第3章|心理検査・アセスメント

対応過去問 33問/難易度 ★★★★☆
この章のねらい:臨床心理学最大の得点源(33問)。ほぼすべてが「検査↔検査法↔測定対象」の分類・組合せ問題です。まず「知能/発達/人格(質問紙・投影・作業)/認知機能」のどれを測るかで全検査を仕分ける表を頭に入れましょう。STにとっては高次脳機能障害のWAIS・RCPM、言語発達障害学の発達検査・K-ABC/DN-CASと実務で直接使う・連携する検査ばかり。心理測定法ノートの信頼性・妥当性・標準化とも一体で押さえてください。

3-1 心理検査の分類 ― 質問紙法・投影法・作業検査法

人格(性格)検査は実施形式で3つに大別します。この分類の取り違えが組合せ問題の核です。

分類代表的検査特徴
質問紙法MMPI・YG・MPI・EPPS・POMS・エゴグラム・CMI実施・採点が容易で客観的。ただし意図が分かりやすく意図的に歪めやすい、項目解釈に個人差
投影法ロールシャッハ・TAT・SCT・P-Fスタディ・バウム・HTPあいまいな刺激への反応から無意識・深層を捉える。解釈に熟練を要し主観が入りやすい
作業検査法内田クレペリン精神検査一定の作業(連続加算)の遂行過程・作業曲線から特性をみる

取り違え頻出(正しい分類):MMPI=質問紙法/HTP・バウム=投影法(描画法)/MPI(モーズレイ)=質問紙法/EPPS=質問紙法/POMS=質問紙法(気分評価)/SCT(文章完成法)=投影法/YG=質問紙法/内田クレペリン=作業検査法。「YG=投影法」「MPI=投影法」「HTP=質問紙法」はいずれも誤り。

3-2 ウェクスラー式知能検査

年齢帯で3種:WPPSI(幼児)→ WISC(児童)→ WAIS(成人)。同年齢集団と比べる偏差IQ(平均100・SD15)を用います。

紛らわしい略語:WMS=ウェクスラー記憶検査(記憶)、WAB=失語症検査(Western Aphasia Battery)で、どちらも知能検査ではない。

WISC-IV の4指標と下位検査

指標(略号)下位検査
言語理解(VCI)類似・単語・理解(+知識・語の推理)
知覚推理(PRI)積木模様・絵の概念・行列推理
ワーキングメモリー(WMI)数唱・語音整列
処理速度(PSI)符号・記号探し・絵の抹消

4指標から全検査IQ(FSIQ)を算出。WAIS-III の群指数は言語理解・知覚統合・作動記憶・処理速度の4つ(実行機能は含まれない)。

ひっかけ:PRI=知覚推理(「知覚速度」は誤り)、PSI=処理速度(「知覚処理」は誤り)。「認知習熟度」「認知習熟」という指標は存在しない迷路はWISC-III以前の下位検査でWISC-IVでは廃止(数唱・符号・知識・理解はWISC-IVにある)。

3-3 その他の知能検査・知能の理論

ビネー式 と ウェクスラー式

ビネー式ウェクスラー式
指標年齢尺度(精神年齢→IQ)/田中ビネーVは14歳以上で偏差IQ偏差IQ(平均100・SD15)
適用田中ビネーVは2歳〜成人(改訂で成人も可)WPPSI/WISC/WAISで幼児〜90歳台
要点:「ビネー式は成人には使用できない」は誤り(改訂版で成人も対象)。WAIS-IVの適用上限は90歳11か月(「79歳」は誤り)。田中ビネーVは2〜13歳が精神年齢ベース、14歳以上が偏差IQ。

非言語性(動作性)の知能検査

言語を介さず実施でき、失語症・高齢者にも使いやすい:RCPM(レーヴン色彩マトリックス)コース立方体組合せテストグッドイナフ人物画検査(DAM)。人物画でも「知能をみる=グッドイナフ」「性格をみる=バウム」で区別。

