第3章|アセスメント・支援・ST関与・その他

対応過去問 5問/難易度 ★★★★☆
📝 このノートはAI編集部が過去問から作成した学習用まとめです。基礎医学領域は専門監修前のため、診断基準・数値・薬剤などの細部は必ず成書・最新ガイドラインで確認してください。
この章のねらい:診断と支援の原則は「①知的水準を確認して他障害を除外し、②読み書きの中核(音韻・デコーディング)を検査で特定し、③音韻に沿って教えつつ苦手を代償する」という流れです。国試では「LDでない検査/方法(TEACCH・フォニックス・反復視写・学年強制)」を選ばせるひっかけが定番。①アセスメントの全体像 ②読み書きと発達の検査 ③指導・支援の原則 ④合理的配慮・ICT ⑤STの役割で整理します。

3-1 アセスメントの全体像(知能・学力・視知覚検査)

LDのアセスメントは「知能検査で全般的な知的水準を確認する(=知的障害を除外し、能力と学力のギャップを見る)」ことから始めます。あわせて学力検査で到達度をとらえ、読み書きは表記の種類ごと(ひらがな・カタカナ・漢字)に分けて評価します。視覚認知の弱さが疑われれば視知覚検査も用います。

発達性ディスレクシアに対して適切でないのは(16-171):適切でないのは「TEACCHプログラムを実施する」。TEACCHは自閉スペクトラム症(ASD)への構造化された支援プログラムで、ディスレクシアの読み書き支援そのものではない。適切=知能検査を実施する(全般的知的水準の確認)/学力検査を実施する/ひらがな・カタカナ・漢字の別に検査する/ボイスメモを活用する(代償手段)=検査で全体像を把握し、表記別に読み書きをみる
フロスティッグ視知覚発達検査(DTVP)の項目にないのは(26-68):項目にないのは「図形の遅延再生」。DTVP(フロスティッグ)は視覚と運動の協応・図形と素地・形の恒常性・空間における位置・空間関係の5領域を評価する視知覚検査で、「図形の遅延再生(時間をおいた記憶再生)」は含まれない。=DTVPは“今見えている”視知覚の検査であって、遅延記憶の検査ではない(各下位検査名は要監修)
まず知能検査で「除外」する:LDの診断は全般的知的発達に遅れがないことが前提(第1章)。だから知能検査(WISCなど)で知的水準を確認し、知的障害・視聴覚障害を除外したうえで、能力に比して読み書きだけが低い(ディスクレパンシー)ことを確かめる。「知能検査は不要」は誤り

3-2 読み書きと発達の検査

読み書きの中核をとらえるには、音韻・命名・デコーディングを直接みる課題を使います(第2章の症状と対応)。あわせて年齢・目的に応じた発達検査・知能検査を選びます。

みたい力課題・検査の例
音韻認識音韻意識課題(音の抽出・削除・逆唱)
デコーディング非語音読課題(文字→音変換/第2章26-69)
自動化RAN課題(すばやい命名)
書字単語の書き取り(聴写)課題
発達・知能田中ビネー知能検査Ⅴ・DAM(人物画)・S-S法・津守式 など(目的で使い分け)
発達・知能の検査について誤っているのは(27-68):誤りは「乳幼児精神発達診断法(津守・稲毛式)は、年齢による3タイプと発達に遅れがあるタイプの検査用紙がある」という記述(津守式は対象年齢別の検査用紙で構成され、この記述のような区分ではない)。正しい記述=田中ビネーⅤは14歳以上で評価点と偏差知能指数を算出/DAM(グッドイナフ人物画知能検査)は動作性の知的発達水準を測定できる/発達検査には直接実施する検査と保護者からの質問紙による検査がある/S-S法(言語発達遅滞検査)は幼児期の子どもに実施できる(各検査の適用年齢・構成の細部は要監修)

3-3 指導・支援の原則(音韻・多感覚法・代償)

