第2章|口腔粘膜・唾液腺疾患

対応過去問 8問/難易度 ★★★☆☆
📝 このノートはAI編集部が過去問から作成した学習用まとめです。基礎医学領域は専門監修前のため、診断基準・数値・薬剤などの細部は必ず成書・最新ガイドラインで確認してください。
この章のねらい:口腔粘膜と唾液腺の疾患は「病態(感染/前癌/乾燥)と病名を1対1で覚える」のがコツです。とくに口腔乾燥症(ドライマウス)はST臨床で重要で、唾液が減ると咀嚼・食塊形成・嚥下が障害され、味覚や構音にも影響します。摂食嚥下障害の背景として押さえましょう。唾液腺(耳下腺・顎下腺・舌下腺)の疾患は耳鼻咽喉科学とも重なります。この章では①口腔粘膜の感染症 ②前癌病変・軟組織病変 ③唾液腺と口腔乾燥症を整理します。

2-1 口腔粘膜の感染症(真菌・ウイルス)

口腔粘膜の感染症は起因が真菌かウイルスか、そして治療薬が問われます。

真菌・ウイルスの仕分け

疾患起因・要点
口腔カンジダ症真菌(カンジダ)感染症。白い偽膜。治療は抗真菌薬。易感染・義歯・口腔乾燥で起こりやすい
ヘルパンギーナウイルス感染症(コクサッキー)。夏かぜ・咽頭に水疱/潰瘍
手足口病ウイルス感染症(コクサッキー等)。手・足・口の水疱
帯状疱疹ウイルス感染症(水痘・帯状疱疹ウイルス)。神経支配領域に一致
ベドナのアフタ乳児の口蓋粘膜の機械的損傷(褥瘡性潰瘍)。真菌感染症ではない
「治療で抗真菌薬を用いる」=口腔カンジダ症:白板症・扁平苔癬・類天疱瘡・ヘルパンギーナには抗真菌薬は使わない。カンジダ=真菌=抗真菌薬を一本で結ぶ。
感染症のひっかけ=ベドナのアフタ:「ベドナのアフタは真菌感染症」は誤り。ベドナのアフタは乳児口蓋の機械的(褥瘡性)潰瘍。カンジダ症=真菌、手足口病・ヘルパンギーナ・帯状疱疹=ウイルスと区別する。

2-2 口腔の前癌病変・軟組織病変と発現部位

口腔の前癌病変と、代表的な軟組織病変の発生部位が問われます。

前癌病変

口腔内の前癌病変=白板症:白板症(白斑)は擦っても取れない白色病変で、癌化しうる前癌病変。線維腫・外骨腫・粘液嚢胞・帯状疱疹は前癌病変ではない。紅板症も前癌病変。
前癌病変のひっかけ:「白板症」を選ぶ問題では、良性の線維腫・外骨腫(骨隆起)・粘液嚢胞(唾液貯留)やウイルス性の帯状疱疹に惑わされない。

病変と発現部位の対応

病変好発部位(正しい対応)
リガ・フェーデ病舌(舌下面・下面)の潰瘍(乳歯による)
エプーリス歯肉(歯間乳頭部)の限局性腫瘤(「口唇」ではない)
ガマ腫口底(舌下腺・顎下腺由来の粘液嚢胞)
ヘルパンギーナ咽頭(軟口蓋・口蓋弓)
吹き抜け骨折(ブローアウト骨折)眼窩(眼窩底)
発現部位のひっかけ=エプーリス:「エプーリス—口唇」は誤り。エプーリスは歯肉に生じる腫瘤。リガ・フェーデ病=舌、ガマ腫=口底、ヘルパンギーナ=咽頭、ブローアウト骨折=眼窩は正しい対応。

2-3 唾液腺と口腔乾燥症

唾液腺の障害と、その結果起こる口腔乾燥症(ドライマウス)の原因は最頻出テーマです。

唾液腺と唾液の働き

唾液腺:大唾液腺は耳下腺・顎下腺・舌下腺。唾液にはムチン(潤滑)・アミラーゼ(消化)・抗菌成分が含まれ、食塊形成・嚥下・自浄・粘膜保護を担う。唾石症は導管に石ができ唾液流出が障害される。

口腔乾燥症の原因

口腔乾燥症の主な原因:脱水・シェーグレン症候群(自己免疫で唾液腺破壊)・頭頸部への放射線照射(唾液腺の組織障害)・薬物の副作用(抗うつ薬・利尿薬・抗コリン薬など)・糖尿病・精神的ストレス・加齢。唾石症も唾液流出低下で口腔乾燥をきたす。
唾液腺の「組織障害」で起こる口腔乾燥=放射線治療:脱水・糖尿病・抗不安薬・鉄欠乏性貧血は唾液腺そのものを破壊しないが、口腔癌などへの放射線治療は唾液腺組織を直接障害し、不可逆的な口腔乾燥を残しやすい。
口腔乾燥のひっかけ:「口腔扁平苔癬」は口腔乾燥症の原因ではない(粘膜の角化異常)。薬剤では抗うつ薬・利尿薬が乾燥を起こし、鎮咳薬・抗血栓薬・骨粗鬆症治療薬は主因ではない。原因=脱水/シェーグレン/放射線/薬剤/糖尿病を軸に、例外を選び分ける。
ST接続:唾液が減ると食塊がまとまらず咽頭へ送り込みにくくなり、嚥下や咀嚼、味覚、構音にも影響します。口腔乾燥は摂食嚥下障害の隠れた背景で、口腔ケア・保湿・唾液腺マッサージがST・歯科の協働ポイントです。次章では顎関節・咀嚼・口腔機能と、誤嚥性肺炎予防の口腔ケアを扱います。