第1章|炎症・創傷治癒・循環障害

対応過去問 7問/難易度 ★★★☆☆
📝 このノートはAI編集部が過去問から作成した学習用まとめです。基礎医学領域は専門監修前のため、診断基準・数値・薬剤などの細部は必ず成書・最新ガイドラインで確認してください。
この章のねらい:炎症・創傷治癒・循環障害は「病気の始まりの反応」で、病理の入口です。ここで扱う炎症・発熱・感染は、呼吸系の肺炎や内科学の感染症、医学総論の感染対策の背景になり、髄膜炎の髄液所見臨床神経学浮腫の機序内科学の心不全・ネフローゼに直結します。この章では過去問頻出の①炎症の5徴候 ②発熱・感染と炎症所見 ③創傷治癒の過程 ④浮腫と循環障害を、引っかけ選択肢を軸に整理します。

1-1 炎症の徴候と定義

この単元は「炎症の所見はどれか(=でないのはどれか)」が定番です。炎症の古典的5徴候をそのまま覚え、そこに紛れ込む腫瘍(癌)の所見を見抜きます。

炎症の5徴候内容
発赤血管拡張で赤くなる
腫脹血管透過性亢進で組織に水がたまり腫れる
発熱(熱感)局所の血流増加・全身では発熱物質による
疼痛起炎物質・圧迫による痛み
機能障害腫れ・痛みでその部位が動かしにくくなる
「転移」は炎症でなく腫瘍の所見:転移(metastasis)は癌細胞が原発巣から離れて別の場所で増える現象で、炎症とは別概念。「炎症の所見でないのはどれか」で転移が並んでいれば、それが答え。5徴候「発赤・腫脹・発熱・疼痛・機能障害」を丸ごと覚え、それ以外(転移・異型性など)を弾く。

1-2 発熱・感染と炎症所見

ここは「発熱の原因疾患でないのはどれか」「髄液所見と髄膜炎の型」が問われます。炎症・感染・腫瘍・自己免疫は発熱するが、単なるアレルギー性の気道狭窄(喘息)は発熱しないのが分かれ目です。

発熱する発熱の原因になりにくい
白血病(腫瘍熱・感染)・肺結核(微熱・盗汗)・亜急性甲状腺炎(疼痛と発熱)・全身性エリテマトーデス(自己免疫の全身炎症)気管支喘息=可逆的な気道狭窄(I型アレルギー)が本態で、合併感染がなければ発熱しない

髄膜炎は髄液の細胞の種類・糖で型を鑑別します。「多核白血球(好中球)が著明に増える」のは細菌性です。

疾患髄液所見
細菌性髄膜炎好中球(多核白血球)優位で著増・糖低下・蛋白増加
結核性髄膜炎リンパ球優位・糖低下
ウイルス性髄膜炎リンパ球優位・糖は正常
くも膜下出血血性髄液(赤血球)
脳梗塞髄液細胞は基本的に増えない
鑑別の軸:好中球優位=細菌性/リンパ球優位=結核性・ウイルス性糖低下=細菌性・結核性/糖正常=ウイルス性。「多核白血球(好中球)著増」と来たら細菌性髄膜炎と即答する。

1-3 創傷治癒の過程

創傷治癒は「止血→炎症→増殖→成熟」という順序で進み、各段階で働く細胞が決まっています。「創傷治癒への関与が少ないのはどれか」では、アレルギー・寄生虫で働く好酸球が答えの定番です。

段階主に働く細胞・役割
止血期血小板=止血+成長因子を放出して治癒を始動
炎症期好中球=細菌・壊死組織を処理/マクロファージ=壊死組織を貪食し成長因子を分泌(中心的役割)/リンパ球=免疫応答の調節
増殖期線維芽細胞=膠原線維を産生し肉芽・瘢痕を形成
関与が少ない好酸球=主にアレルギー・寄生虫感染で働き、治癒の主役ではない
治癒を「促進する処置/遅らせる処置」:現在の創傷治療では適度な湿潤環境の維持と壊死組織の除去(デブリードマン)が治癒を促す。洗浄は生理食塩水・水道水で行う。
消毒薬は治癒を遅らせる局所因子:消毒薬は細菌だけでなく正常な組織・細胞も傷害し、上皮化や肉芽形成を妨げる。「治癒を遅らせる局所因子はどれか」では創面への消毒薬の使用が答え。壊死組織の除去・生理食塩水での洗浄・ガーゼ被覆は治癒を妨げない(乾燥のほうが問題)。

1-4 浮腫と循環障害

浮腫は組織間質に水分が過剰にたまった状態で、その機序は4つに整理できます。「浮腫の原因で誤っているのはどれか」では、体液が減る方向の脱水が答えになります。

浮腫の4機序代表例
静脈圧(毛細血管静水圧)上昇心不全・静脈血栓(濾過が増える)
膠質浸透圧の低下低アルブミン血症(ネフローゼ・肝硬変・低栄養)
血管透過性の亢進炎症・アレルギー
リンパ管の閉塞リンパ還流障害(リンパ浮腫)
「脱水」は浮腫の原因ではない:脱水は細胞外液量が減少する病態で、水がたまる浮腫とは逆方向。4機序「静水圧↑・膠質浸透圧↓・透過性↑・リンパ閉塞」を覚え、そこに脱水が混ざっていれば即座に弾く。