第3章|聴覚フィルタ・マスキング・臨界帯域

対応過去問 7問/難易度 ★★★★☆
この章のねらい:この章はST聴覚検査の理論的な中心です。マスキングは、左右の聴力差が大きいときに反対耳を遮蔽する聴力検査のマスキング法の原理そのもの。聴覚フィルタ/臨界帯域は、蝸牛(基底膜)の周波数分解能を表し、内耳性難聴で分解能が落ちる=雑音下で聞き取りにくいしくみを説明します。ここは数値と「広い/狭い」の方向を逆に覚えやすいので、「中心周波数が高い→帯域幅は広い」「内耳障害→帯域幅は広がる」を軸に整理します。

3-1 聴覚フィルタと臨界帯域幅

聴覚フィルタは、内耳の基底膜の周波数選択性を反映した帯域通過(バンドパス)フィルタとしてモデル化されます。その帯域幅にあたるのが臨界帯域幅です。

条件帯域幅補足
中心周波数が高い広い低域(〜500Hz)はほぼ一定(約100Hz)、それ以上は中心周波数の約1/4〜1/3オクターブ。1000Hzで約160Hz
音圧レベルが高い広い高レベルでフィルタは広がり、周波数応答は非対称に
感音(内耳性)難聴広い周波数分解能が低下(→雑音下の聞き取り悪化)
フィルタ形状:聴覚フィルタは中心周波数をピークになだらかに減衰するバンドパス特性で、周波数-利得関数の傾斜は低域側より高域側が急(非対称)。対称性は入力レベルで変化する。生理的基盤は基底膜(基底板)の振動特性

方向のひっかけ(最頻出):・「中心周波数が高いほど帯域幅が狭くなる」は誤り(広くなる)。・「帯域幅は中心周波数が低い方が高い方より広い」は誤り(低い方が狭い)。・「内耳性障害で帯域幅は健聴者より狭く/臨界帯域幅が減少」は誤り(広がる/増大)。すべて「高い・障害→広い」で統一。

ここから先は「ST国試ノート」の内容です
全22科目まとめて850円(買い切り・追加課金なし)。購入済みのアカウントでログインすると、この章の続きがそのまま表示されます。
失語症言語発達障害学は登録なしで全章読めます。まず中身を確かめてから決めてください。
この章の続きで扱う内容
  • 3-2 マスキングと上方拡散
  • 3-3 臨界帯域とマスキング(フレッチャーの臨界帯域説)
  • 3-4 内耳性難聴と聴覚フィルタ ― 補充現象