発達は受精から死に至るまで、生涯にわたって続く変化です(生涯発達=ライフスパンの視点)。国試ではこの基本原理そのものが問われます。
発達のとらえ方は2つに大別されます。この対比が頻出です。
| とらえ方 | 意味 | キーワード |
|---|---|---|
| 量的変化 | 能力が連続的に増える/減る(数値で表せる) | 発達指数・発達曲線 |
| 質的変化 | 各段階で考え方・行動の「構造」が転換する | 発達段階(ピアジェ) |
遺伝と環境の影響の強さを調べる代表的方法が双生児法です。遺伝子をほぼ共有する一卵性双生児と、約半分を共有する二卵性双生児で形質の一致度を比べ、遺伝の寄与を推定します。
「発達に対する遺伝と環境の影響の強さを調べる研究法」→双生児法。
選好注視法(乳児の知覚→第3章)・内観法・面接法・民族誌法は目的が異なる。
ゲゼル(Gesell, A.)は、発達を遺伝的・内発的な成熟が主導すると考えました(成熟優位説)。学習が成立するには心身の準備=レディネス(学習準備性)が整っている必要がある、という立場です。
| キーワード | 内容 |
|---|---|
| 成熟優位説 | 発達は成熟(内的要因)が主導する |
| 双生児統制法 | 一卵性双生児の一方だけを早期訓練し、成熟を待って学ばせた他方と比較する研究法 |
| 階段登り実験 | その代表的研究。早期訓練の効果は限定的で、成熟後は短期間で追いつくと示した |
| レディネス(学習準備性) | 準備が整って初めて学習が成立する |
ゲゼルと取り違えやすいもの:
「同化と調節によって外界に適応する」→ピアジェの理論(ゲゼルではない)。
「精神分析学に基づく」→フロイトの立場(ゲゼルではない)。
「誤信念課題」→心の理論の課題、「発達加速現象」→別概念で、いずれも成熟優位説とは無関係。
ピアジェ(Piaget, J.)は、認知発達を環境との相互作用でシェマ(認知の枠組み)が更新されていく過程としてとらえました。まず4つの基本概念を正確に。
| 概念 | 内容 |
|---|---|
| シェマ | 外界を理解し働きかけるための認知的枠組み。発達とともに分化・統合される |
| 同化 | 既存のシェマに新しい情報を取り込む(手持ちの枠組みで対象を理解する) |
| 調節 | 既存のシェマで対応できないとき、シェマ自体を修正・変化させる |
| 均衡化 | 同化と調節の釣り合いをとる過程。発達を推進する原動力 |
「新たな情報を既知のシェマに合わせて変化させることを均衡化という」→誤り。それは同化(均衡化は同化と調節の調整)。
ピアジェの用語でないもの=熟達化(情報処理理論の用語)・強化(行動主義・スキナー)・馴化(乳児研究の用語)。これらが紛れていたら誤り。
「段階の順序は分化によって異なる」→誤り(順序は普遍で不変)。「領域固有性を強調」→誤り(領域一般的な発達を想定)。「親の価値観への同化を重視」→誤り。
脱中心化と紛らわしいもの:「対象の永続性を理解する」→感覚運動期の獲得、「演繹的推論ができる」→形式的操作期、「情動が伝染する」→乳児期の現象で、いずれも脱中心化の説明ではない。
ピアジェは認知発達を4段階に分けました(5段階ではない)。順序は不変で、各段階で思考の質が転換します。年齢の目安と特徴をセットで覚えます。
| 段階 | 時期の目安 | 特徴 |
|---|---|---|
| 感覚運動期 | 0〜2歳 | 感覚と運動を通じて世界を理解。目と手の協応、対象の永続性、循環反応 |
| 前操作期 | 2〜7歳 | 象徴機能・自己中心性・アニミズム・直観的思考。保存は未成立 |
| 具体的操作期 | 7〜11歳(学童期) | 保存概念の成立・可逆的思考・分類・系列化・脱中心化 |
| 形式的操作期 | 11歳〜(青年期) | 抽象的・仮説演繹的思考。経験に縛られない |
各段階の説明の取り違えに注意:
「生得的な反射を用いる/目と手の協応が生じる」→感覚運動期。
「推理や判断が直観作用に依存する」→前操作期。
「具体的に理解できるものは論理的操作ができる/可逆的思考」→具体的操作期。
「仮説演繹的な思考が可能」→形式的操作期。
前操作期の特徴=自己中心性・アニミズム(量の保存・可逆的思考・仮説演繹はより後の段階)。