第2章|疾患別リハビリテーション

対応過去問 12問/難易度 ★★★☆☆
📝 このノートはAI編集部が過去問から作成した学習用まとめです。基礎医学領域は専門監修前のため、診断基準・数値・薬剤などの細部は必ず成書・最新ガイドラインで確認してください。
この章のねらい:STが最も多く出会う疾患は脳卒中——失語症・構音障害・嚥下障害・高次脳機能障害の背景です。片麻痺のADL原則(脱健着患・上り健下り患)を知っておくと、病棟でPT/OTと同じ言葉で動けます。運動障害性構音障害嚥下障害高次脳機能障害と往復して読みましょう。この章では①脳卒中 ②脊髄損傷 ③神経難病・がん ④呼吸器・内部障害のリハを整理します。

2-1 脳血管障害(脳卒中)のリハビリテーション

脳卒中リハは早期離床が基本。片麻痺のADLには「動作の向き」の原則があり、そこが繰り返し問われます。

動作原則(片麻痺)
更衣(着る/脱ぐ)脱健着患:脱ぐのは健側から・着るのは麻痺側(患側)から
階段昇降上り健・下り患:昇りは非麻痺側から・降りは麻痺側から
非麻痺側(健側)の手に持つ
車いす移乗車いすは非麻痺側に置く(健側から移る)
起き上がり仰臥位から非麻痺側へ寝返る/立ち上がりは重心を前方へ
脳血管障害リハの誤り(20-11):誤りは「階段昇降で麻痺側から昇る」。正しくは昇りは非麻痺側から(上り健・下り患)。早期離床・装具を用いた早期歩行練習・起立性低血圧への留意・更衣は麻痺側から、は正しい。
片麻痺ADLの誤り(17-110):誤りは「移乗の際、車いすを麻痺側寄りに置く」。車いすは非麻痺側に置く。着衣は麻痺側から、杖は非麻痺側、起き上がりは非麻痺側へ、立ち上がりは重心前方、は正しい。
急性期症例の対応で誤り(15-110):視床出血5日目・意識清明・経口摂取の可能性がある段階で誤りは「胃瘻を増設する」。早すぎる。座位訓練・肩関節亜脱臼防止(弛緩性麻痺の上肢)・失語症スクリーニング・回復期リハ病棟への転棟検討は適切。
脳卒中リハと効果(24-110):誤りは「ボツリヌス毒素治療―上下肢感覚改善」。ボツリヌス毒素は痙縮(筋緊張亢進)を緩める治療で感覚改善が目的ではない。短下肢装具―歩行改善/三角巾―肩手症候群予防/ADL訓練―スキル獲得/段差解消機―社会参加促進、は正しい。
心原性脳塞栓症(17-15):誤りは「穿通枝領域の梗塞が多い」。心原性塞栓は主幹動脈・皮質を含む大きな梗塞が多い(穿通枝の小梗塞=ラクナ梗塞は別機序)。非弁膜症性心房細動が原因・抗凝固薬で再発予防・症候が突発完成、は正しい。

2-2 脊髄損傷のリハビリテーション

脊髄損傷は「残存レベルでできる動作(ゴール)が決まる」のが要点。頚髄損傷では呼吸・自律神経・膀胱直腸も障害されます。

第5頚椎完全損傷で出現しないもの(16-11):出現しないのは「頭部感覚障害」。頭部・顔面の感覚は三叉神経(脳神経)支配で、頚髄より上のため保たれる。呼吸機能障害(横隔膜・肋間筋)・膀胱直腸障害・自律神経機能障害は出現する。
第7頚髄残存の自立ゴール(21-110):C7完全四肢麻痺で自立ゴールに適切でないのは「長下肢装具装着下での松葉杖歩行」。上肢機能が残っても歩行自立は困難で車いすが基本。起き上がり・移乗・車いす駆動・ベッド上の更衣は自立をめざせる。

2-3 神経難病・がんのリハビリテーション

ALS(筋萎縮性側索硬化症)と気管切開(22-110):誤りは「ボツリヌス毒素治療」。進行性に筋力が落ちるALSに筋弛緩薬は不適切。関節可動域訓練・摂食機能療法・意思伝達装置(コミュニケーション支援)・家族への吸引指導は適切な対応。
がんのリハビリテーション(23-12):誤りは「リンパ浮腫に対するマッサージは禁忌」。リンパ浮腫には用手的リンパドレナージ(複合的治療)を行い、禁忌ではない。悪液質で骨格筋量が減少・同化期は筋力増強訓練の適応・サイトカインが易疲労の要因・トータルペインはチーム医療で対応、は正しい。

2-4 呼吸器・内部障害のリハビリテーション

呼吸リハ(とくにCOPD)は運動耐容能の向上・排痰・呼吸法・栄養を柱に、全身運動を組み合わせます。

手技ポイント
口すぼめ呼吸呼気時に口をすぼめ気道内圧を保つ→気道の虚脱を防ぐ(COPDに有効)
腹式呼吸横隔膜を使う(COPDでは胸式より腹式を指導)
体位ドレナージ痰の貯留部位を上にして重力で排痰
スクイージング呼気時に胸郭を圧迫して排痰を助ける(吸気時ではない)
COPDに有効な呼吸法(27-11):有効なのは「口すぼめ呼吸」。少呼吸・胸式呼吸・下顎呼吸・陥没呼吸は不適切または異常呼吸(下顎・陥没呼吸は呼吸不全のサイン)。
COPD呼吸リハの誤り(28-110):誤りは「胸式呼吸を指導する」。COPDでは横隔膜を使う腹式呼吸を指導する。栄養指導・体位排痰法・息切れを聴取しながら・運動耐容能の向上を目標、は正しい。
呼吸リハの誤り(25-110):誤りは「スクイージングで吸気時に胸郭を圧迫する」。スクイージングは呼気時に胸郭を圧迫して排痰を促す。呼吸困難感の軽減・運動耐容能の改善・下肢運動トレーニングが有効・体位ドレナージは痰の貯留部位を上に、は正しい。
ST接続:呼吸は発声・発話・嚥下すべての土台です。呼気のコントロール(口すぼめ呼吸・腹式呼吸)や排痰の理解は、嚥下障害の呼吸・咳嗽(誤嚥物の喀出)や発声持続の臨床にそのままつながります。