第27回 言語聴覚士国家試験 第141問
聴覚心理学第27回
周波数のわずかに異なる二つの純音を連続的に提示し、どちらが高いかを
判断させた。誤っているのはどれか。
- 1.周波数弁別閾は正答率が75%となるときの2音の周波数差として求められる。
- 2.刺激音の周波数を大きくすると周波数弁別閾も単調に増加する。
- 3.刺激音の持続時間が長い方が周波数弁別閾が小さくなる。
- 4.相対弁別閾(比弁別閾)は刺激音が1~2kHzで最小値を示し、周波数の上昇に伴って増大する。
- 5.周波数弁別閾は臨界帯域幅に等しい。 ✓
正答:5番
解説
# 第27回 第141問 解説
■ 正答:5番 — 周波数弁別閾は臨界帯域幅に等しい。
周波数弁別閾(DLF)と臨界帯域幅(CB)は全く異なる概念です。周波数弁別閾は「2音の高さの違いを判別できる最小周波数差」であり、数Hz〜数十Hz程度の非常に小さな値です。一方、臨界帯域幅はマスキング現象に関わる聴覚フィルタの幅で、1kHz付近で約160Hz程度と桁違いに大きく、両者は等しくありません。
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【各選択肢の解説】
1. 周波数弁別閾は正答率が75%となるときの2音の周波数差として求められる。
✅ 正しい。2肢強制選択法(2AFC)では、チャンスレベル50%と完全正答100%の中間である**75%**を閾値として採用するのが標準的な心理物理学的手法です。
2. 刺激音の周波数を大きくすると周波数弁別閾も単調に増加する。
✅ 正しい。絶対的な周波数弁別閾(ΔF, Hz単位)は、基準周波数が高くなるにつれて概ね単調に増加することが知られています。低周波では数Hz、高周波では数十〜数百Hzとなります。
3. 刺激音の持続時間が長い方が周波数弁別閾が小さくなる。
✅ 正しい。持続時間が長いほど聴覚系は周波数情報を統合でき、弁別閾が小さく(弁別能が向上)なります。おおむね200ms程度までは持続時間とともに改善します。
4. 相対弁別閾(比弁別閾)は刺激音が1~2kHzで最小値を示し、周波数の上昇に伴って増大する。
✅ 正しい。相対弁別閾(ΔF/F, Weber比)は1〜2kHz付近で最小値(約0.2〜0.3%)を示し、それより高い周波数では増大します。これはヒトの聴覚が中音域で最も高い周波数解析能をもつことを反映しています。
5. 周波数弁別閾は臨界帯域幅に等しい。
❌ 誤り。これが正答です。周波数弁別閾は臨界帯域幅よりはるかに小さく(1kHzで弁別閾は約3Hz、臨界帯域幅は約160Hz)、両者はおよそ**30〜50倍の差**があります。測定原理も異なり、弁別閾は2音の比較課題、臨界帯域幅はマスキング実験で求められます。
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【試験対策ポイント】
**周波数弁別閾(DLF)と臨界帯域幅(CB)の区別**は国試頻出ポイントです。
| 概念 | 測定法 | 1kHzでの値 |
|---|---|---|
| **周波数弁別閾(ΔF)** | 2音の高さ比較 | 約3Hz |
| **臨界帯域幅(CB)** | マスキング実験 | 約160Hz |
| **相対弁別閾(ΔF/F)** | ΔFを基準周波数で割る | 約0.3%(1〜2kHzで最小)|
覚え方のポイント:
- 周波数弁別閾は「**2音を聴き比べる**」課題 → 非常に鋭敏(数Hz)
- 臨界帯域幅は「**マスキングの効く範囲**」 → 聴覚フィルタの幅(数十〜数百Hz)
- 両者は**桁が違う**ため「等しい」は明確な誤り
- 周波数弁別閾に影響する要因:**周波数(高いほど大)・持続時間(長いほど小)・音圧レベル**