PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第46回 理学療法士国家試験 午前 第89問

臨床心理学第46回午前

第46回 理学療法士国家試験 午前 第89問(臨床心理学)の正答は 4 です。外傷性脳損傷では、びまん性軸索損傷と、前頭葉・側頭葉底部に生じやすい脳挫傷によって広範なネットワークが障害されます。

問題
外傷性脳損傷後にみられやすい症状はどれか。
  1. 1. 運動失語
  2. 2. 着衣失行
  3. 3. 相貌失認
  4. 4. 全般性注意障害
  5. 5. 左半側空間無視

正答:4番

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解説
■ 正答:4番 — 全般性注意障害

外傷性脳損傷では、びまん性軸索損傷と、前頭葉・側頭葉底部に生じやすい脳挫傷によって広範なネットワークが障害されます。その結果、特定の巣症状よりも注意障害・記憶障害・遂行機能障害・社会的行動障害といった全般的な高次脳機能障害が前面に出ます。


【各選択肢の解説】

1. 運動失語
❌ 誤り。左前頭葉下前頭回(Broca野)の限局病変で生じ、中大脳動脈領域の脳梗塞で典型的にみられる巣症状です。
2. 着衣失行
❌ 誤り。主に右頭頂葉の病変で生じ、衣服の上下・裏表・袖と身体の関係が分からなくなります。脳血管障害での出現が典型的です。
3. 相貌失認
❌ 誤り。右または両側の後頭側頭葉(紡錘状回の顔領域)の病変で生じる、顔だけが識別できなくなる特異的な失認です。
4. 全般性注意障害
✅ 正しい。持続性・選択性・転換性・配分性の注意が広く低下し、「集中が続かない」「気が散る」「二つのことを同時にできない」といった訴えになります。外傷性脳損傷の中核症状です。
5. 左半側空間無視
❌ 誤り。右半球(特に右下頭頂小葉や側頭頭頂接合部)の限局病変で生じ、右中大脳動脈領域の脳梗塞で高頻度にみられます。

【試験対策ポイント】

「びまん性か、限局性か」で症状の性質が変わるのがこの問題の本質です。

  • 外傷性脳損傷(びまん性):注意障害・記憶障害・遂行機能障害・社会的行動障害(易怒性、脱抑制、意欲低下、依存性)の4本柱=行政上の高次脳機能障害の定義そのもの
  • 脳血管障害(限局性):失語・失行・失認・半側空間無視など、病巣に対応した巣症状が明確に出る
外傷性脳損傷の理学療法では、注意障害を踏まえて刺激の少ない静かな環境で、短時間・単純な課題から段階的に進めます。記憶障害にはメモリーノートやスケジュール表などの外的補助手段、遂行機能障害には手順の構造化と自己教示法を用います。社会的行動障害には、叱責せず環境調整と一貫した対応で行動を整えることが基本です。

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