この章のねらい:ここは「STという仕事そのもの」を問う総論の入口です。国試では毎回、言語聴覚士法・業務範囲・倫理・歴史・多職種連携・高齢者領域が定位置で出ます。丸暗記より「なぜそのルールがあるのか」で押さえると、初見の選択肢でも判断できます。とくに本来業務と診療の補助の線引きは毎年の得点源です。
1-1 言語聴覚士とことばの障害の全体像
言語聴覚士(Speech-Language-Hearing Therapist:ST)は、音声機能・言語機能・聴覚に障害のある者に対して、機能の維持向上を図るための訓練・検査・助言・指導その他の援助を行う専門職です(言語聴覚士法 第2条)。
資格の性質:言語聴覚士は名称独占資格(有資格者でなければ「言語聴覚士」の名称を使えない)であって、業務独占ではない(訓練という行為そのものは他職種が行っても違法ではない)。1997年(平成9年)制定・1998年(平成10年)施行と、リハ専門職(PT/OT=1965年)より歴史が新しい点も問われる。
STが関わる5つの障害領域
| 領域 | 主な対象 | キーワード |
| 失語・高次脳機能障害 | 失語症・記憶/注意/遂行機能障害・失行・失認 | 言語(記号体系)と認知 |
| 言語発達障害 | 言語発達遅滞・知的障害・自閉スペクトラム症・LD | ことばの育ち |
| 発声発語障害 | 構音障害(機能性/器質性/運動障害性)・音声障害・吃音 | 話しことばの産生 |
| 聴覚障害 | 難聴(伝音/感音)・補聴器・人工内耳・小児/成人聴覚 | 聞こえ |
| 摂食嚥下障害 | 先行〜食道期の障害・誤嚥・栄養 | 食べる・飲み込む |
ノートの地図:これら各領域の「障害↔症状↔訓練法」の対応は
第3章の対応マップで横断整理し、各論ノート(失語症・構音・音声・嚥下・聴覚など)へリンクします。
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この章の続きで扱う内容
- 1-2 言語聴覚士法と業務範囲(本来業務/診療の補助)
- 1-3 職業倫理・リスク管理・診療録
- 1-4 沿革(歴史)と制度・法体系
- 1-5 多職種連携・地域包括ケア
- 1-6 高齢者領域と保健・疫学の基礎