📝 このノートはAI編集部が過去問から作成した学習用まとめです。基礎医学領域は専門監修前のため、診断基準・数値・薬剤などの細部は必ず成書・最新ガイドラインで確認してください。
この章のねらい:脳性麻痺(CP)は「原因―型―症状」がきれいに対応する疾患です。脳室周囲白質軟化症(PVL)→痙直型両麻痺/核黄疸→アテトーゼ型/小脳障害→失調型——この対応さえ押さえれば、国試の多くは解けます。ここでは①定義 ②原因・病態 ③運動障害による型分類 ④重症度と全体像 ⑤言語・発話症状を整理します。症状の詳しい支援は第2章、合併症・療育・評価は第3章へ。
1-1 脳性麻痺の定義(我が国の定義)
脳性麻痺は「受胎から生後4週以内(新生児期)までに生じた、脳の非進行性病変にもとづく、永続的な——しかし変化しうる——運動および姿勢の異常」と定義されます(厚生省研究班の定義)。その症状は満2歳までに発現し、進行性の疾患・一過性の運動障害・将来正常化する運動発達遅滞は除外されます。
我が国の定義で正しい(19-8):正しいのは「脳病変の発生時期は胎生期から生後4週以内である」。誤り=「5歳までに発症」(→満2歳までに発現)/「姿勢の異常は含まれない」(→姿勢の異常も含む)/「一過性の運動障害が含まれる」(→除外)/「進行性脳疾患が含まれる」(→非進行性が条件)。
定義の4本柱:①時期=受胎〜生後4週以内/②非進行性の脳病変/③運動+姿勢の異常(永続的だが変化しうる)/④満2歳までに症状発現。「病変は進まないが、成長にともなって症状の見え方は変わる」がポイント。
1-2 原因・病態(周産期障害・PVL・核黄疸)
脳性麻痺の原因は、発生時期で出生前・周産期・出生後に分かれますが、国試頻出は周産期の低酸素虚血性脳症(出生時仮死)と、早産・低出生体重児にみられる脳室周囲白質軟化症(PVL)、そして高ビリルビン血症による核黄疸の3つです。
脳室周囲白質軟化症(PVL)がみられるのは(16-164):PVLがみられるのは脳性麻痺。自閉症・注意欠陥/多動性障害・ダウン症・学習障害ではない。PVLは側脳室周囲の白質が虚血で軟化する病変で、早産・低出生体重児に多い。ここを走る錐体路(皮質脊髄路)のうち下肢の線維が障害されやすく、下肢優位の痙直型両麻痺の代表的原因となる。
脳性麻痺で正しい(19-65):正しいのは「原因として出生時の仮死による低酸素虚血性脳症がある」。誤り=重度肢体不自由と重度知的障害は重複する(重症心身障害)/脳室周囲軟化症は痙性両麻痺の原因(単麻痺ではない)/核黄疸によるものはアテトーゼ型が多い(痙性麻痺ではない)/てんかんの合併は多い。
「原因―型」の対応を固定する:PVL=痙直型両麻痺/核黄疸=アテトーゼ型(不随意運動型)/低酸素虚血性脳症=重度四肢麻痺になりやすい。核黄疸を「痙直型・失調型」と結びつける選択肢はひっかけ(次の1-3参照)。
1-3 運動障害による型分類
脳性麻痺は障害された脳の部位によって運動障害のタイプが変わります。国試は「型―病巣―原因」の組合せを問います。
| 型 | 主な病巣 | 代表原因 | 特徴 |
| 痙直型(spastic・最多) | 錐体路(皮質脊髄路) | PVL・低酸素虚血 | 筋緊張亢進・腱反射亢進・折りたたみナイフ現象。両麻痺(下肢優位)/四肢麻痺/片麻痺 |
| アテトーゼ型(不随意運動型) | 大脳基底核 | 核黄疸 | 不随意運動・筋緊張の動揺・非対称。発話(構音・プロソディ)への影響が大きい |
| 失調型(ataxic) | 小脳 | — | 協調運動障害・平衡障害・企図振戦 |
| 混合型 | 複数 | — | 痙直型+アテトーゼ型の混合が多い |
脳性まひで誤っている(27-67):誤りは「痙直型両麻痺は上肢の障害である」。両麻痺(diplegia)は下肢優位の障害(上肢は比較的軽い)。正しい=アテトーゼ型は大脳基底核の障害/失調型は小脳障害/混合型は痙直型とアテトーゼ型の混合が多い/医療的ケアを必要とする児は四肢麻痺が多い。
誤っている組合せ(20-165):誤りは「核黄疸―失調型」(核黄疸はアテトーゼ型)。正しい組合せ=姿勢異常―痙性麻痺/併存症―てんかん/低出生体重児―脳室周囲白質軟化症(PVL)/周産期仮死―重複障害。
1-4 重症度分類と全体像
運動の重症度はGMFCS(粗大運動能力分類システム)、知的障害を重複した重症例は大島の分類(重症心身障害)でとらえます。
- GMFCS:粗大運動能力をレベルⅠ〜Ⅴで分類(Ⅰ=制限なく歩行〜Ⅴ=自力移動が非常に困難)。重症度・予後の指標。(レベルの具体基準は要監修)
- 大島の分類:知的能力(IQ)と運動能力のマトリクスで重症心身障害を判定する。
- 重症心身障害:重度知的障害+重度肢体不自由が重複した状態。医療的ケアを要する例が多い。
脳性麻痺について正しい(23-165):正しいのは「脳室周囲白質軟化症は視覚認知障害の原因になる」「症状は満2歳までに発現する」。誤り=大島の分類「1〜5」が重症心身障害(正しくは1〜4)/発症率は10,000人に2人程度(実際はおおむね出生1,000に2人前後・要監修)/低出生体重児の治療の進歩に伴い痙直型が減少(→むしろ増加傾向)。
PVLは「運動」だけではない:脳室周囲白質軟化症は視放線などの後方視覚路の近くも障害し、視知覚・視覚認知障害の原因になる(23-165)。運動障害と重ねて、見え方・空間認知の問題が学習に影響する点に注意(合併症は第3章)。
1-5 脳性麻痺の言語・発話症状
運動障害は呼吸・発声・構音・プロソディにも及び、運動障害性構音障害(ディサースリア)を生じます。症状の詳細と支援は第2章で扱いますが、まず「症状の性質」を押さえます。
言語症状で誤っている(21-164):誤りは「運動障害が重度であればあるほど言語理解が遅れる」。運動障害の重症度と言語理解(知的・受容面)は必ずしも相関しない(独立しうる)。正しい=呼吸機能がプロソディに影響する/身体状況や場面の違いで発話明瞭度が変化する/語彙の偏りが生じる/初語の出現が遅れる。
ST接続:「
体が重度に動かない=知的にも重度」ではありません。
運動出力は重くても理解や思考は保たれている子がいるからこそ、話せない子の内面を過小評価せず、
運動障害性構音障害として発話を支え、AAC(第2章)で
表出のルートを確保します。定義・病態は
小児科学、発達の物差しは
言語発達障害学と束ねて学ぶと立体的になります。