第4章|両耳聴・音源定位

対応過去問 3問/難易度 ★★★☆☆
この章のねらい:「なぜ耳は2つあるのか」を扱う章です。両耳で聞くと閾値が下がり(両耳加算)音の方向がわかり(音源定位)雑音の中で目的の声を拾える(カクテルパーティ効果)——これは補聴器の両耳装用の意義そのもの。用語は少ないですが、「時間差ITD=低周波」「レベル差ILD=高周波」「ハース効果=先に届いた側に定位」「両耳加算=閾値低下(上昇ではない)」の4点を逆に覚えやすいので、方向を固定して覚えます。

4-1 両耳加算効果

両耳加算効果とは、両耳で聞くほうが片耳で聞くより聴覚閾値が下がる(感度が上がる)現象です。同じ音でも両耳のほうが大きく聞こえます。

  • 両耳聴 → 閾値が低下(感度向上)・ラウドネスが増す(加算で大きく聞こえる)。
  • 片耳だけだと、雑音下での音声が聞き取りづらくなる。

最頻出ひっかけ:「両耳加算効果とは両耳聴の方が片耳聴に比べ聴覚閾値が上昇する現象」は誤り。正しくは閾値が低下(=感度が向上)。「加算=感度アップ=閾値ダウン」で固定する。

つながる知識:両耳加算による閾値低下・雑音下聴取の改善は、補聴器の両耳装用を勧める根拠。片耳装用より両耳装用のほうが、静寂下でも騒音下でも聞き取りが有利になります。

4-2 音源定位 ― ITD・ILD・ハース効果

音の来る方向は、左右の耳に届く音の時間差レベル差を手がかりに判断します。周波数によって主役が入れ替わるのが最大のポイントです。

手がかり内容有効な周波数
両耳間時間差(ITD)先に届いた側に音源があると感じる低周波で有効
両耳間レベル差(ILD)=インテンシティ効果音の大きい側に音源があると感じる(頭部の音影で高音は差が出やすい)高周波で有効
ハース効果(先行音効果)時間的に先に到達した側に音源を定位する低周波で強い(時間差利用)
方向の固定:時間差(ITD・ハース効果)=低周波レベル差(ILD・インテンシティ効果)=高周波。・定位は先に届いた側・強く届いた側に寄る。両耳聴により音源の左右位置の定位が良くなる。

ひっかけ:「音が遅れて到達する側に定位が寄る」は誤り(先に到達した側=先行音効果/ハース効果)。「インテンシティ効果は低い周波数で大きい」は誤り(高い周波数)。「ハース効果は高い周波数で大きい」は誤り(低い周波数)。

4-3 カクテルパーティ効果と選択的注意

カクテルパーティ効果は、多数の音が混在する中から特定の話者の声に選択的に注意を向けて聞き取る働きです。選択的注意とセットで覚えます。

  • 両耳聴による音源分離が手がかり(片耳だけだと雑音下の音声が聞き取りづらい)。
  • 気になる人の声は自然に耳に入る/注意が散漫だと聞き取りにくい(=注意の選択性)。
  • 2人が全く同時・同ピッチで話すと、手がかりが乏しく聞き分けにくい。

ひっかけ:「話し手に近づくと急にうるさく聞こえる」のは距離による音圧変化であって、選択的注意(カクテルパーティ効果)とは関連しない

つながる知識:カクテルパーティ効果は、両耳による音源分離が土台。補聴器の両耳装用が「騒音下の会話」で有利になる理由につながります。聴覚情景分析(音脈分凝)としての側面は第5章で扱います。