第2章|発達評価・発達マイルストーン

対応過去問 16問/難易度 ★★★☆☆
📝 このノートはAI編集部が過去問から作成した学習用まとめです。基礎医学領域は専門監修前のため、診断基準・数値・薬剤などの細部は必ず成書・最新ガイドラインで確認してください。
この章のねらい:発達のマイルストーン(節目)はSTの評価そのものです。「何か月で何ができるか」の順序と目安月齢は、言語発達学で学ぶ言語発達の基準線であり、言語発達障害学で「遅れ」を判定する物差しになります。正常発達を体に入れておけば、遅滞・逸脱の見分け(脳性麻痺・難聴・自閉スペクトラム症・ADHD)が一気に楽になります。まず運動→手指→社会性→言語の順序と、原始反射の消える時期を覚えるのが近道です。

2-1 運動発達のマイルストーン(定頚・座位・移動)

粗大運動は頭→尾(上から下)・中枢→末梢の方向で進みます。目安月齢が組合せで問われます。

発達項目目安月齢
定頚(首がすわる)3〜4か月
寝返り5〜6か月
座位(ひとりすわり)6〜7か月
はいはい・つかまり立ち8〜10か月
ひとり歩き12〜15か月
運動発達の順序(原則):首すわり→寝返り→座位→はいはい→つかまり立ち→歩行の順。「寝返りは首すわりの後」「はいはいは寝返りの後」が正しく、順序を入れ替えた記述は誤り。方向は頭部→下肢(頭尾方向)

組合せのひっかけ:「定頚―5か月」「座位―7か月」など目安月齢の組合せは、1つだけ正しいものを選ばせる形式が定番。定頚は3〜4か月・座位は6〜7か月を基準に、早すぎ・遅すぎの選択肢を外す。あやし笑いは2〜3か月ごろ。

2-2 手指・社会性・言語の発達(月齢別)

微細運動・社会性・言語のマイルストーンです。喃語・指さし・社会的参照はST頻出です。

月齢できること(目安)
2〜3か月あやし笑い(社会的微笑)
6か月ごろ物に手を伸ばす・寝返り・喃語が始まる
0歳後半(7〜11か月)喃語・指さし・指先でつまむ(ピンサー)・人見知り
1歳前後初語・社会的参照(大人の表情を確認)・提示/手渡し
1歳半〜語彙増加・積み木を積む・二語文へ
0歳後半にできること:喃語を発する・指さしをする・指先でつまむは0歳後半に出そろう。一方積み木を積む・なぐり書きなどは1歳以降で、0歳後半には難しい。「0歳後半にできる行動を選べ」は前言語期のマイルストーンを問う定番。

前言語コミュニケーションのひっかけ:指さし・社会的参照・提示(見せる)・手渡しは言語獲得の土台となる共同注意(joint attention)の行動。月齢の目安(6か月では指さしはまだ/9〜12か月で出現)を取り違えさせる問題が出る。言語発達障害学で自閉スペクトラム症の早期徴候(指さし・視線の乏しさ)として再登場する。

2-3 原始反射と姿勢反射

反射は「原始反射(新生児期にあり、やがて消える)」と「姿勢反射(成長とともに出現)」を区別します。ここは定義の入れ替えが狙われます。

種類時期
原始反射モロー反射・把握反射・吸啜反射・非対称性緊張性頸反射(ATNR)新生児期からあり、生後数か月で消失
姿勢反射パラシュート反射・立ち直り反射成長とともに出現(消えない)

原始反射のひっかけ:「新生児期にみられる原始反射でないもの」はパラシュート反射モロー・吸啜・把握は原始反射だが、パラシュート反射は生後6〜9か月に出現する姿勢(防御)反射で新生児期にはない。原始反射が消えずに残存(遺残)すると脳性麻痺など中枢神経障害を疑う——第4章の運動障害とつながる。

