第3章|先天異常・症候群

対応過去問 6問/難易度 ★★★★☆
📝 このノートはAI編集部が過去問から作成した学習用まとめです。基礎医学領域は専門監修前のため、診断基準・数値・薬剤などの細部は必ず成書・最新ガイドラインで確認してください。
この章のねらい:顔面・頭蓋の先天異常症候群は「症候群名 = どの部位の異常か」を1対1で覚えるのが攻略法です。STにとって重要なのは、トリーチャー・コリンズや第1第2鰓弓症候群が外耳奇形・伝音難聴を伴い聴覚障害に、小下顎・口蓋裂構音・摂食言語発達につながる点。小児科学とも大きく重なります。混同しやすい症候群の鑑別ポイントを表で整理します。

3-1 顔面の先天異常症候群(トリーチャー・コリンズ/第1第2鰓弓)

顔面の鰓弓(咽頭弓)の発生異常による症候群です。下顎・頬骨の低形成と外耳奇形・難聴が共通のキーワードです。

症候群主徴(キーワード)
トリーチャー・コリンズ症候群
(下顎顔面異骨症)
第1・第2鰓弓の発生異常。頬骨・下顎の低形成(両側性)・下眼瞼コロボーマ(部分欠損)・外耳奇形/伝音難聴・眼瞼裂の外下方傾斜顔面裂の一種とされる
第1第2鰓弓症候群
(半側顔面短小症)
下顎枝の形成不全・小耳症・顔面非対称(片側性)。ゴールデンハー症候群を含む
トリーチャー・コリンズにみられない所見=巨舌症:本症候群は下眼瞼欠損・鳥様顔貌・頬部低形成・耳介形成異常が定型。巨舌はダウン症候群・ベックウィズ‐ヴィーデマン症候群などの所見で、混同させるひっかけが出る。
「下顎枝の形成不全を特徴とする症候群」=第1第2鰓弓症候群:半側顔面短小症として下顎・外耳・顔面の片側性低形成をきたす。両側性のトリーチャー・コリンズと「片側 vs 両側」で対比して覚える。ダウン・ターナー・22q11.2・スタージ‐ウェーバーは下顎枝形成不全が主徴ではない。

3-2 頭蓋縫合早期癒合症(アペール/クルーゾン)

頭蓋の縫合が早く癒合し頭蓋変形をきたす病態です。代表的な2疾患を押さえます。

症候群特徴
アペール症候群頭蓋縫合早期癒合+手足の合指(趾)症(鑑別点)
クルーゾン症候群頭蓋縫合早期癒合+眼球突出・上顎低形成(頭蓋顔面異骨症)
「頭蓋骨縫合早期癒合症を伴う」=アペール・クルーゾン:この2つが代表。アペールは合指(趾)症を合併する点が鑑別。トリーチャー・コリンズ(下顎顔面)・ピエール・ロバン(小下顎)は縫合早期癒合ではない。ファン・デル・ヘーベ症候群(骨形成不全+青色強膜・難聴)とも区別。

3-3 症候群と症状の組合せ(頻出の正誤)

症候群名と代表症状の組合せの正誤が問われます。とくにダウン症候群の舌ピエール・ロバンの下顎のひっかけが定番です。

症候群正しい対応
22q11.2欠失症候群先天性鼻咽腔閉鎖不全症(口蓋・鼻咽腔の異常)
第1第2鰓弓症候群巨口症(顔面・口の形成異常)
スタージ・ウェーバー症候群顔面血管腫(三叉神経領域のポートワイン母斑)
トリーチャー・コリンズ症候群小下顎症・下眼瞼コロボーマ
ダウン症候群相対的巨舌・舌の突出(「小舌症」は誤り)
頻出ひっかけ①:「ダウン症候群=小舌症」は誤り。ダウン症は口腔が小さく舌が相対的に大きい巨舌・舌の突出
頻出ひっかけ②:「ピエール・ロバンは上顎が小さいため呼吸困難」は誤り——正しくは下顎が小さい(小下顎)→舌根沈下→気道閉塞。口蓋裂を合併しやすいのは正しい。「トリーチャー・コリンズは上眼瞼の部分欠損」も誤りで、正しくは下眼瞼コロボーマ。顔面裂の分類にはテシエ(Tessier)分類が知られる。
次章へ:先天異常から離れ、次は後天的な皮膚の傷あとです。第4章 瘢痕・熱傷で、ケロイド・肥厚性瘢痕の鑑別、熱傷の深達度分類と面積査定(9の法則/小児は5の法則)、電撃傷・化学熱傷を整理します。顔面・頸部の熱傷や瘢痕拘縮は開口・構音・摂食に影響し、STのリハビリ対象にもなります。