📝 このノートはAI編集部が過去問から作成した学習用まとめです。基礎医学領域は専門監修前のため、診断基準・数値・薬剤などの細部は必ず成書・最新ガイドラインで確認してください。
この章のねらい:リハ医学で
最も出るのが
ICF(国際生活機能分類)です。ICFは「病気そのもの」ではなく
「生活・人生がどう営めているか」をみる枠組みで、失語症や構音障害を
「話せない(機能障害)」で終わらせず「会話ができない(活動)」「仕事・地域に戻れない(参加)」までとらえる、ST臨床の骨格です。
言語聴覚障害総論のリハ観と一体で押さえましょう。この章では
①リハとICFのとらえ方 ②ICFの構成要素 ③症状のICF分類 ④リハの適応・中止 ⑤障害像とリハ手段の対応を整理します。
1-1 リハビリテーションとは・障害のとらえ方(総論)
リハビリテーションの目的は臓器や機能の「正常化」ではなく、障害があっても人らしく生活・人生を再建すること(全人間的復権)です。機能回復・ADL・QOL・自立生活はこれに関連しますが、安楽死は無関係です。
WHOの健康・関連概念(20-1):WHOは健康を「身体的・精神的ならびに社会的に完全に良好な状態」と定義する。QOLは身体機能だけで評価しない/ICFは環境因子を考慮する/ノーマライゼーションは「機能の正常化」ではなく、障害があっても地域で普通に暮らせる社会をつくる考え方/リハの目的は臓器の正常化ではない。
理念の誤った組合せに注意(19-1):「ノーマライゼーション―コロニー(隔離施設)での生活」「ユニバーサルデザイン―障害者用に限定」は誤り。ノーマライゼーションは地域での普通の暮らし、ユニバーサルデザインは障害の有無にかかわらず誰もが使える設計。正しい組合せは「緩和ケア―尊厳の重視」「インフォームドコンセント―自己決定権の尊重」「ICF―肯定的側面を包括」。
1-2 ICF(国際生活機能分類)の構成要素
ICFは2001年にWHOがICIDH(国際障害分類)を改訂したもの。否定的な用語(機能障害・能力障害・社会的不利)をやめ、中立的な生活機能でとらえ直したのが最大の変更点です。
| ICFの構成要素 | 意味(肯定的側面) | 否定的側面(障害) |
| 心身機能・身体構造 | 体の働き・体の部分 | 機能障害 |
| 活動 | 課題・行為の遂行(歩く・着替える) | 活動制限 |
| 参加 | 生活・人生場面への関わり(仕事・社会参加) | 参加制約 |
| 背景因子=環境因子(外的)+個人因子(内的:年齢・性別・ライフスタイル等)/出発点は健康状態 |
ICFの「構成要素」を選ぶ(25-149・16-49):構成要素は「心身機能・身体構造」「活動」「参加」と背景因子(環境因子・個人因子)。機能障害・能力障害・社会的不利はICIDH(旧分類)の用語でICFの構成要素名ではない。「自立」「日常生活動作(ADL)」も構成要素の名前ではない。
ICFについて正しい(21-149):背景因子として個人因子と環境因子を設定した/健康状態を出発点としたが正しい。誤り=「社会的不利を活動とした」「概念にマイナスの表現を用いた」「能力障害を参加とした」(いずれもICIDH的な言い換え)。
ICFの基本性格(18-1):ICFは障害者だけでなく「すべての人」に関する分類である。ICD(国際疾病分類)の後継ではない(ICDは疾病、ICFは生活機能で役割が違う)。活動の否定的側面は活動制限(機能障害ではない)。
因子の分類で引っかけ(20-50):「ライフスタイルは環境因子」は誤り=個人因子。年齢は個人因子、調理は活動、ストレスは心身機能に含まれる。「その人自身の内的属性(年齢・性別・価値観・生活様式)=個人因子」「外の世界(物・人・制度)=環境因子」で切り分ける。
1-3 症状・生活行為のICF分類(機能障害・活動・参加)
