第5章|統合失調症・パーソナリティ障害・その他

対応過去問 13問/難易度 ★★★★☆
📝 このノートはAI編集部が過去問から作成した学習用まとめです。基礎医学領域は専門監修前のため、診断基準・数値・薬剤などの細部は必ず成書・最新ガイドラインで確認してください。
この章のねらい:統合失調症は内因性精神障害の代表で、陽性症状(幻覚・妄想・思考の障害)/陰性症状(感情鈍麻・意欲低下)の区別が核。STにとっては、統合失調症の連合弛緩・滅裂な発話失語症のジャルゴンと鑑別する視点や、治療としてのSST(社会生活技能訓練)が重要です。症状評価尺度・心理検査心理測定法臨床心理学と、行動療法の原理は学習心理学とつながります。

5-1 統合失調症の症状・疫学・下位分類

統合失調症は陽性症状と陰性症状で理解します。疫学の数字と下位分類が問われます。

症状群内容
陽性症状幻覚(幻聴)・妄想・連合弛緩/滅裂思考・自我障害(考想伝播・させられ体験)・緊張病症状
陰性症状感情鈍麻・意欲低下・自閉・思考の貧困(治療抵抗性で予後に影響)
疫学のキー数字:生涯罹患率は約0.85%(0.5〜1%)発症頻度に大きな性差はない。好発は思春期〜青年期で、患者の多く(70〜80%)は30歳より前に発病。病因の一つに中枢のドパミン過剰仮説(減少ではない)。日本で入院患者が最も多い精神障害

統合失調症のひっかけ:「神経症性精神障害である」「幼児期に多く発症」「発症年齢が高いほど社会適応が不良」は誤り——統合失調症は内因性(精神病)で、思春期〜青年期に好発、発症が若いほど予後不良な傾向。「中枢のドパミン減少仮説」も誤りで、正しくはドパミン過剰仮説

下位分類:破瓜型(解体型)=発症年齢が低く、陰性症状が主体で予後不良/緊張型=昏迷・興奮/妄想型=妄想・幻覚が主体で比較的発症が遅い。破瓜型は「発症年齢が低い」がキーワード(「陰性症状に乏しい・予後良好」は誤り)。

5-2 統合失調症の治療と症状評価

治療は薬物療法が中心、そこにリハビリテーション(SST)を組み合わせます。

治療の原則:急性期は抗精神病薬(ドパミン遮断)中心。安定期はSST(社会生活技能訓練)・ストレスマネジメント・心理教育。症状消失後も再発予防のため長期の薬物療法を維持し、通院継続のため自立支援医療制度を利用する。

治療のひっかけ:「病状の安定期には精神分析療法が有効」は誤り——統合失調症に精神分析は基本的に適応でなく、安定期はSST・ストレスマネジメントなどの心理社会的リハが中心。薬物療法中心・長期維持・自立支援医療は正しい。

症状評価尺度:統合失調症の症状評価に最も適するのは陽性・陰性症状評価尺度(PANSS)文章完成法(SCT)・ロールシャッハ・MMPIは人格検査、改訂長谷川式(HDS-R)は認知症スクリーニングで、統合失調症の症状評価そのものではない。

5-3 パーソナリティ障害

パーソナリティ障害は偏った考え方・感情・行動のパターンが持続し、本人や周囲が困る状態。国試頻出は境界性強迫性です。

タイプ特徴
境界性PD対人関係・自己像・感情の不安定、著しい衝動性・見捨てられ不安・自傷/薬物乱用・空虚感・強い苛立ち
強迫性PD過度に几帳面・融通がきかない・完全主義・秩序へのこだわり
自己愛性PD誇大性・賞賛欲求・共感の欠如
回避性PD社会的抑制・不全感・否定的評価への過敏
依存性PD世話をされたい過剰な欲求・従属的でしがみつく

境界性PDのひっかけ:DSM-5の境界性PDは「対人関係・自己像・感情の不安定と著しい衝動性」「他者との交流を避ける」は誤り——境界性はむしろ見捨てられ不安から激しく人にしがみつく/巻き込む。自傷・薬物乱用・空虚感・強い不快感や苛立ちは正しい。誇大性(自己愛性)・社会的抑制(回避性)・従属(依存性)と混同しない。

強迫性PD:「過度に几帳面・融通がきかない・完全癖」が特徴=強迫性パーソナリティ障害。演技性・統合失調質・情緒不安定性(境界)・回避性と区別する。強迫「症」(4-3)とは別概念で、PDは性格の偏りが持続する点に注目。

5-4 気質類型論・パーソナリティ理論

性格を体型や類型で分ける古典理論からの出題です。人名と概念の組合せが問われます。

理論家概念
クレッチマー体型と気質の対応(細長型=分裂気質/肥満型=循環気質/闘士型=粘着気質)
ユング内向/外向
アイゼンク特性論(外向性・神経症傾向)

組合せのひっかけ:正しいのはクレッチマー ― 分裂気質「闘士型」はクレッチマーの体型で気質類型(アイゼンクの概念ではない)、「神経症傾向」はアイゼンク(ユングではない)など、人名と概念のすり替えが定番。循環気質=肥満型もクレッチマー

5-5 摂食障害・睡眠障害・その他

その他の頻出テーマとして摂食障害・睡眠障害・精神分析の発達理論を押さえます。

神経性無食欲症(神経性やせ症):若い女性に多く(男性より女性)やせているのに体重増加への強い恐怖ボディイメージの歪み(体型の体験・意味づけがゆがむ)病識に乏しいのが特徴。自尊感情が低くうつ状態を伴いやすい。「不安障害の一つ」「薬物療法は無効」「家族関係は良好」「入院治療は不要」はいずれも誤り。

不眠症のひっかけ:正しいのは日中の活動への影響を伴う・身体疾患が原因の一つ「まず睡眠薬を使う」「十分な昼寝で補う」「寝酒が有効」は誤り——治療はまず睡眠衛生指導が基本で、昼寝や寝酒(アルコール)はかえって睡眠を乱す。

精神分析の発達段階(参考):フロイトのリビドー(心理性的)発達は口唇期 → 肛門期 → 男根期 → 潜伏期 → 性器期の順。「抵抗期」はこの発達段階に含まれない(=リビドー発達段階でないものを選ぶ問題で狙われる)。
まとめ:精神医学は「症状用語 → 疾患 → 治療・対応」の3層で貫けば、5章すべてがつながります。STの臨床では、器質か機能か・言語障害か精神症状かを見分ける鑑別力、うつ・不安への配慮SSTや行動療法の発想として生きてきます。総論の症状用語(第1章)に迷ったら、高次脳機能障害臨床神経学と往復して固めてください。