかけは何か。
Q7. キーワード法の適応判断のために実施する検査は何か。
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