第27回 言語聴覚士国家試験 第41問
聴覚心理学第27回
フォルマント周波数について誤っているのはどれか。
a.日本語5母音の弁別には第1フォルマント周波数(F1)と第2フォルマント周波数(F2)が手がかりになっている
b.同一母音では、成人より子どものほうがF1、F2が共に高い
c.声が高くなると、F1、F2が共に高くなる
d.声道の長さが短くなるほどF1は高くなり、F2は低くなる
e.声道の共鳴周波数がフォルマント周波数である
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — c,d
フォルマント周波数は声道の共鳴周波数であり、日本語5母音の弁別に不可欠です。誤りは「c 声が高くなるとF1,F2が共に高くなる」と「d 声道の長さが短くなるほどF1は高くなり、F2は低くなる」です。cは基本周波数と混同した誤り、dはF2の向きが逆です。
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【各選択肢の解説】
a. 日本語5母音の弁別には第1フォルマント周波数(F1)と第2フォルマント周波数(F2)が手がかりになっている
✅ 正しい。F1はフォーメント平面の縦軸(舌の前後位置に対応)、F2は横軸(口腔の開き具合に対応)として母音の音響的特性を決定し、日本語5母音(あいうえお)の聴覚的弁別に最も重要な役割を果たしています。
b. 同一母音では、成人より子どものほうがF1、F2が共に高い
✅ 正しい。子どもの声道長は成人より短いため、同じ母音でも子どもはF1・F2共に高い周波数を示します。これは音響的には異なる周波数でも、聴覚的には同じ母音として認識される重要な知見です。
c. 声が高くなると、F1、F2が共に高くなる
❌ 誤り。声の高さ(基本周波数F0)とフォルマント周波数は独立しています。F0が上がってもF1・F2は変わりません。これは音源(声帯振動)と音響共鳴(声道)が異なるメカニズムであることを示しています。高い声でも低い声でも「あ」の母音は同じF1・F2値を持ちます。
d. 声道の長さが短くなるほどF1は高くなり、F2は低くなる
❌ 誤り。声道が短くなるとF1・F2共に高くなります。フォルマント周波数は声道長に反比例し、声道長が短い(子ども・女性)ほど全てのフォルマント周波数が高周波にシフトします。「F2は低くなる」は誤りです。
e. 声道の共鳴周波数がフォルマント周波数である
✅ 正しい。フォルマント周波数は声道の形状によって決まる共鳴周波数そのものです。これは音声の音響的基盤を説明する重要な概念です。
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【試験対策ポイント】
重要な区別:基本周波数(F0)とフォルマント周波数(F1・F2)
| 項目 | 基本周波数(F0) | フォルマント周波数 |
|---|---|---|
| 決定要因 | 声帯の振動速度 | 声道の形状 |
| 音韻的役割 | なし(ピッチ) | あり(母音識別) |
| 性別・年齢の影響 | 受ける(子ども・女性は高い) | 受ける(声道が短いと高い) |
| 母音による変化 | なし | あり(大きく変化) |
フォルマント平面(F1×F2)での母音配置
- 日本語5母音:「あ」は左下、「い」は右上、「う」は中央やや左奥に位置
- F1の上下:舌の上下動(開いた母音ほど高い)
- F2の左右:舌の前後(前舌母音ほど高い)
声道長と全フォルマント周波数の関係
- 声道短い(子ども5~7cm) → フォルマント全体が高周波にシフト
- 声道長い(成人男性17~18cm) → フォルマント全体が低周波にシフト
- 比例関係: