第26回 言語聴覚士国家試験 第38問
音声学第26回
[d]と[ŋ]とが異なるのはどれか。
a.気音の有無
b.舌の形状
c.口蓋帆の高さ
d.唇の形状
e.声帯の振動
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — b,c
[d]と[ŋ]は舌の形状と口蓋帆の高さが異なります。[d]は舌尖が歯茎に接して閉鎖を作る音であり、[ŋ]は舌の後部が軟口蓋に接して鼻腔への通路を開く音です。この根本的な調音位置・方法の違いが、舌の形状と口蓋帆の状態に顕著に反映されます。
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【各選択肢の解説】
a. 気音の有無
❌ 誤り。[d]も[ŋ]も気音は存在しません。[d]は無気閉鎖音、[ŋ]は無気鼻音です。気音(aspirated)は音の後に息が続く特性で、これらの音には両者に共通してこの特性がありません。
b. 舌の形状
✅ 正しい。[d]は舌尖(舌の先端)が歯茎に接する「舌尖音」であり、舌の大部分が下方に位置します。一方[ŋ]は舌の後部(舌根)が軟口蓋に接する「舌根音」であり、舌全体が後方に引き上げられた形状となります。
c. 口蓋帆の高さ
✅ 正しい。[d]は口腔音であるため、口蓋帆は高く上げられ、鼻腔への通路は完全に遮断されています。一方[ŋ]は鼻音であるため、口蓋帆は低く下げられ、鼻腔が開放されます。これは[ŋ]の本質的な特性です。
d. 唇の形状
❌ 誤り。[d]も[ŋ]も、唇の形状には特に指定がなく(ともに円唇でない)、この特性では区別されません。両音ともに唇は中立的な位置にあります。
e. 声帯の振動
❌ 誤り。[d]も[ŋ]も有声音であり、両者ともに声帯が振動しています。この点では両音に差異がありません。
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【試験対策ポイント】
調音特性の3要素による分類:
| 特性 | [d] | [ŋ] |
|---|---|---|
| 調音位置 | 歯茎 | 軟口蓋 |
| 調音方法 | 閉鎖音(破裂音) | 鼻音 |
| 口蓋帆 | 高位(挙上) | 低位(下降) |
| 舌の部位 | 舌尖 | 舌根 |
| 有声性 | 有声 | 有声 |
| 気音性 | 無気 | 無気 |
重要な区別:
- [d]は舌**尖**、[ŋ]は舌**根** → 舌の形状が著しく異なる
- [d]は口腔音(口蓋帆挙上)、[ŋ]は鼻音(口蓋帆下降) → 最重要な違い
- 「気音」「声帯振動」「唇の形」では両音とも共通特性を持つ
頻出の誤り:
- [ŋ]を気音有りと誤解するケースあり(実際は無気)
- 「鼻音=特別な舌の形」と混同しやすいため、口蓋帆の役割を強調することが重要