📝 このノートはAI編集部が過去問から作成した学習用まとめです。基礎医学領域は専門監修前のため、診断基準・数値・薬剤などの細部は必ず成書・最新ガイドラインで確認してください。
この章のねらい:臨床歯科で一番出るのが
歯の硬組織・う蝕・歯周病です。ここは知識の土台で、
「エナメル質/象牙質/セメント質」の性質、
う蝕と歯周病の原因・リスク・治療、
歯垢(プラーク)と口腔ケアを1問1問確実に取れるようにします。STにとっても無関係ではなく、
歯垢は誤嚥性肺炎の原因となり口腔ケアは
摂食嚥下の実務、
歯・歯列は構音の一部で
器質性構音障害と接続します。この章では
①解剖・硬組織と加齢 ②発生・萌出・発育異常 ③う蝕 ④歯周病 ⑤歯垢・口腔ケア ⑥歯原性腫瘍・歯性感染・義歯を、過去問の頻出ポイントに絞って整理します。
1-1 歯と歯周組織の解剖・硬組織と加齢変化
まずは歯を構成する4つの硬組織・軟組織の性質から。「どれが一番硬いか」「終生つくられるのはどれか」がそのまま問われます。
歯の構造(硬組織・歯髄・歯根膜)
| 組織 | 要点 |
| エナメル質 | 人体で最も硬い組織。歯冠表面を覆う。無機質(ハイドロキシアパタイト)が最も多く、象牙質より有機質は少ない。エナメル芽細胞に由来し、萌出後は再生しない |
| 象牙質 | 歯の主体。終生形成される(第二象牙質)。エナメル質より有機質(基質)が多い。歯乳頭(歯胚)由来。露出すると知覚過敏(歯痛)を生じる |
| セメント質 | 歯根表面を覆う硬組織。歯根膜を介して歯槽骨と結合 |
| 歯髄 | 象牙質に囲まれた軟組織。血管・神経を含む(歯の栄養・知覚) |
| 歯根膜 | 歯根と歯槽骨の間の結合組織。感覚受容器があり咬合圧を感知 |
「人体で最も硬い組織」=エナメル質:関節軟骨・骨・象牙質・セメント質より硬い。硬さの順はエナメル質>象牙質>骨・セメント質。エナメル質は無機質が多く、象牙質は相対的に有機質が多い(=軟らかい)と対で覚える。
硬組織のひっかけ:「エナメル質は象牙質より有機質が多い」は誤り(逆)。「象牙質は歯根表面を覆う」も誤り(歯根表面はセメント質)。「象牙質は終生形成される/歯乳頭から生じる/露出で歯痛」は正しい。
口腔組織の加齢性変化
加齢で起こること:唾液分泌量の減少・咬耗による歯冠長の短縮・歯肉退縮による歯根面の露出・顎骨の萎縮。高齢者の口腔乾燥・根面う蝕・義歯不適合の背景になる。
加齢変化のひっかけ:「顎関節の平坦化の代償として筋突起が肥大する」は誤り。加齢では顎関節も平坦化しうるが、筋突起の代償性肥大は起こらない。唾液減少・咬耗・歯肉退縮・顎骨萎縮を「正しい加齢変化」として押さえる。
1-2 歯の発生・萌出と発育異常
乳歯・永久歯の本数と萌出時期・順序、そして乳歯の炎症が原因で起こる発育異常が問われます。
乳歯と永久歯
乳歯の基本:乳歯は全部で20本。生後6〜8か月ころ(下顎乳中切歯)から生え始め、2〜3歳ころに生えそろう。6歳ころから永久歯へ生え変わり始める(第一大臼歯=6歳臼歯や下顎中切歯が最初)。永久歯は智歯を含め32本。
乳歯のひっかけ:「24本」「5〜6歳で生え終わる」「10歳ころから永久歯に生え変わり始める」は誤り。乳歯=20本・生後6〜8か月から萌出・6歳ころから交換開始が正しい。
萌出の順序:永久歯で通常最も遅く萌出するのは第三大臼歯(智歯)。選択肢に智歯が無い場合、上顎中切歯・第一大臼歯・下顎中切歯・下顎犬歯と比べて上顎第二小臼歯が最後に近い。「最初に生えるのはどれか/最後はどれか」は萌出順の知識で解く。
歯の発育異常(ターナーの歯など)
ターナー(Turner)の歯:乳歯の根尖性歯周炎(根尖病巣)が、その下で形成中の後継永久歯歯胚に波及して生じるエナメル質形成不全。「乳歯の炎症が原因で発症する歯」=ターナーの歯。
発育異常の鑑別:斑状歯=フッ素の過剰摂取、ハッチンソンの歯=先天梅毒、歯内歯・過剰歯は別の成因。「乳歯根尖性歯周炎が原因」で選ぶのはターナーの歯。
1-3 う蝕(齲蝕)と歯科治療の対応
う蝕の性質・好発部位・進行と、代表的な歯科疾患と治療の組合せが問われます。
う蝕の基本
う蝕の要点:う蝕はプラーク中の細菌(ミュータンス菌など)が糖から酸を産生し歯質を脱灰する病気。う蝕に対する免疫防衛機構は弱い(歯質は再生しにくい)。平滑面より小窩裂溝(咬合面の溝)に好発する。初期う蝕(脱灰のみ)は再石灰化で回復しうる(治療=フッ化物などによる歯質の再石灰化)。
