染色体の数や構造の異常で起こる症候群です。国試の主役はダウン症候群(21トリソミー)。「どの症候群でどんな言語・知的発達か」がよく問われます。
| 症候群 | 染色体 | 特徴(キーワード) |
|---|---|---|
| ダウン症候群 | 21トリソミー | 筋緊張低下・巨舌・特徴的顔貌・先天性心疾患・中耳炎を反復し伝音難聴・知的障害・初語が遅れる |
| 18トリソミー(エドワーズ) | 18トリソミー | 重度の発達遅滞・予後不良 |
| 13トリソミー(パトウ) | 13トリソミー | 重症・有意味語の表出に至らないことが多い |
| ターナー症候群 | 45,X(女性) | 低身長・性腺機能低下(知的発達は保たれやすい) |
ダウン症候群のひっかけ:特徴として正しいのは巨舌。「大頭症」「高身長」「長い指」「腓腹筋の仮性肥大」は誤り——ダウン症は小頭傾向・低身長・短い指(第5指短小)で、腓腹筋仮性肥大はデュシェンヌ型筋ジストロフィーの特徴。
「有意味語が出にくい/出ない」症候群:重度の知的障害を伴う13トリソミー・18トリソミーでは有意味語の表出に至らないことが多い。一方ターナー症候群は知的発達が比較的保たれ、有意味語は獲得できるのが対比のポイント。「有意味語が獲得できない/表出がない疾患を選べ」は染色体異常の重症度を問う定番。
微細欠失やインプリンティング異常などで起こる症候群です。顔貌・行動・難聴の有無がキーワードで問われます。
| 症候群 | 特徴(キーワード) |
|---|---|
| プラダー・ウィリー症候群 | 乳児期の筋緊張低下(哺乳不良)→幼児期以降の過食・肥満・低身長・外性器低形成(性腺機能低下)・知的障害 |
| ウィリアムズ症候群 | 7番染色体微細欠失・大動脈弁上狭窄など心血管病変・視空間認知障害・社交的な人柄・相対的に良好な言語 |
| 歌舞伎(Kabuki)症候群 | 特徴的顔貌・知的障害・難聴(反復性中耳炎) |
| ヌーナン症候群 | 低身長・心疾患(肺動脈狭窄)・難聴を伴うことがある |
| トリーチャー・コリンズ症候群 | 下顎顔面異骨症・外耳/中耳奇形による伝音難聴 |
ウィリアムズ症候群のひっかけ:誤りは「21番染色体異常」——ウィリアムズ症候群は7番染色体の微細欠失(21トリソミーはダウン症候群)。正しくは知的障害・心血管病変(弁上狭窄)・視空間認知障害で、言語やおしゃべりは比較的保たれる。
顔面・口腔・頭蓋の形態異常です。口唇口蓋裂・ピエール・ロバンはSTの構音・摂食に直結します。
| 疾患 | 特徴 |
|---|---|
| 口唇裂・口蓋裂 | 顔面の癒合不全。口蓋裂は鼻咽腔閉鎖不全→開鼻声・構音障害・哺乳障害・滲出性中耳炎 |
| ピエール・ロバン症候群 | 小顎症・舌根沈下・気道閉塞(狭窄)・口蓋裂の連合。哺乳・呼吸の管理が必要 |
| 頭蓋縫合早期癒合症 | 縫合の早期癒合で頭蓋変形。矢状縫合の早期癒合→舟状頭(長頭) |
ピエール・ロバン症候群のひっかけ:通常みられないのは顔面神経麻痺。三徴は小顎症・舌根沈下・気道閉塞で、しばしば口蓋裂を伴う。顔面神経麻痺は連合の構成要素ではない。器質性構音障害・摂食嚥下の観点でSTが関わる。
代謝・皮膚・神経筋の先天異常です。マススクリーニングと乳児期の筋緊張低下(フロッピーインファント)が頻出です。
フロッピーインファント(乳児期の筋緊張低下):原因は中枢性(脳性麻痺・ダウン症候群・プラダー・ウィリー)と末梢性(脊髄性筋萎縮症=ウェルドニッヒ・ホフマン病・先天性筋ジストロフィー・先天性ミオパチー)に大別。「乳児期に筋緊張低下をきたさない疾患を選べ」という形で、痙性(筋緊張亢進)をきたす病態との対比が問われる。
妊娠中の母体感染が胎児に移り、難聴・知的障害・視覚障害などを起こします。ST的には先天難聴の重要原因です。
| TORCH | 病原体 | 胎児への主な影響 |
|---|---|---|
| T | トキソプラズマ | 水頭症・脈絡網膜炎・脳内石灰化 |
| O(others) | 梅毒 ほか | 先天梅毒(骨・歯・神経症状・難聴) |
| R | 風疹(ウイルス) | 先天性風疹症候群=難聴・白内障・心疾患(視覚聴覚二重障害) |
| C | サイトメガロウイルス | 先天感染で最多。難聴(進行性)・小頭症・知的障害 |
| H | 単純ヘルペスウイルス | 新生児ヘルペス(脳炎など) |
「母体感染で児に知的障害/二重障害」のひっかけ:先天感染で難聴・知的障害を起こすのはTORCH(風疹・CMV・トキソプラズマ・梅毒)。インフルエンザ・マイコプラズマ・水痘などは典型的な母子感染による重度知的障害の代表ではない。「妊婦が感染すると児に……」の設問はTORCHを問うている。