日本の社会保障は、憲法第25条の生存権(健康で文化的な最低限度の生活を営む権利)と第14条の法の下の平等を基盤にしています。国試では「社会保障制度の理念として誤っているのはどれか」という形で問われます。
| 理念(○) | 理念でない(×=ひっかけ) |
|---|---|
| 生存権の保障(憲法25条) | 婚姻の制限(基本的人権の侵害。かつての優生思想に通じ、現在は明確に否定される) |
| 法の下の平等(憲法14条) | |
| ノーマライゼーション(障害の有無にかかわらず地域で普通に暮らす) | |
| 自己決定の実現 |
日本の社会保障制度は、次の4部門(4本柱)から構成されます。ここが全章の背骨で、「社会保障でないのはどれか」型の頻出問題はほぼこの4本柱を知っていれば解けます。
| 部門 | 内容 | 主な例・根拠法 |
|---|---|---|
| 社会保険 | 保険料を主財源に、事前にリスクに備える(防貧) | 医療・年金・介護・雇用・労災の5種 |
| 公的扶助 | 租税を財源に、困窮者に最低生活を保障(救貧・資力調査あり) | 生活保護(生活保護法) |
| 社会福祉 | 支援を要する人への対人サービス | 児童・障害者・高齢者福祉(福祉六法) |
| 公衆衛生(および医療) | 感染症対策・健康増進・医療提供体制(予防) | 保健所・母子保健など |
これに、現金を給付する社会手当(児童手当など)を加えて整理することもあります。
4本柱に「含まれない」ひっかけ(頻出):
・教育=教育制度であって社会保障ではない。
・相互扶助=家族・地域のインフォーマルな助け合い。理念的な語ではあるが、制度としての社会保障の構成部門ではない。
・損害保険・生命保険=民間の任意保険で、公的な社会保障ではない。
「社会保障を構成するもの/制度でないのはどれか」で、これらが混ざっていたらそれが答え。
社会保険は医療・年金・介護・雇用・労災の5種です。それぞれの根拠法をセットで押さえます(詳細は第2章・第3章)。
| 社会保険 | 主な根拠法 |
|---|---|
| 医療保険 | 健康保険法・国民健康保険法・高齢者の医療の確保に関する法律(後期高齢者医療) |
| 年金保険 | 国民年金法・厚生年金保険法 |
| 介護保険 | 介護保険法 |
| 雇用保険 | 雇用保険法 |
| 労災保険 | 労働者災害補償保険法 |
「社会保険制度の根拠法に含まれないのはどれか」→発達障害者支援法(社会福祉・支援施策の法律で、社会保険ではない)。同様に生活保護法・障害者総合支援法も社会保険ではない点に注意。
社会保障の主要な機能は、大きく次の4つです。「機能として誤っているのはどれか」で頻出します。
| 機能 | 内容 |
|---|---|
| 生活安定・向上機能 | ナショナル・ミニマム(最低生活の保障)とセーフティ・ネット(生活リスクの安全網) |
| 所得再分配機能 | 所得の高い層から低い層へ再分配し、格差・不平等を是正(縮小)する |
| 社会統合機能 | 社会的な連帯・統合を支える |
| 経済安定機能 | 消費を下支えし景気変動を緩和(ビルトイン・スタビライザー) |
機能で「誤り」になる定番:
・所得格差の拡大→誤り。社会保障は再分配で格差を縮小する方向にはたらく(拡大はその逆)。
・自由競争を促す機能→誤り。社会保障は連帯による支え合い・再分配で、市場の自由競争とは逆方向。
「所得格差・不平等を是正する機能」は正しい(=再分配機能)。「拡大」と混同させるひっかけに注意。
イギリスのベヴァリッジ報告(1942年)は、社会保障が克服すべき対象として「5つの巨人(5つの巨悪)」を挙げました。組合せ問題で問われます。
| 5つの巨人(克服すべき社会悪) |
|---|
| 窮乏(欠乏)・疾病・無知・不潔・怠惰(無為) |
社会福祉(対人サービス)の中心となる基本法が福祉六法です。「社会福祉関係の法規はどれか」「社会福祉事業に該当しないのはどれか」で問われます。
| 福祉六法 | 対象 |
|---|---|
| 生活保護法 | 生活困窮者(公的扶助) |
| 児童福祉法 | 児童(18歳未満) |
| 身体障害者福祉法 | 身体障害者(18歳以上) |
| 知的障害者福祉法 | 知的障害者 |
| 老人福祉法 | 高齢者 |
| 母子及び父子並びに寡婦福祉法 | ひとり親家庭・寡婦 |
社会福祉/社会保険の取り違え(頻出):
・「社会福祉関係の法規はどれか」→生活保護法・障害者(自立支援/総合支援)法。介護保険法=社会保険、母体保護法・健康増進法=保健(公衆衛生)は社会福祉ではない。
・「社会福祉事業に該当しない(根拠法でない)のはどれか」→健康保険法(=医療保険・社会保険)。福祉六法とは区別する。