う蝕のひっかけ:「小窩裂溝より平滑面に好発」は誤り(逆)。「深く進行すると辺縁性歯周炎を起こす」も誤り(深部う蝕→歯髄炎→根尖性歯周炎。辺縁性歯周炎はプラーク・歯石による歯周組織の炎症で別経路)。「治療は脂質の再石灰化」も誤り(歯質=ハイドロキシアパタイトの再石灰化)。
歯科疾患と治療の組合せ
| 疾患 | 正しい対応 |
| 歯周病 | プラークコントロール・スケーリング |
| 歯の欠損症 | 義歯(補綴) |
| 初期う蝕 | 再石灰化・経過観察(抜髄ではない) |
| 顎関節症 | スプリント療法(咬合床) |
| 歯列不正 | 矯正治療 |
「誤っている組合せ」=初期う蝕—抜髄:抜髄(歯髄を除去)は歯髄炎など歯髄に及んだ深いう蝕の治療。初期う蝕は再石灰化・経過観察が原則で、いきなり抜髄はしない。
1-4 歯周病(歯周炎)
成人で歯を失う最大の原因が歯周病。リスク因子・全身との関係・治療法が繰り返し問われます。
歯周病の病態とリスク
歯周病の要点:プラーク中の細菌による歯周組織(歯肉・歯槽骨)の慢性炎症。永久歯喪失の主な原因。歯槽骨の吸収・歯周ポケットの深化・歯の病的移動を生じる(歯周ポケットは「浅い」ではなく深くなる)。若年期にも発症しうる。
リスクファクター:喫煙・糖尿病が代表。糖尿病患者・喫煙者は有病率が高い。胃潰瘍・高血圧・乳癌・脂質異常症は直接のリスクファクターではない。
歯周病のひっかけ:「歯周ポケットは浅い」は誤り(深くなる)。「リスクファクター=喫煙」を選ばせる問題では、胃潰瘍・高血圧などに惑わされない。歯周病の本態は歯槽骨の吸収と歯の病的移動(歯髄の変性壊死・上皮異形成・カンジダ増殖ではない)。
歯周病の治療
治療法:プラークコントロール(ブラッシング)・スケーリング(歯石除去)・歯周ポケット掻爬術・フラップ手術(歯肉剥離掻爬術)。基本は原因であるプラーク・歯石の除去。
治療のひっかけ=歯根尖切除術:歯根尖切除術は根尖性歯周炎(根の先の病巣)に対する治療で、辺縁性歯周炎(歯周病)の治療ではない。「歯周病の治療でないもの」で選ぶ。
1-5 歯垢(プラーク)と口腔ケア
う蝕・歯周病の共通原因である歯垢(プラーク)と、その除去=口腔ケアはSTの摂食嚥下臨床にも直結します。
歯垢(プラーク)
歯垢の要点:歯垢は口腔常在菌の集落(バイオフィルム)。う蝕・歯周病の原因であり、誤嚥性肺炎の原因にもなる。口呼吸では乾燥で歯面に付着しやすい。
歯垢のひっかけ=白板症:白板症(前癌病変)は歯垢が引き起こすものではない。歯垢が「引き起こす」のはう蝕・歯周病・誤嚥性肺炎で、白板症を選ぶ。
口腔ケアの目的
口腔ケアの目的:う蝕の予防・口臭の減少・粘膜炎の予防・誤嚥性肺炎の予防。プラークを「除去する」ことが目的で、要介護高齢者では誤嚥性肺炎の予防効果が明確。
口腔ケアのひっかけ=プラークの形成:目的は「プラークの除去」であり「プラークの形成」ではない。「口腔ケアの目的でないもの」でプラークの形成を選ぶ。
ST接続:歯垢・口腔汚染は
誤嚥性肺炎の重要な原因で、要介護高齢者の口腔ケアは
肺炎予防のリハビリそのものです。ここは
嚥下障害の実務に直結します(第3章の口腔ケアと誤嚥性肺炎でさらに深めます)。
1-6 歯原性腫瘍・歯性感染症・義歯
歯・歯根に由来する腫瘍・感染の波及と、歯の欠損を補う義歯の扱いを押さえます。
歯原性腫瘍
歯原性腫瘍:歯をつくる組織(歯胚・歯堤など)に由来する腫瘍。多くは良性・無痛性に発育し、エックス線検査で偶然発見されることが多い。エナメル上皮腫が代表。
歯原性腫瘍のひっかけ:「口腔軟組織に発生する」は誤り(歯原性腫瘍は顎骨内に発生)。「非上皮性腫瘍である」も一様ではない(上皮性のものもある)。良性・無痛性・エックス線で発見は正しい。
歯性上顎洞炎
歯根膜炎の波及:上顎臼歯の歯根膜炎(根尖病巣)が近接する上顎洞に波及して副鼻腔炎(歯性上顎洞炎)を起こす。上顎洞は上顎臼歯の歯根と近いため好発する(前頭洞・蝶形骨洞・篩骨洞ではない)。
義歯(欠損補綴)
義歯の管理:義歯は歯の欠損を補う補綴装置。適合が悪いと慢性の機械的刺激で口腔癌(義歯性潰瘍・粘膜の癌化)の原因になりうる。清掃して湿潤保存し、カンジダも付着するため清潔管理が必要。
義歯のひっかけ:「熱湯消毒をする」「乾燥させて保存する」「カンジダ菌は付着しない」は誤り(変形・カンジダ付着の原因)。「食後は歯磨きをしてから外す」も順序が不自然。正しいのは適合不良が口腔癌の原因になりうる。