ICF最頻出パターンが「この症状・行為はどのレベルか」を問う問題です。同じ人でも見る階層で名前が変わるのがポイント。
| レベル | 該当する例(過去問より) |
| 機能障害(心身機能・身体構造) | 構音障害・片麻痺・半側空間無視・感覚障害・失語症 |
| 活動制限 | 歩行障害・移動・更衣・排泄・調理・ボールを打つ |
| 参加制約 | 職場復帰困難・「テニスを楽しむこと」など社会的役割 |
参加制約はどれか(16-1):脳卒中患者で参加制約に当たるのは「職場復帰困難」。片麻痺・失語症・構音障害は機能障害、歩行障害は活動制限。
機能障害でないのはどれか(17-1):機能障害として適切でないのは「歩行障害」=活動レベル。構音障害・片麻痺・半側空間無視・感覚障害は機能障害。
「活動」に該当しないのはどれか(17-101):テニスの例で活動に当たらないのは「テニスを楽しむこと」=参加。コートまでの移動・ウェアの着脱・排泄・ボールを打つことは活動。
能力障害(=活動制限)の評価法(23-11):能力障害(活動レベル)をみるのはFIM・Barthel Index(ADL評価)。SF-36はQOL、%VCは呼吸機能(機能障害)、WAIS-IIIは知能で、活動レベルの評価ではない。※評価尺度は第3章で詳述。
ST接続:失語症を例にすると、
「語想起の低下(機能障害)」→「電話で用件を伝えられない(活動制限)」→「復職・地域活動ができない(参加制約)」と3レベルで広がります。訓練目標を機能だけに置かず、
失語症・
高次脳機能障害でも「活動・参加」まで見据えるのがICFの発想です。
1-4 リハビリテーションの適応・中止・基本原則
「今リハをしてよいか」の判断基準(アンダーソン・土肥の基準など)も頻出です。バイタルの異常値で中止・非実施を選ばせます。
リハを中止する(18-2):中止すべきは脈拍数35/分(高度徐脈)。収縮期120・拡張60・体温36.2℃・SpO2 99%はいずれも正常で中止理由にならない。
運動負荷を実施しない(24-11):実施を控えるのは体温39℃(発熱)と安静時収縮期血圧60mmHg(低血圧)。安静時脈拍60・SpO2 95%・拡張期90mmHgは運動可能な範囲。
疾患とリスク指標の組合せ(26-110):誤りは「多発筋炎―血清コリンエステラーゼ値」。多発筋炎はCK(クレアチンキナーゼ)でモニタする。正しい組合せ=脳梗塞―血圧/糖尿病―血糖値/急性心筋梗塞―心電図波形/慢性閉塞性肺疾患―経皮的酸素飽和度(SpO2)。
1-5 障害像とリハビリテーション手段の対応
「障害―手段」の組合せの正誤、運動療法の基本用語も総論として問われます。
誤った「障害―手段」の組合せ(15-11):誤りは
「運動性失語―人工喉頭」。人工喉頭は
喉頭摘出後の代用音声の道具で、運動性失語(発話の障害)とは無関係。正しい=構音障害―文字盤/顔面神経麻痺―マッサージ指導/嚥下障害―
嚥下造影検査/記憶障害―メモリーノート。
機能障害とリハ治療(27-110):誤りは「片麻痺―義肢療法」。片麻痺には装具療法を用い、義肢(義足・義手)は切断に対するもの。正しい=痙縮―ボツリヌス毒素療法/関節拘縮―関節可動域訓練/神経障害性疼痛―経皮的電気刺激(TENS)/閉塞性換気障害―筋持久力訓練。
「機能訓練」でないもの(22-151):機能訓練でないのは「脳性麻痺児へのVOCA使用訓練」。VOCA(音声出力コミュニケーションエイド)は失われた機能を補う代替・拡大コミュニケーション(AAC)=代償的アプローチで、機能そのものの回復訓練ではない。呼称訓練・構音訓練・流暢性促進訓練・語彙獲得訓練は機能訓練。
筋力増強訓練の基本用語(24-12):誤りは「等尺性運動は関節の動きを伴う」。等尺性(アイソメトリック)は関節を動かさず筋長一定で力を出す運動。正しい=遠心性収縮は筋が伸張しながら収縮/等速性運動は機器を用いる/MMT2は自動介助運動/MMT3は自動運動。