ディスレクシア支援の原則は「音韻に沿って、多感覚で、その子の水準に合わせて教える」ことです。反復視写(何度も書き写す)・なぞりだけでは成果が上がりにくく(第1章18-169)、苦手な音韻経路を避けて意味・視覚・運動などの得意な経路で代償する工夫が要ります。

  • 音韻に沿う:音を分解・抽出・操作する練習、文字と音の対応を意識づける。
  • 多感覚法:見る・聞く・言う・書く(動作)を組み合わせる。文字の要素を言語化して覚える(聴覚法)は聞いて覚える経路が優れている子に有効
  • 意味の活用:漢字は意味も伴わせて教える。単語の意味情報を手がかりにする。
  • その子の水準に合わせる:学年に固執せず、到達段階に応じた教材にする。
発達性ディスレクシア児(小5男児)の指導で適切でないのは(15-171):適切でないのは「学年相応の漢字を練習する」。読み書きにつまずく子に学年(5年生)相応の漢字を一律に課すのは負担が大きく不適切——その子の到達水準に合わせて調整する。適切=手書き認識可能なワープロソフトを用いる(代償)/興味のある分野について読む(動機づけ)/音読して聞かせ意味内容を把握してから自分で読む(トップダウン支援)=「学年で縛らない・強みで支える」
発達性ディスレクシア児への指導で誤っているのは(20-73):誤りは「視写の繰り返しが有効である」「キーワードを用いる方法は、音韻情報処理過程障害が重篤な場合に有効である」(=b・c)。視写の反復だけでは成果が上がりにくく、キーワード法は音韻処理に依存するため、音韻障害が重篤な場合にはむしろ有効でない(別の代償経路が必要)。正しい=漢字は意味も伴わせて教える/二次的な学力低下を防ぐ環境調整を行う/文字の要素を言語化して覚える聴覚法は、聞いて覚える経路が優れている場合に有効
「反復書字・強い音韻依存」を疑う:ディスレクシアで視写・なぞりの反復は効果が限定的。音韻処理そのものが重篤に弱い子に、音韻に強く依存する方法(キーワード法・フォニックス)を当てても伸びにくい——その場合は意味・視覚・ICTなど別の得意経路で代償する、が支援の勘所。

3-4 合理的配慮・ICT・環境調整・二次障害の予防

LDは「治す」より「学べるように環境を整える(合理的配慮)」が重要です。読み書きの負担をICT・代替手段で下げ、失敗の積み重ねによる二次障害(学習性無力感・自己肯定感の低下・不登校)を防ぎます。

  • ICT・代替手段:手書き認識ワープロ・ボイスメモ・読み上げソフト・タブレット。
  • 環境調整:評価方法の配慮(口頭解答・時間延長)、教材のルビ・拡大・分かち書き。
  • 二次障害の予防:できることで自信を支え、本人の努力不足と誤解しない。
代償は「甘え」ではない:ワープロやボイスメモの活用は正当な合理的配慮であり、学習を妨げるものではない(16-171・15-171でも適切とされる)。苦手な経路を無理に鍛え続けるより、得意な経路で成果を出させることが、二次障害の予防にもつながる。

3-5 STの役割・チーム連携

LD支援は医療・教育・家庭のチームで行い、STは「ことばと読み書きの専門家」として関わります。

  • 評価:音韻認識・デコーディング・読み書きの精密評価(第2章・3-1/3-2)。
  • 支援:音韻に沿った指導・多感覚法・代償手段の提案。
  • 連携:医師(診断・併存のADHD/ASD)、教員(通級・特別支援教育・合理的配慮)、心理(知能・情緒)、家族(家庭での関わり)。
ST接続:学習障害は言語発達障害学の一領域として、話しことばの土台の上に読み書きが積み上がる連続でとらえます。読みの認知過程は認知心理学、音韻の単位は言語学(音韻論)、知能・学力検査の基礎は心理測定法、発達の物差しは言語発達学と束ねると、ディスレクシア支援が単独の暗記ではなくSTの臨床力そのものだと分かります。総論的な支援観は言語聴覚障害総論で確認を。