流動性知能と結晶性知能(Cattell-Horn)

種類内容加齢変化
流動性知能新規場面での推論・処理速度(生得的基盤)青年期をピークに低下しやすい
結晶性知能語彙・知識など経験の蓄積高齢期まで維持・緩やかに増加
「学習・経験で伸び、高齢期まで保たれる」=結晶性知能。東大式エゴグラムは知能検査ではない(交流分析に基づく性格検査)ので、「知能検査でないもの」を選ぶ問題では狙われる。

3-4 発達検査

検査特徴・適用
遠城寺式0〜4歳7か月。領域別に発達を評価。発達指数=発達年齢÷生活年齢×100
K-ABC認知処理過程(継次・同時)と習得度を測る。「魔法の窓」=継次処理、「模様の構成」=同時処理
DN-CASPASS理論:プランニング・注意・同時処理・継次処理。同時処理=図形の推理・関係の理解・図形の記憶
新版K式発達検査2020子どもの自発的反応を活かす柔軟な実施(手順は厳密固定ではない)
津守式(乳幼児精神発達質問紙)0〜7歳。養育者への質問紙式
KIDS乳幼児発達スケール質問紙式・多領域(Kinder Infant Development Scale。Kaufman ではない)
デンバー発達判定法0〜6歳のスクリーニング
継次処理と同時処理:継次=情報を順序立てて処理(単語の記憶・魔法の窓)/同時=情報を空間的・全体的に統合(図形の推理・関係の理解・図形の記憶)。K-ABCは認知処理過程尺度(平均10/SD3)と習得度尺度(平均100/SD15)の比較が解釈の核。
つながる知識:K-ABC・DN-CAS・新版K式は言語発達障害学で子どもの認知特性を評価する際に用います。「認知処理は保たれ、ことばの読み(習得度)が低い」ディスレキシア様プロフィールの読み取りは、STの評価に直結します。

3-5 人格検査① 質問紙法・作業検査法

検査内容
MMPI(ミネソタ多面人格目録)500項目超。臨床尺度+妥当性尺度(回答の歪みを検出)で構成
YG性格検査矢田部ギルフォード。12尺度(16因子=16PFは別物)
東大式エゴグラム交流分析に基づく(CP・NP・A・FC・AC)
POMS気分・感情状態を評価する質問紙
内田クレペリン精神検査作業検査法。連続加算の作業曲線から性格・適性をみる
測定対象で仕分け:人格=MMPI/気分=POMS/認知機能スクリーニング=MMSE・HDS-R/身体・精神の自覚症状=CMI。「人格検査はどれか」でMMSE(認知機能)・WAIS(知能)・RCPM(知能)に惑わされない。質問紙法は客観的だが意図的歪曲を受けやすいのが特徴。

3-6 人格検査② 投影法

あいまいな刺激への反応から深層をとらえる方法。代表例を確実に。

検査刺激・課題
ロールシャッハ・テストインクのしみへの反応
TAT(主題統覚検査)あいまいな絵図版から物語を作らせる
SCT(文章完成法)書きかけの文を自由に完成させる
P-Fスタディ(絵画欲求不満)欲求不満場面への反応をみる
バウムテスト実のなる木を描かせる(描画法)

投影法「でない」もの:エゴグラム・YG性格検査=質問紙法内田クレペリン=作業検査法。これらを投影法に混ぜる誤りが頻出。描画でもグッドイナフ人物画=知能検査ベンダー・ゲシュタルト=視覚運動機能で、性格をみる投影法(バウム・HTP)とは別。

3-7 面接法 ― 構造化面接

構造化面接は、質問項目・順序・評価をあらかじめ定め、誰が行っても同じ手順で進める診断面接法です。

代表:SCID(DSMに基づく構造化臨床面接)・M.I.N.I.(短時間の簡易構造化面接)。MMPI・EPPS・CMI は質問紙法であって面接ではない点がひっかけ。