多重貯蔵モデル(アトキンソン&シフリン)は、記憶を感覚記憶→短期記憶→長期記憶の3段階でとらえます。短期記憶はリハーサル(反復)で長期記憶に移されます。
| 段階 | 特徴 |
|---|---|
| 感覚記憶 | ごく短時間(数百ミリ秒〜数秒)保持。視覚=アイコニックメモリ/聴覚=エコイックメモリ |
| 短期記憶 | 容量は7±2チャンク・数十秒。リハーサルで維持 |
| 長期記憶 | 容量・保持時間ともにほぼ無制限 |
系列位置効果のひっかけ:系列位置効果はエビングハウスではなく後の記憶研究で示された(Ebbinghaus が報告したとするのは誤り)。中間部の成績が「良い」は誤り(悪い)。再生の前に妨害課題を挟むと新近部(短期記憶)が消える——初頭部ではなく新近部が大きく変化する点に注意。
ワーキングメモリ(作動記憶)は、バドリーが提唱した「情報を一時的に保持しながら同時に処理する」システムです。単なる貯蔵庫ではなく、能動的な作業台です。
| 下位システム | 役割 |
|---|---|
| 中央実行系 | システム全体を管理・制御し、注意資源を配分する司令塔 |
| 音韻ループ | 言語・音の情報を音声的に保持(言語性短期記憶) |
| 視空間スケッチパッド | 視覚・空間の情報を保持 |
| エピソード・バッファ | 各情報を統合し長期記憶と橋渡し(後に追加) |
誤りやすい記述:ワーキングメモリの「主要な神経基盤は海馬」は誤り。ワーキングメモリは主に前頭前野が担う。海馬はむしろ長期記憶(エピソード記憶)の形成・固定に関与する。
長期記憶は「ことばで説明できるか」で大きく2つに分かれます。組合せ問題が頻出です。
| 分類 | 内容 | 表現形式 |
|---|---|---|
| 宣言的(顕在)記憶 | エピソード記憶(出来事)・意味記憶(知識) | 命題(ことばで陳述できる) |
| 手続き的記憶 | 技能・習慣(自転車の乗り方など) | IF-THENルール(やり方として体で表現) |
覚えたことが失われる忘却には、いくつかの説明があります。エビングハウスの研究が古典です。
エビングハウスは無意味綴りを用い、再学習にかかる手間の減り(節約率)で保持量を測りました。節約率は学習直後に急速に低下し、その後はゆるやかに減少します。
レミニセンスは、学習直後より一定時間おいた方が、かえって再生成績が良くなる現象です(忘却曲線とは逆向きの一時的な回復)。
| 忘却の理論 | 内容 |
|---|---|
| 干渉説 | 他の記憶が妨げる(順向干渉/逆向干渉) |
| 検索失敗説 | 貯蔵はされているが手がかり不足で取り出せない |
| 抑圧説 | 不快な記憶が無意識に押し込められる(精神分析) |
| 減衰説 | 時間経過で記憶痕跡が薄れる |
忘却の理論でないもの:干渉説・検索失敗説・抑圧説は忘却の理論。一方、反応剥奪説(プレマックの原理に関する強化の説明)と末梢説(情動の理論=ジェームズ=ランゲ説)は、忘却の理論ではない。名前が紛らわしいので区別する。
転移とは、以前に学習したことが、のちの別の学習に影響を及ぼすことです。良い影響が正の転移、妨げる影響が負の転移です。
| 用語 | 内容 |
|---|---|
| 正の転移 | 先の学習が後の学習を促進する |
| 負の転移 | 先の学習が後の学習を妨害・抑制する |
| 両側性転移 | 一方の手で覚えた技能が反対の手の学習にも及ぶ |
| 練習の分散/集中 | 休憩を挟む分散練習は、詰め込む集中練習より保持に有利なことが多い |