📝 このノートはAI編集部が過去問から作成した学習用まとめです。基礎医学領域は専門監修前のため、診断基準・数値・薬剤などの細部は必ず成書・最新ガイドラインで確認してください。
この章のねらい:ここは
口唇口蓋裂・補綴的発話補助・口腔癌の再建という、
形成外科学と重なりST臨床に直結するテーマです。
鼻咽腔閉鎖不全→開鼻声・異常構音、
舌切除後の構音・嚥下、
軟口蓋麻痺はいずれも
器質性構音障害そのもので、手術で解剖を整え、補綴で機能を補い、STが構音・嚥下を引き出す——という役割分担で押さえます。この章では
①口唇口蓋裂と手術 ②先天異常症候群 ③補綴的発話補助手段 ④口腔癌の再建を整理します。
4-1 口唇口蓋裂と鼻咽腔閉鎖不全への手術
口蓋裂で最重要の鼻咽腔閉鎖機能と、それを補う手術/補う対象でない手術の仕分けが問われます。
術式の仕分け
| 術式 | 目的・仕分け |
| 咽頭弁形成術 | 咽頭後壁の粘膜弁で鼻咽腔の隙間を狭める。鼻咽腔閉鎖不全の代表術式 |
| ファーロー法 | 二重Z形成で軟口蓋を延長+口蓋帆挙筋を再配置。鼻咽腔閉鎖に寄与 |
| プッシュバック法 | 軟口蓋を後方移動して延長する口蓋形成 |
| ミラード法 | 口唇裂の術式(鼻咽腔閉鎖不全の手術ではない) |
| 輪状咽頭筋切断術 | 嚥下(食道入口部開大不全)への手術(鼻咽腔閉鎖不全の手術ではない) |
「鼻咽腔閉鎖不全の手術法でないもの」=ミラード法・輪状咽頭筋切断術:咽頭弁形成術・ファーロー法・プッシュバック法は鼻咽腔閉鎖/軟口蓋に働く。ミラード法=口唇裂、輪状咽頭筋切断術=嚥下(食道入口部)で、鼻咽腔閉鎖不全には用いない。「口唇の術式」「嚥下の術式」を混ぜるのが定番のひっかけ。
4-2 先天異常症候群(22q11.2欠失症候群)
口蓋・咽頭に異常をきたす代表的な染色体異常22q11.2欠失症候群の徴候が問われます。
22q11.2欠失症候群の徴候:(ディジョージ症候群/口蓋心臓顔面症候群)特徴的顔貌・咽頭/口蓋の異常(口蓋裂・鼻咽腔閉鎖不全)・先天性心疾患(心奇形)・知的障害・免疫不全・低カルシウム血症。ST領域では鼻咽腔閉鎖不全による開鼻声・構音障害が問題になる。
22q11.2のひっかけ=耳介奇形:「耳介奇形」は22q11.2欠失症候群の主徴ではない。耳介奇形が目立つのはトリーチャー・コリンズ症候群や第1第2鰓弓症候群。22q11.2は顔貌・口蓋咽頭・心・知的・免疫で覚える。
4-3 補綴的発話補助手段(PAP・PLP・顎義歯・スピーチエイド)
手術で補えない機能を補う補綴装置は、「疾患(欠損した機能)と装置の対応」で問われます。ここはSTが日常で扱う装置です。
| 疾患・状態 | 補綴的発話補助手段 |
| 上顎癌術後(上顎欠損) | 顎義歯(栓塞子)で口腔と鼻腔を遮断 |
| 舌癌術後(舌運動障害) | 舌接触補助床(PAP):口蓋を厚く盛り舌接触を補う |
| 軟口蓋麻痺 | 軟口蓋挙上装置(PLP/パラタルリフト):軟口蓋を挙上し鼻咽腔閉鎖を補助 |
| 口唇口蓋裂(口蓋の交通) | 口蓋閉鎖床 |
| 粘膜下口蓋裂・短軟口蓋 | バルブ型スピーチエイド(発音補助床) |
組合せのひっかけ=舌癌術後とPLP/軟口蓋麻痺とPAPの取り違え:正しくは舌癌術後(舌運動障害)=舌接触補助床PAP、軟口蓋麻痺=軟口蓋挙上装置PLP。この2つを入れ替えた組合せが「誤り」として問われる。PAP=舌(舌接触)、PLP=軟口蓋(挙上)と、装置名と補う部位を1対1で覚える。
ST接続:これらの補綴装置は
STが装着下で構音・嚥下訓練を行い、適合を歯科と調整します。
PAP=舌切除後の構音・食塊移送、PLP/スピーチエイド=鼻咽腔閉鎖不全の開鼻声に対応し、
器質性構音障害・
嚥下障害の実務そのものです。
4-4 口腔癌切除後の再建手術(皮弁)
口腔癌の切除で失った形態・機能を補う皮弁による再建の基本が問われます。
再建手術の要点:再建は喪失した形態および機能(構音・咀嚼・嚥下)の回復のために行う。皮弁は作成部位で局所皮弁と遠隔皮弁に、構成成分で皮弁・筋膜皮弁・筋皮弁に分けられる。遊離皮弁は血管を切り離して移植するため微小血管吻合術が必要で、移動距離の制限がない。
再建のひっかけ=有茎皮弁は移動距離に制限なく用いる:これは誤り。有茎皮弁は血管茎でつながったまま移動するため移動距離に制限がある。制限なく遠隔へ移せるのは遊離皮弁(微小血管吻合)。「形態・機能の回復」「局所/遠隔」「皮弁・筋膜皮弁・筋皮弁」「遊離皮弁=微小血管吻合」は正しい。
ST接続:舌・口腔がん切除後は
再建の様式(皮弁の種類・可動性)によって残る構音・嚥下機能が変わり、術後にSTが
構音訓練・摂食嚥下リハ・PAP適合で機能を引き出します。
形成外科学の頭頸部再建・皮弁と合わせて学ぶと立体的に理解できます。
臨床歯科医学ノートはここで一区切り——歯・口腔の所見を「食べる・話す」に結びつける視点で総復習しましょう。