第4章|神経症・不安障害・ストレス関連

対応過去問 10問/難易度 ★★★★☆
📝 このノートはAI編集部が過去問から作成した学習用まとめです。基礎医学領域は専門監修前のため、診断基準・数値・薬剤などの細部は必ず成書・最新ガイドラインで確認してください。
この章のねらい:この章は心因性(ストレスが引き金)の障害です。統合失調症などの精神病とちがい「病識があり・現実検討は保たれる」のが神経症の要点。STにとっては、音声障害心因性(機能性)発声障害吃音予期不安・回避など、コミュニケーション障害の心理的背景を理解する土台になります。不安・防衛機制の知識は臨床心理学とも重なります。

4-1 神経症性障害の概念と防衛機制

神経症(現在は不安症・強迫症などに分けられる)は「心因性で、病識があり、器質的病変がない」のが本質です。

神経症性障害の特徴:身体症状に合致する器質的病変がない現実検討能力は比較的保たれる自分は病気だと認識している(病識あり)。「本人は著しい不安を感じない」「症状は不可逆性」は誤り——強い不安を伴い、可逆的で治療に反応する。精神病(統合失調症)との最大の違いは病識と現実検討の保たれ方
防衛機制(適応機制):不安から自我を守る無意識の心のはたらき。抑圧・投影・合理化・昇華・退行・反動形成・同一化・置き換えなど。「抑制」は意識的に考えを抑える行為なので、無意識の防衛機制には含めないのが古典的な整理(=防衛機制として適切でない)。
防衛機制内容
抑圧受け入れがたい感情を無意識に押し込める(防衛機制の基本)
投影自分の感情を他者のものと感じる
合理化もっともらしい理由づけで正当化
昇華衝動を社会的に価値ある活動に振り向ける(最も成熟)
退行より幼い発達段階に戻る

4-2 不安症(パニック症・広場恐怖・不安障害群)

不安症の代表はパニック症。突然の身体症状と予期不安が核です。

パニック症:繰り返す予期しないパニック発作(動悸・胸痛・呼吸苦・めまい・死の恐怖)と、また起きるのではという予期不安、発作を恐れて外出を避ける広場恐怖を伴いやすい。

パニック症のひっかけ:パニック障害に伴うのは予期不安・広場恐怖・死の恐怖・動悸/胸痛「見捨てられ恐怖(境界性PD)」「食行動の異常(摂食障害)」「常同症」「醜形恐怖」「赤面恐怖(社交不安)」は別の病態で、パニック症の典型ではない。

不安障害群の範囲:DSM-5の不安症群には分離不安症・選択性緘黙・パニック症・広場恐怖症・社交不安症・限局性恐怖症・全般不安症が含まれる。「双極性障害」は気分障害であり不安障害群には含まれない選択性緘黙(場面緘黙)はST・小児領域と重なるので要注意。

4-3 強迫症

強迫症は「強迫観念(考え)」と「強迫行為(行動)」のセットです。

強迫症:繰り返し浮かぶ持続的な思考・衝動・イメージ(強迫観念)により強い不安を感じ、それを打ち消すために確認・手洗いなどの強迫行為を繰り返す。本人は不合理だと自覚している(病識あり)のが特徴で、この点が妄想(訂正不能・病識なし)と決定的に違う。

強迫症のひっかけ:「不合理なことを考えているという自覚がない」は誤り——強迫症は不合理と自覚している。「間違いがないか何度も確認する」は正しい強迫行為。DSMでの記述は「繰り返される持続的な思考・衝動・イメージを体験し強い不安や苦痛を感じる」=強迫症。「社交場面への恐怖(社交不安症)」「予期しないパニック発作(パニック症)」と取り違えない

4-4 身体症状症・心気症(身体表現性障害)

心理的な問題が身体の症状や病気への不安として表れる病態です。

心気症(病気不安症):重い病気にかかっているのではないかと過度に心配し、検査で異常がなくても納得せず、多くの医療機関を受診(ドクターショッピング)するパニック障害・解離性障害・強迫性障害・PTSDとは区別する——「多くの医療機関を受診する」がキーワードなら心気障害。

4-5 ストレス関連障害(PTSD・適応障害)

明確なストレス因のあとに生じる障害で、PTSD(強い外傷体験)適応障害(日常的ストレス)を対比します。

PTSD(心的外傷後ストレス障害)適応障害
原因生命を脅かす強い外傷体験(災害・犯罪・事故)明確だが日常的なストレス(時に喜ばしい出来事でも)
症状再体験(フラッシュバック)・回避・過覚醒抑うつ・不安・素行の異常
合併うつ病・全般不安症・物質依存を合併しやすい

PTSDのひっかけ:PTSDは大災害の被災者や犯罪被害者に多く、フラッシュバックなどの再体験症状がみられる。「画像検査で器質的脳損傷を認める」「身体の受傷と後遺症が原因」は誤り——PTSDは器質的損傷ではなく心的外傷が原因うつ病・全般不安症・薬物依存のいずれかを合併しやすい

適応障害のひっかけ:適応障害は明確なストレスで引き起こされ、抑うつ/不安、時に素行の異常を伴い、喜ばしい出来事(昇進・結婚)が引き金になることもある「長時間の手洗いや確認行動」は強迫症の症状であり、適応障害の説明ではない

次章へ:心因性を押さえたら、最後は内因性の代表・統合失調症パーソナリティ障害・その他へ。第5章 統合失調症・パーソナリティ障害・その他で、陽性/陰性症状・下位分類・治療・症状評価尺度を整理します。統合失調症の思考の障害は失語症との鑑別にも関わります。