第1章|リハビリテーションの理念と障害のとらえ方

対応過去問 3問/難易度 ★★☆☆☆
📝 このノートはAI編集部が過去問から作成した学習用まとめです。基礎医学領域は専門監修前のため、診断基準・数値・薬剤などの細部は必ず成書・最新ガイドラインで確認してください。
この章のねらい:リハビリテーションを「機能回復訓練」とだけ考えると国試の定義問題は解けません。この章で扱う全人間的復権・ノーマライゼーション・ICFは、リハビリテーション医学の障害概念、言語聴覚障害総論のST像、医学総論の理念(ノーマライゼーション・ICF)と共通の土台です。STが扱うコミュニケーション障害・摂食嚥下障害も、ICFでは活動制限・参加制約としてとらえます(高次脳機能障害嚥下障害)。この章では過去問頻出の①リハとは何か ②理念に関連する語 ③ICFとICIDHを、引っかけ選択肢を軸に整理します。

1-1 リハビリテーションとは何か

この単元は「リハビリテーションの説明で正しいのはどれか」が定番です。リハビリテーションは単なる機能回復訓練ではなく、語源(re=再び/habilis=適した)が示すとおり「全人間的復権」「権利・名誉の回復」を意味します。

リハの本質(正しい)内容
全人間的復権・権利の回復語源どおり「再び適した状態へ」=人としての権利・尊厳を回復すること
ノーマライゼーションの具現化障害があっても地域で当たり前に暮らせる社会を実現する営みの一つ
早期開始発症・受傷の早期から開始するのが原則
福祉用具・環境調整の活用福祉用具や環境調整も積極的に用いて自立を支援する
「障害固定後に開始」「福祉用具を使わず自立」は誤り:障害が固定してから開始する/福祉用具を使用せず身辺的自立を目指すは、いずれもリハの考え方に反する引っかけ。リハは早期から開始し、福祉用具・環境調整も使って自立を支える。また、WHOが「5分野を規定した」という記述も誤りで、一般には医学・教育・職業・社会の4領域に分ける(→第2章)。

1-2 リハビリテーションの理念に関連する語

ここは「リハビリテーションの理念と関連しないのはどれか」が問われます。理念に関連する語(ADL・QOL・機能回復)と、関連しない語(安楽死・育成)を分けて覚えるのがポイントです。

理念に関連する理念に関連しない
ADL(日常生活活動)=自立の目標
QOL(生活の質)=向上が目的
機能回復=機能の回復・維持を図る
安楽死=生命を終わらせる行為で理念と相反する
育成育成医療(自立支援医療の一区分で児童の障害の軽減を図る医療給付制度)=制度名でありリハの理念語ではない
覚え方:リハの理念は「全人間的復権をめざし、機能回復・ADL自立・QOL向上・社会参加を図る」安楽死は生命倫理上リハと対立し、育成(育成医療)は制度の名前なので、この2つが「関連しない語」として並んだら選ぶ。

1-3 障害のとらえ方 — ICFとICIDH

障害のとらえ方は「ICFの構成要素でないのはどれか」が定番です。ICF(国際生活機能分類, 2001年)は、生活機能を「心身機能・身体構造」「活動」「参加」の3レベルでとらえ、そこに背景因子として「環境因子」「個人因子」を加えた相互作用モデルです。

ICFの構成要素内容
心身機能・身体構造体の働き・体の部分(生活機能のレベル)
活動課題・行為の遂行(実行状況と能力の両面で評価)
参加生活・人生場面への関わり
環境因子物的・人的・社会的環境(促進因子にも阻害因子にもなる背景因子)
個人因子年齢・性別・価値観など個人の特性(背景因子)
「社会的不利」はICFの用語ではない:社会的不利(handicap)は旧分類ICIDH(1980年)の用語で、ICFでは用いない。ICFでは否定的側面を「参加制約」と表現する。「社会的不利」「能力低下」「機能・形態障害」が選択肢に並んだらICIDHの用語と判断する。
ICIDH(1980・一方向の因果モデル)ICF(2001・双方向の相互作用モデル)
機能・形態障害心身機能・身体構造
能力低下活動(制限)
社会的不利参加(制約)
(背景の概念なし)環境因子・個人因子
ICFの特徴:障害をマイナス面だけでなく、生活機能というプラス面からとらえ直した点が最重要。STが扱うコミュニケーション障害・摂食嚥下障害も、ICFでは活動制限・参加制約としてとらえ、環境因子(AAC・周囲の理解)で参加を高める発想につながる。