精神物理学(psychophysics)は、物理的な刺激の強さと心理的な感覚の強さの関係を数量的に扱う分野です。フェヒナー(Fechner)が創始しました。まず「閾(いき)」の用語を正確に区別します。
| 用語 | 意味 |
|---|---|
| 刺激閾(絶対閾) | ある感覚を生じさせる最小(最弱)の刺激強度 |
| 刺激頂 | 感覚を生じさせる最大の刺激強度(これ以上強くしても感覚は増えない・痛みに変わる) |
| 弁別閾(丁度可知差異・JND) | 2つの刺激の差を検出できる最小の差 |
| 標準刺激/適刺激 | 標準刺激=比較の基準に用いる刺激。適刺激=その感覚器に固有の刺激(目には光など) |
| 法則 | 提唱者 | 内容 |
|---|---|---|
| ウェーバーの法則 | Weber, E. | 弁別閾は基準刺激の強さに比例する(ΔI/I=一定=ウェーバー比) |
| フェヒナーの法則 | Fechner, G. | 感覚量は刺激強度の対数に比例する(S=k・logI) |
| スティーヴンスのべき法則 | Stevens, S. | 感覚量は刺激強度のべき乗に比例する(S=k・Iⁿ) |
信号検出理論は、刺激(信号)を「あり/なし」で判断する場面を、感度(d′)と判断基準(β)の2つに分けて扱います。同じ聞こえでも「聞こえたと言いやすい人/慎重な人」がいる——この反応の偏り(バイアス)を感度と切り分けられるのが利点で、聴覚・視覚の閾値測定の考え方の土台です。
網膜には2種類の視細胞があります。役割の違いが頻出です。
| 視細胞 | 働く条件 | 特徴 |
|---|---|---|
| 桿体(かんたい) | 暗所視(暗い所) | 感度が高い・色は弁別しない・網膜周辺部に多い(周辺視で優位) |
| 錐体(すいたい) | 明所視(明るい所) | 色覚を担う・中心窩に密集・解像度が高い |
ひっかけ:「周辺視―錐体」は誤り。網膜周辺部は桿体が優位なので、周辺視は桿体が担う。なお「群化―近接の要因」「知覚の恒常性」「陰性残像―補色」「仮現運動―最適時相」はいずれも正しい組合せ(周辺視―錐体だけが誤り)。
色がどう見えるかを説明する2つの古典的理論です。どちらが何を説明しやすいかが問われます。
| 理論 | 提唱者 | 要点/説明しやすい現象 |
|---|---|---|
| 三色説 | ヤング・ヘルムホルツ(Young-Helmholtz) | 赤・緑・青に感じる3種類の錐体の組合せで色を感じる。加法混色・色覚異常・錐体の種類を説明しやすい |
| 反対色説(対比色説) | ヘリング(Hering, E.) | 赤-緑・黄-青・白-黒の対(反対色)で処理される。補色残像(陰性残像)・色の対比・色の恒常性を説明しやすい |
三色説で説明しにくいもの:補色残像と色の対比(これらは反対色説の領分)。逆に加法混色・色覚異常・錐体の種類は三色説で説明できる。「反対色説で説明しやすいのは=補色残像」も頻出。
ばらばらの要素が「まとまり(ゲシュタルト)」として知覚されるのは、脳がプレグナンツの法則(簡潔化の傾向)に従って要素を群化(グルーピング)するためです。群化を導く要因を挙げます。
ひっかけ:「親近」はゲシュタルトの群化の要因ではない(近接・類同・閉合・よい連続はいずれも要因)。名前が似た「近接」との混同をねらう問題に注意。
私たちの知覚は、視覚・聴覚・触覚などの複数の感覚が相互に影響し合って成立します。代表的な現象を押さえます。
| 現象 | 内容(どの感覚が影響するか) |
|---|---|
| 腹話術効果 | 音源の定位が視覚に引っ張られる(人形の口が動くと声がそこから出て聞こえる) |
| マガーク効果 | 視覚(口の動き)が音韻の聞こえを変える(聴覚×視覚) |
| シャルパンティエ効果 | 同じ重さでも大きい方が軽く感じる(視覚×重量感覚) |
感覚間相互作用で「ない」もの:ストループ効果(文字の色と語の意味の干渉=同一感覚内・注意の干渉)とカクテルパーティ効果(聴覚内での選択的注意)は、複数の感覚モダリティの相互作用ではない。マガーク効果と混同しやすいので区別する。