第3章|神経変性疾患・運動異常症

対応過去問 20問/難易度 ★★★★☆
📝 このノートはAI編集部が過去問から作成した学習用まとめです。基礎医学領域は専門監修前のため、診断基準・数値・薬剤などの細部は必ず成書・最新ガイドラインで確認してください。
この章のねらい:変性疾患は「ゆっくり進む」神経難病。STにとっての最重要ポイントは、パーキンソン病の運動低下性構音障害と、ALSや両側脳血管障害で生じる球麻痺・仮性球麻痺による構音障害・嚥下障害です。ここは運動障害性構音障害ノートの「原因疾患」そのもの。嚥下障害とも直結します。

3-1 パーキンソン病

中脳黒質のドパミン神経が変性し、線条体のドパミンが減る疾患。四大徴候を必ず言えるように。

四大徴候内容
安静時振戦丸薬まるめ運動。動作時にはむしろ軽減
筋強剛(固縮)他動運動での抵抗(歯車様・鉛管様)
無動・寡動動作の乏しさ・仮面様顔貌・小字症・小声
姿勢反射障害前傾姿勢・突進現象・小刻み歩行・易転倒
治療と長期合併症:治療の中心はL-ドーパ(レボドパ)。長期服用でwearing-off現象(薬効時間の短縮)・on-off現象・ジスキネジア(不随意運動)が出現する。これらは「病気の進行」ではなく「薬の長期使用に伴う変動」である点が頻出。
ST直結(構音):パーキンソン病の話し声は小声・単調(プロソディ低下)・気息性・早口/加速が特徴=運動低下性(hypokinetic)構音障害。訓練は大きく・はっきり(LSVTなど大きさへのアプローチ)が軸。詳しくは運動障害性構音障害ノートへ。

3-2 ALSと神経変性疾患の病変局在

筋萎縮性側索硬化症(ALS)は、上位運動ニューロンと下位運動ニューロンが「ともに」障害される代表疾患。筋萎縮・線維束攣縮・球麻痺が進行する。

ALSの陰性4徴(起こりにくいもの):①眼球運動障害 ②膀胱直腸障害 ③感覚障害 ④褥瘡——これらは(末期を除き)起こりにくい。逆に、体重減少・嚥下障害・構音障害・呼吸筋麻痺は進行する。知的機能は基本的に保たれる(一部で前頭側頭型認知症を合併)。

「疾患↔病変部位」の組合せ(頻出)

疾患主な病変部位
パーキンソン病中脳黒質
ALS脊髄前角細胞・皮質脊髄路(側索)
アルツハイマー病海馬・側頭頭頂葉
意味性認知症側頭葉前下部
ウェルニッケ脳症乳頭体・視床
組合せ問題は「疾患→部位」の縦マップを丸暗記するより、運動系(黒質=PD/前角=ALS)・記憶系(海馬=AD/乳頭体=ウェルニッケ)のグループで束ねると崩れにくい。

3-3 不随意運動と運動異常症

不随意運動代表疾患・特徴
舞踏運動(chorea)ハンチントン病(常染色体優性・尾状核萎縮・認知症/精神症状)
遅発性ジスキネジア抗精神病薬(ドパミン遮断薬)の長期使用→口・舌・顔面の反復運動
ミオクローヌス瞬間的な筋収縮(CJD・てんかんなど)
チックトゥレット症候群(音声チック・運動チック)

ひっかけ:口や舌がもぐもぐ動く口部ジスキネジアは「抗精神病薬の長期使用」で起こる遅発性ジスキネジアを第一に考える。パーキンソン病治療のジスキネジアはL-ドーパ長期使用によるもので、原因薬が逆(遮断 vs 補充)である点に注意。

3-4 球麻痺・仮性球麻痺と運動障害性構音障害・嚥下障害

STが臨床で必ず鑑別する2つ。障害される運動ニューロンの高さ(下位か上位か)で症状が正反対になります。

球麻痺(真性)仮性球麻痺(偽性)
障害部位延髄の運動核(疑核・舌下神経核)=下位運動ニューロン両側の皮質延髄路=上位運動ニューロン
萎縮あり・線維束攣縮あり萎縮なし
咽頭反射消失・低下亢進
筋緊張弛緩性痙性
特徴ALS・ワレンベルグ症候群など強制泣き笑い(情動失禁)・開鼻声・努力性・流涎・両側脳血管障害など
鑑別の決め手:「舌の萎縮・線維束攣縮」があれば球麻痺(下位)、「咽頭反射亢進・情動失禁(強制泣き笑い)」があれば仮性球麻痺(上位)。線維束攣縮=下位運動ニューロン障害のサイン。
ST直結(構音障害の分類):運動障害性構音障害は障害部位で分類される——弛緩性(下位)/痙性(上位・両側)/失調性(小脳)/運動低下性(PD)/運動過多性(不随意運動)/混合性(ALSなど)。球麻痺=弛緩性、仮性球麻痺=痙性に対応する。詳細は運動障害性構音障害、飲み込みの評価は嚥下障害ノートへ。
次章へ:第4章 認知症・脱髄・感染・頭痛。アルツハイマー病・レビー小体型認知症など、高次脳機能障害ノートと表裏一体の疾患群を扱います。