第5章|顔面外傷・その他

対応過去問 6問/難易度 ★★★☆☆
📝 このノートはAI編集部が過去問から作成した学習用まとめです。基礎医学領域は専門監修前のため、診断基準・数値・薬剤などの細部は必ず成書・最新ガイドラインで確認してください。
この章のねらい:顔面外傷では「どの骨折でどの症状が出るか」が問われます。STに関わるのは、下顎・上顎(Le Fort)骨折による咬合異常が摂食・構音に、顔面神経損傷が表情・構音に影響する点。あわせて、形成外科の周辺で出題される喉頭微細手術・口腔粘膜の消毒・咬唇癖も整理します。喉頭微細手術は音声障害の外科的治療で、STの音声リハビリと隣り合う分野です。

5-1 顔面骨骨折(骨折部位と症状の対応)

顔面骨骨折は骨折した部位ごとに特徴的な症状が出ます。とくに複視咬合異常の2つがどの骨折で出るかが頻出です。

骨折特徴的な症状
ブローアウト骨折
(眼窩底・内壁)
複視。外眼筋(下直筋など)の絞扼・嵌頓で眼球運動制限
下顎骨骨折咬合異常(歯列を支える骨が転位)・開口障害
Le Fort(上顎骨)骨折咬合異常(上顎の歯列を含む骨が転位)。Ⅰ型は水平骨折
頬骨(弓)骨折開口障害・頬部の陥凹(眼窩底に及べば複視も)
鼻骨骨折鼻の変形・鼻出血(複視・咬合異常はきたさない)
複視を生じる骨折=ブローアウト骨折:眼窩底(または内壁)が骨折し外眼筋が嵌頓すると、眼球運動制限で複視が出る。鼻骨・下顎・頬骨弓骨折は眼窩内容に直接及ばなければ複視を生じにくい。
咬合異常をきたす骨折=下顎骨・Le Fort型:歯列を含む骨(下顎骨・上顎骨/Le Fort型)の転位で咬合異常が出る。鼻骨・頬骨・ブローアウト(眼窩底)骨折は歯列を含まず、咬合異常の主因にならない。「複視=眼窩」「咬合異常=歯列を含む骨」で仕分ける。

5-2 顔面外傷の初期対応

顔面は血流が豊富で治癒しやすく、整容的にも重要——この特徴が処置方針を決めます。

顔面外傷処置の原則:顔面は血流が豊富で再生力が高く整容も重要なため、デブリドマン(壊死組織切除)は最小限にとどめ組織を温存する。ガラス片などの異物は可能な限り除去し、顔面神経・耳下腺管などの深部損傷をチェックする。診断には3D-CTが有用。
ひっかけ:「広範囲にデブリドマンを行う」は誤り(顔面は最小限に)。なお頭部外傷を伴う場合は、生命に関わる脳外科の治療を優先する(正しい記述)。

5-3 その他(喉頭微細手術・口腔粘膜の消毒・咬唇癖)

形成外科の周辺で出題される、頭頸部・口腔にまつわる細かい知識をまとめます。

喉頭微細手術

喉頭微細手術(喉頭顕微鏡下手術):経口的に喉頭鏡と顕微鏡を用いて声帯病変を処置する手術。声帯注入術・声帯ポリープ切除術・声門癌レーザー手術が該当。喉頭全摘術・甲状軟骨形成術は外切開・枠組み操作を伴い、喉頭微細手術には含まれない
ST接続:声帯ポリープ・声帯結節・声門癌などは音声障害の原因で、喉頭微細手術はその外科的治療です。術後の音声治療(ボイスリハビリ)や、甲状軟骨形成術(音声改善手術)はST領域と密接に関わります。喉頭の手術名と「微細手術に含まれるか」の線引きを押さえましょう。

口腔粘膜の消毒

口腔粘膜に用いない消毒薬=ホルマリン:口腔粘膜には逆性石鹸・アクリノール・ポビドンヨード・オキシドールなど刺激の少ない消毒薬を用いる。ホルマリンは組織固定・器具消毒用で、刺激・毒性が強く生体の口腔粘膜には用いない。「生体(粘膜)に使えるか、器具・組織処理用か」で仕分ける。

咬唇癖と歯列

咬唇癖(下唇を噛む癖):下唇が裏から押すことで上顎前歯が唇側(前)に傾斜し、下顎前歯が舌側(後ろ)に傾斜、オーバージェット(上下前歯間の間隙)が増大する。上顎中切歯の正中離開は生じない——正中離開は上唇小帯付着異常・指しゃぶり・舌突出癖などが原因で、咬唇癖とは結びつかない。
まとめ:形成外科は口唇裂・口蓋裂を軸に、頭頸部再建・先天異常症候群・熱傷・顔面外傷が広がる科目でした。基礎医学のなかで最もST臨床に近い領域です——構音・摂食・きこえ・音声のどこかで必ずSTがつながります。あわせて器質性構音障害嚥下障害聴覚障害小児科学のノートで臨床の側からも確認しておきましょう。