2-4 発達の評価法・発達検査

発達の遅れを客観化する検査です。スクリーニング検査言語・発達検査の区別が問われます。

種類代表的な検査(例)
発達スクリーニング遠城寺式・KIDS乳幼児発達スケール・DENVER II(デンバー式)
言語・発達の詳細評価〈S-S法〉言語発達遅滞検査・絵画語い発達検査(PVT)・国リハ式など
自閉スペクトラム症の評定新版CARS小児自閉症評定尺度 など
検査の使い分け:広く遅れの有無を拾うのがスクリーニング、内容を詳しくみるのが個別の発達/言語検査。「乳幼児の発達スクリーニングに適した検査/適さない検査を選べ」という問題では、対象年齢・目的(スクリーニングか診断補助か)で判断する。談話や語い、抽象語理解などを個別に評価する検査言語発達学心理測定法と重なる。

「談話能力を評価できる検査」のひっかけ:単語理解(絵画語い発達検査)や抽象語理解の検査は語レベルの評価で、まとまった話(談話)の評価ではない。談話・会話レベルを評価する検査かどうかを、検査の測定対象(音・語・文・談話)で見分ける。

2-5 発達の遅れ・発達障害の見分け

「運動が遅い」「ことばが遅い」のどれが目立つかで、疑う病態が変わります。組合せで問われます。

病態特徴
脳性麻痺運動発達の遅れが中心。知的・言語の遅れを伴うことも多い
難聴ことばの遅れが主(運動発達は保たれやすい)
学習障害(LD)全般的な知的遅れはなく、読み書き・計算など特定領域の困難
ADHD(注意欠如・多動症)不注意・多動・衝動性。家族歴を認めることがある(=遺伝要因あり)
「運動と言語がともに遅れやすい」:該当するのは脳性麻痺。運動障害に知的・言語の遅れを合併しやすいため。難聴は言語のみ、学習障害は特定領域のみ、ADHDは行動特性が中心で、両方が一様に遅れる代表ではない——この対比で正答を選ぶ。

ADHDのひっかけ:「聴覚障害を合併する」「家族歴は認められない」「人格障害である」は誤り。ADHDは家族歴(遺伝要因)を認めうる神経発達症で、中核症状は不注意・多動・衝動性。人格障害ではない。言語発達障害学で併存症として扱う。

2-6 新生児評価・乳幼児健診・保健

新生児の評価と、乳幼児健診・成長の指標です。アプガースコア・スキャモンの発育曲線・3歳児健診が頻出です。

指標内容
アプガースコア心拍数・呼吸・筋緊張・反射(刺激への反応)・皮膚の色の5項目で新生児仮死を評価
スキャモンの発育曲線神経型(脳・視覚器)は乳幼児期に急伸・リンパ型は学童期にピーク・生殖型は思春期・一般型はS字
乳幼児健診1か月・3〜4か月・1歳半・3歳児健診など。発達・視聴覚・言語をチェック

アプガースコアのひっかけ:評価項目は心拍数・呼吸・筋緊張・反射・皮膚の色の5つ。「血圧」「筋力(=筋緊張が正しい)」はアプガーの項目ではない。0〜2点×5項目=10点満点で、出生1分・5分後に評価する。

スキャモンの発育曲線:4歳ごろに最も成熟している(発育が進んでいる)のは神経型(脳・脊髄・視覚器)。神経系は乳幼児早期に急激に発達し、就学前にほぼ成人値に近づく。生殖型は思春期まで低いまま、リンパ型は学童期に一時的に成人を超えるのが対比。
3歳児健診・離乳:3歳児では閉じた丸を描く・二〜三語文・簡単な指示理解ができれば概ね順調。つかまり立ちしかできない・体重が極端に少ない・獲得語が非常に少ないなどは要精査。離乳は生後5〜6か月ごろから1日1回・つぶし粥から始めるのが目安(発達段階に合わせて進める)。
次章へ:発達の物差しを持てたら、次は感染症と予防接種です。第3章 感染症・予防接種で、生ワクチン/不活化ワクチン、学校感染症の出席停止、そして先天感染症(TORCH)を整理します。TORCHは小児聴覚障害の重要原因として第1章とも往復して覚えてください。