📝 このノートはAI編集部が過去問から作成した学習用まとめです。基礎医学領域は専門監修前のため、診断基準・数値・薬剤などの細部は必ず成書・最新ガイドラインで確認してください。
この章のねらい:医療倫理は「用語と定義の一対一対応」を作れば確実に得点できるテーマです。とくに
インフォームド・コンセント(自己決定の尊重)と
ICF(生活機能)の理念は、STの臨床そのものの土台——
言語聴覚障害総論で扱う職業倫理・守秘義務・チーム医療、
リハビリテーション医学のICF・障害概念、
社会福祉の権利擁護・個人情報保護に直結します。この章では過去問頻出の
①医の4原則 ②IC ③3つの宣言 ④リハ・福祉の理念を、引っかけ選択肢を軸に整理します。
1-1 医の倫理4原則と倫理的ジレンマ
生命・医療倫理の基本は4原則=自律尊重・善行・無危害・正義です。「どれが4原則に含まれるか」「どの原則どうしが衝突しているか」がそのまま問われます。博愛・忠誠などは4原則に含まれないので、選択肢に混ぜられたら誤りと判断します。
| 原則 | 内容 |
| 自律尊重 | 患者本人の意思・自己決定を尊重する。ICの倫理的根拠。 |
| 善行 | 患者の利益(益)を最大化する。 |
| 無危害(無害性) | 患者に害を与えない。 |
| 正義(公平) | 医療資源・負担を公平に配分する。 |
パターナリズムを否定するのは「自律尊重」:パターナリズム(父権主義)は、医療者が本人の意思を差し置いて「本人のためによかれ」と決めてしまう態度。これに正面から対立し、患者自身の自己決定を重んじるのが自律尊重。ICはこの自律尊重を具体化した手続き。近年は医療者と患者が協働して決める共同意思決定(SDM)も重視される。
ジレンマは「原則どうしの衝突」で読む:「本人の意向を優先すると生命に危険が及ぶ」という場面は、自律尊重(本人の希望)と無危害(害を避ける)が対立している。設問では「どの原則の間に生じるか」を問われるので、対立している2つの原則を名指しできるようにする。
1-2 インフォームド・コンセント(IC)
インフォームド・コンセント(IC)は、患者が医療行為の内容・危険性・代替案などの十分な説明を受けたうえで、自らの意思で同意・選択する手続きです。患者の自己決定権・知る権利を保障し、自律尊重原則を具体化したものです。
| 治療のICで説明すべき項目 | 説明項目でないもの |
| 病状(現在の状態) | 医療者個人の価値観(押しつけない) |
| 治療の内容・利益 | 研究への参加(=研究のICで別途説明) |
| 治療のリスク(危険性・合併症) | |
| 代替手段・予後(今後の見通し) | |
「患者が意思決定するための情報」を説明する:治療のICでは病状・治療内容・利益とリスク・代替手段・予後を、患者が理解・同意できるよう説明する。研究参加は治療のICとは別で、医療者の価値観の押しつけは説明項目ではない。
日常診療のICを規定するのは「リスボン宣言」(ヘルシンキではない):ICは患者の権利(リスボン宣言)に基づく。ヘルシンキ宣言は「人を対象とする医学研究」の倫理で、日常診療のICを直接定めたものではない——「ICはヘルシンキ宣言で規定」は誤りの定番。ただし研究参加のICはヘルシンキ宣言が扱う。
1-3 医学・医療に関する国際宣言
宣言は「誰の・何のための倫理か」で一対一に対応づけるのが最短です。混同を狙った組合せ問題が頻出します。
| 宣言 | 主題 |
| ヘルシンキ宣言 | 人を対象とする医学研究の倫理(世界医師会採択) |
| リスボン宣言 | 患者の権利(IC・自己決定) |
| ジュネーブ宣言 | 医師の職業倫理(ヒポクラテスの誓いの現代版) |
| ヒポクラテスの誓い | 古代ギリシャ由来の医師の職業倫理 |
| イスタンブール宣言 | 臓器売買・移植ツーリズムの禁止 |
| ニュルンベルク綱領 | 被験者の自発的同意の起源 |
ヘルシンキ宣言(2013)の柱:被験者の福利を科学的・社会的利益より優先し、自発的意思による参加・IC の取得・リスクの評価と最小化・個人情報/プライバシーの保護・倫理委員会の承認を求める。研究者側が責任とリスク管理を負う。
「被験者の自己責任」は宣言に含まれない:被験者保護は研究者の責務であり、被験者に不利益・責任を転嫁する発想(=自己責任)は宣言にない。選択肢に「被験者の自己責任」が出たら誤りと判断してよい。「医学研究の倫理=ヘルシンキ宣言」もそのまま正しい選択肢として出る。
1-4 リハビリテーション・障害福祉の理念
理念用語は「分けない・ともに・社会の側を変える」という方向性で整理すると取り違えません。ICFとICD、ノーマライゼーションとコロニーが二大ひっかけです。
| 用語 | 正しい対応 |
| ノーマライゼーション | 障害者も地域で当たり前に暮らす。コロニー(隔離施設)での生活とは正反対 |
| インクルージョン/インクルーシブ教育 | 分けずに通常学級でともに学ぶ(共生社会の形成)。特別支援学校での分離教育とは異なる |
| ICF(国際生活機能分類) | 心身機能・活動・参加+環境/個人因子の生活機能の分類。主婦業としての調理は「参加」 |
| ICD(国際疾病分類) | 疾病の分類(ICFは疾患分類ではない) |
| 完全参加と平等 | 国際障害者年(1981)のスローガン(ヘルシンキ宣言とは無関係) |
正しい組合せ(そのまま出る):健康=身体的・精神的・社会的に良好な状態(WHO)/個人情報保護法=守秘義務/少子高齢化=生産年齢人口(15〜64歳)の減少/カルテ開示=患者の権利/ICの=説明された上での同意。これらは正しい選択肢。
誤った組合せの定番:「インクルージョン=特別支援学校での教育」「コロニーの建設=インクルージョン」「ICF=疾患分類」「ノーマライゼーション=コロニーでの生活」「ヘルシンキ宣言=完全参加と平等」はすべて誤り。ノーマライゼーションは「障害者を変えるのではなく社会の側を変える」発想で、入所施設に集める(コロニー)から地域生活へ、という歴史の流れを押さえる。