📝 このノートはAI編集部が過去問から作成した学習用まとめです。基礎医学領域は専門監修前のため、診断基準・数値・薬剤などの細部は必ず成書・最新ガイドラインで確認してください。
この章のねらい:ここは
臨床歯科のなかで最もST臨床に近い章です。
咀嚼(食べる)・構音(話す)・嚥下(のみこむ)はいずれも口腔・顎の運動でつくられ、
摂食嚥下障害・
器質性構音障害・
機能性構音障害の土台です。歯科の問題ですが「筋・神経・関節がどう動いて食べる・話すになるか」で読むとST視点で解けます。この章では
①顎関節と咀嚼筋 ②咀嚼の生理 ③舌尖の構音 ④口腔ケアと誤嚥性肺炎を整理します。
3-1 顎関節と咀嚼筋
顎を動かす咀嚼筋と、その障害である顎関節症を押さえます。付着部位(筋突起)と症状が問われます。
咀嚼筋と付着部位
| 咀嚼筋(三叉神経支配) | 付着・作用 |
| 側頭筋 | 下顎骨の筋突起(烏口突起)に付着。閉口(挙上)・後退 |
| 咬筋 | 下顎枝外面・下顎角。閉口(挙上)。強力な閉口筋 |
| 内側翼突筋 | 下顎枝内面。閉口 |
| 外側翼突筋 | 下顎頭・関節円板。開口・前突(唯一開口に働く咀嚼筋) |
| 顎二腹筋(補助) | 開口補助(咀嚼筋ではない) |
「下顎骨筋突起に付着する筋」=側頭筋:筋突起(コロノイド突起)に付くのは側頭筋。咬筋(下顎角)・内側翼突筋(下顎枝内面)・外側翼突筋(下顎頭)・顎二腹筋とは付着が異なる。
顎関節症の症状
顎関節症の三主徴:①咀嚼筋・顎関節部の疼痛 ②開口障害・顎運動の不調(可動域制限) ③関節雑音(クリック・雑音)。かみしめ・くいしばりなどが関与し、スプリント療法(咬合床)が用いられる。
顎関節症のひっかけ=口唇の感覚障害:「口唇の感覚障害」は顎関節症の症状ではない。疼痛・雑音・開口障害・顎運動の不調が症状。感覚障害は三叉神経(知覚枝)の問題で別。
3-2 咀嚼の生理
「食べる」を支える咀嚼運動の筋・神経・関節・唾液を、まとめて確認します。
咀嚼の要点:咬筋・側頭筋・内側翼突筋は閉口筋(挙上)、外側翼突筋が開口に働く。咀嚼筋は三叉神経(下顎神経)支配。顎関節を形成するのは下顎骨(下顎頭)と側頭骨(下顎窩)。唾液にはムチンが含まれ潤滑・食塊形成を助ける。咀嚼は反射も関与するが随意的にも制御できる。
咀嚼のひっかけ(4つの誤り):「咬筋は開口筋」→誤り(閉口筋)。「咀嚼筋の不随意的収縮のみで行われる」→誤り(随意制御も可)。「舌の運動は三叉神経支配」→誤り(舌下神経。舌の一般知覚は三叉神経、運動は舌下神経)。「顎関節を形成するのは下顎骨と頬骨」→誤り(側頭骨)。正しいのは「唾液にムチンが含まれる」。
ST接続:咀嚼筋=三叉神経、
舌の運動=舌下神経、顔面表情=顔面神経、という脳神経と運動の対応は、
運動障害性構音障害や
摂食嚥下障害の評価(口腔器官の運動チェック)でそのまま使います。咀嚼で食塊をつくる工程は嚥下の
準備期・口腔期です。
3-3 口腔機能と構音(舌尖の接触)
ここは構音そのものを歯科の視点から問う、STに一番近い設問です。
[t]の構音と舌尖の接触部位:[t](歯茎破裂音)は舌尖を上顎前歯の裏〜歯茎(上顎中切歯の基底結節付近)に接触させて閉鎖をつくり、破裂させて出す。過去問の正答は上顎中切歯基底結節。
構音のひっかけ:上顎中切歯切端・下顎中切歯切端・上顎小臼歯辺縁隆線・上顎中切歯口蓋側根面などは接触部位として不適。[t][d][n]は舌尖と上顎前歯部〜歯茎でつくる(歯茎音)ことを押さえる。歯の欠損や歯列・咬合の異常は構音(とくに歯音・歯茎音・サ行)に影響しうる。
ST接続:構音は
「どの調音点で、どの調音器官が接触・接近するか」で決まります。舌尖‐歯茎の接触([t][d][n][s]など)は
機能性構音障害・
器質性構音障害の中心テーマで、
歯の欠損・不正咬合・舌小帯短縮・口蓋裂が構音の乱れを生みます。歯科所見と構音を結んで読むのがST的な理解です。
3-4 口腔ケアと誤嚥性肺炎の予防
高齢者リハで最重要の口腔ケア→誤嚥性肺炎予防。第1章の口腔ケアをST視点で締めます。
口腔ケアで予防できる=誤嚥性肺炎:要介護高齢者では、口腔内細菌(歯垢)を含む唾液や食物の不顕性誤嚥が肺炎を招く。口腔ケアで口腔細菌を減らすと誤嚥性肺炎の発症・再発が予防できる。C型肝炎・口部ジスキネジア・顎関節症・三叉神経痛は口腔ケアで予防できるものではない。
口腔ケアのポイント:誤嚥性肺炎予防の口腔ケアは機械的清掃(プラーク除去)+保湿+器質的・機能的ケア。ただ拭くだけでなく、唾液分泌や嚥下の賦活も含む。摂食嚥下チームでSTが関与する実務そのもの。
ST接続:誤嚥性肺炎は
摂食嚥下障害の最大の合併症で、
口腔ケアは肺炎予防のリハビリテーションです。歯科衛生士・看護・STの協働で、
口腔衛生・嚥下機能・栄養を一体で支えます。
次章では口唇口蓋裂・補綴的発話補助・口腔癌の再建という、
形成外科と重なる外科・補綴のテーマを扱います。