言語聴覚士が実際に使う4つの因子 ——モーラ数(拍数)・使用頻度・表記(漢字/仮名)・カテゴリー—— で分類した語のリストです。目標音と拍位置(語頭・語中・語尾)でも絞り込めます。 このサイトのことばの教材は、すべてここから語を引いています。
訓練の材料を選ぶとき、言語聴覚士は「なんとなく簡単そうな語」を選んでいるわけではありません。 語の難しさを決める要因はいくつかあり、それぞれ別の障害像に対応しています。 材料を1因子ずつ動かせると、対象者がどこでつまずいているのかが読み取れます。
| 因子 | 何を変えるか | 読み取れること |
|---|---|---|
| モーラ数(拍数) | 語の長さ。2拍から8拍まで | 音韻の保持と系列の産出。長くなると崩れるならワーキングメモリや発話運動の持続 |
| 使用頻度 | 日常でよく使う語か、あまり使わない語か | 語彙へのアクセスのしやすさ。頻度が落ちると出なくなるのは失名詞の典型 |
| 表記 | 漢字・カタカナ・ひらがな | 読み書きの経路。仮名は音韻経由、漢字は語彙経由。どちらが残っているか |
| カテゴリー | 動物・野菜・道具など意味のまとまり | 意味のネットワーク。特定のカテゴリーだけ落ちる(カテゴリー特異性障害)ことがある |
この4つは互いに独立ではありません。たとえば頻度の低い語は長くなりがちですし、 カタカナ語は外来語なので特定のカテゴリーに偏ります。 だから一度に2つ以上動かさないのが基本です。 拍数を伸ばしたら頻度は据え置く。頻度を落としたら長さは変えない。 そうしないと、崩れた理由が分からなくなります。
このリストの「拍」は、文字数ではなくモーラ数です。日本語の音韻の単位で、 構音訓練でも失語症の評価でも、長さの指標として使うのはこちらです。
「学校」は文字にすると2字ですが、音としては4拍です。この違いが訓練では効いてきます。
構音訓練では、目標の音が語のどこに入っているかで難易度が変わります。 語頭は構えを作りやすく、語中は前後の音の影響を受けるのでいちばん難しい、というのが基本です。
下の表は、このリストの中に「その行の音が、その位置に入っている語」が何語あるかを示しています。 素材として使うには、1マスに20語くらいは欲しいところです。 赤いマスは 20語に届いていません。
ハ行とワ行の語尾がとても薄いのは、語彙の集め方が悪いからではありません。 日本語では、語の末尾に /h/ の音がほとんど立ちません (歴史的に語中・語尾のハ行はワ行に変化してしまったためです)。 ワ行の語尾も同じ事情で、ごく限られた語しかありません。
ここは語を足しても埋まらないところです。 この位置の練習をしたいときは、無理に単語を探すより、 無意味音節や短い句のレベルで扱うほうが現実的です。
条件を絞ってから「この一覧を印刷する」を押すと、絞り込んだ語だけがA4に並びます。 訓練中に手元に置いておく語彙表として使えます。 プリントの形にしたいときは「この条件でプリントを作る」から 構音プリントへ移れます。
収録しているのは、リハビリの場面で使いやすい一般的な語です。次のものは入れていません。
使用頻度の「高/低」は、日常生活での使われ方をもとにした2区分です。 厳密な頻度調査の数値ではなく、訓練材料を選ぶときの目安として付けています。 表記は、実際にプリントに印刷する形を採用しています (常用漢字にない語は仮名書きにしてあります)。
このリストは訓練材料の作成を目的としたもので、標準化された検査刺激ではありません。 対象者への適用は担当の専門職が判断してください。