第2章|喉頭・声帯の解剖と喉頭筋

対応過去問 8問/難易度 ★★★★☆
📝 このノートはAI編集部が過去問から作成した学習用まとめです。基礎医学領域は専門監修前のため、診断基準・数値・薬剤などの細部は必ず成書・最新ガイドラインで確認してください。
この章のねらい:喉頭・声帯は「声の音源」そのものです。ここで作る喉頭の構造・声帯の層構造・内喉頭筋の作用の地図は、音声学の音源フィルタ理論、音声障害の声帯結節・ポリープ・声帯麻痺の理解に直結します。とくに「唯一の外転筋=後輪状披裂筋」は、反回神経麻痺(運動障害性構音障害・嗄声)を読むうえで最重要のキーワードです。

2-1 喉頭の骨格と喉頭腔・声道

喉頭は喉頭軟骨で枠組みが作られ、その内側の空間が喉頭腔です。正中矢状断では、前方に喉頭蓋 → 舌骨 → 喉頭前庭 → 声帯 → 気管が縦に並びます(後方は脊柱)。

喉頭軟骨要点
甲状軟骨喉頭の前面(喉頭隆起=のどぼとけ)。声帯前端が付着
輪状軟骨唯一の完全な輪(気道を全周で支える)。輪状甲状関節・輪状披裂関節をなす
披裂軟骨(左右一対)声帯後端が付着。声門の開閉(外転・内転)の要
喉頭蓋軟骨嚥下時に喉頭口を覆い、気道への流入を防ぐ

喉頭腔の区分と声道

喉頭腔は声帯を境に喉頭前庭(声帯より上)・声門・声門下腔に分かれます。声を「共鳴させる管」は声道と呼びます。

声道=声門より上の共鳴腔=鼻腔・口腔・咽頭・喉頭(声門上部)。音源(声帯)で作られた音を色づける管。気管は声門より下にあり呼気の供給路であって、声道には含まれない

矢状断の名称ひっかけ:正中矢状断で前方に見えるのは喉頭蓋・舌骨体・喉頭前庭・気管腔などの気道/喉頭の構造。前方の喉頭部を「第7頚椎」とするのは誤り(頚椎は後方の脊柱)。前が気道、後ろが脊柱と押さえる。

2-2 声帯の層構造(カバー/ボディ)

声帯はただの「ひも」ではなく、やわらかい表層とかたい深層の多層構造です。この構造が粘膜波動(次章)を生みます。

組成力学的役割
粘膜上皮重層扁平上皮(摩擦に耐える)カバーの最表層
粘膜固有層 浅層
ラインケ腔
間質液と弾性線維(やわらかい)振動を担う
粘膜固有層 中〜深層弾性線維・膠原線維(声帯靱帯)移行部
声帯筋(甲状披裂筋)剛性を担う
カバー/ボディ理論:カバー=上皮+粘膜固有層浅層(やわらかく振動の主体)、ボディ=声帯筋(剛性を担う)。この「やわらかいカバーがボディの上を波打つ」ことで規則的な声帯振動が生まれる。

声帯粘膜の上皮のひっかけ:声帯膜様部の粘膜上皮は重層扁平上皮。「多列線毛上皮」とするのは誤り(線毛上皮は気管側)。浅層=ラインケ腔(間質液+弾性線維)、深層=膠原線維(声帯靱帯)は正しい。

2-3 内喉頭筋の作用(外転・内転・緊張)

喉頭筋は「声門をどうするか」で覚えます。開くのは1つだけ、あとは閉じる/緊張させる——これが最短ルートです。

内喉頭筋作用声門への効果
後輪状披裂筋(PCA)唯一の外転筋開く(呼吸・無声子音で活動)
外側輪状披裂筋(LCA)内転閉じる
披裂筋(横・斜)内転(声門後部を閉じる)閉じる
甲状披裂筋(声帯筋)内転・声帯を短縮/緊張調節閉じる・振動本体
輪状甲状筋(CT)声帯を前後に伸展・緊張高音化(声を高くする)
唯一の外転筋=後輪状披裂筋(PCA)。声門を開くのはこの筋だけ。だから呼吸時と無声子音の産生時に活動し、声帯を閉じて振動させる有声音では活動しない。外側輪状披裂筋(内転)の拮抗筋=後輪状披裂筋(外転)
無声/有声と筋活動:「いし[ɕ]」「いき[k]」のような無声子音では声門を開く=後輪状披裂筋が活動。「いじ・いぎ・いみ」など有声音では内転筋が働く。声帯外転=無声と結びつける。

輪状甲状筋のひっかけ:輪状甲状筋の収縮で起こる主変化は「声が高くなる」(声帯を伸展・緊張させ基本周波数を上げる)。「声が大きくなる(=呼気圧・声門閉鎖)」「声門が開大する(=後輪状披裂筋)」ではない。声の高さの調節に深く関わるのは輪状甲状筋と甲状披裂筋

神経支配の伏線:内喉頭筋のうち輪状甲状筋だけが上喉頭神経(外枝)支配、残りはすべて反回神経支配です。だから反回神経が麻痺すると外転筋(後輪状披裂筋)が働かず声門が開けない/閉じられず嗄声・声帯麻痺になる——この神経支配は次章で発声の生理と一緒に整理します。臨床は音声障害運動障害性構音障害へ。