この章のねらい:ピアジェが「認知が育つ」枠組みなら、この章は
「関係のなかで育つ」枠組みです。国試では
エリクソンの8段階と
人名↔概念の組合せ(ヴィゴツキー=最近接領域/ブルーナー=足場かけ/ボウルビィ=愛着)が繰り返し問われます。愛着・情動発達はSTにとって
小児のコミュニケーション支援・語用論・自閉スペクトラムの理解の基礎で、ヴィゴツキーの「足場かけ」は
言語訓練で子どもができる一歩先を支援するという発想そのものです。愛着の詳細は
臨床心理学ノート第5章とも重複するため、ここでは発達の視点から簡潔に整理します。
2-1 エリクソンの心理社会的発達段階 ― 8段階と漸成説
エリクソン(Erikson, E.H.)は、生涯を8つの発達段階(ライフサイクル)に分け、各段階に固有の心理社会的危機(発達課題)を適応的解決 対 不適応的解決の両極で示しました。段階を追って人格が積み上がるという漸成説(漸成原理)が中心概念です。
| 段階 | 発達課題(心理社会的危機) |
| 乳児期 | 基本的信頼 対 基本的不信 |
| 幼児期前期 | 自律性 対 恥・疑惑 |
| 幼児期後期(遊戯期) | 自発性(自主性) 対 罪悪感 |
| 学童期(児童期) | 勤勉性 対 劣等感 |
| 青年期 | 同一性(アイデンティティ) 対 同一性拡散(役割拡散) |
| 成人期初期(前成人期) | 親密性 対 孤立 |
| 成人期(壮年期) | 生殖性(世代継承性) 対 停滞 |
| 老年期 | 統合(自我の統合) 対 絶望 |
この表が第2〜5章を貫く背骨:各段階の「課題」と「対になる否定極」をセットで覚える。とくに青年期=同一性/初期成人期=親密性/壮年期=生殖性(対 停滞)/老年期=統合(対 絶望)の後半4段階が頻出。
「各発達段階を貫く人生のテーマは自我同一性の獲得」→誤り。同一性の確立は青年期の課題であって、全段階共通のテーマではない。
エリクソンに最も関係が深い概念=ライフサイクル・漸成説。エディプス期・防衛機制・幼児期健忘はいずれもフロイト由来で、混同を狙った定番のひっかけ。
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この章の続きで扱う内容
- 2-2 ヴィゴツキーとブルーナー ― 発達の最近接領域と足場かけ
- 2-3 愛着(アタッチメント)理論 ― ボウルビィとエインズワース