PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第47回 理学療法士国家試験 午前 第85問

生理学第47回午前

第47回 理学療法士国家試験 午前 第85問(生理学)の正答は 4 です。神経線維の興奮伝導には「両側性伝導・絶縁性伝導・不減衰伝導」の3原則があります。

問題
1本の神経線維を電気刺激した場合の興奮伝導の説明で誤っているのはどれか。
  1. 1. 興奮は両方向に伝わる。
  2. 2. 興奮は太い線維ほど速く伝わる。
  3. 3. 有髄線維では跳躍伝導が起こる。
  4. 4. 興奮は隣接する別の線維に伝わる。
  5. 5. 興奮の大きさは変わらずに伝わる。

正答:4番

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解説
■ 正答:4番 — 興奮は隣接する別の線維に伝わる。

神経線維の興奮伝導には「両側性伝導・絶縁性伝導・不減衰伝導」の3原則があります。このうち絶縁性伝導とは、1本の神経線維に生じた興奮が、束のなかで隣接する他の線維へは伝わらないことを意味します。したがって「隣接する別の線維に伝わる」という記述は誤りです。


【各選択肢の解説】

1. 興奮は両方向に伝わる。
❌ 誤り(内容は正しい)。両側性伝導の原則です。線維の途中を刺激すれば興奮は中枢側にも末梢側にも伝わります。生体内で一方向にしか伝わらないように見えるのは、シナプスが一方向性(一方向性伝達)だからです。
2. 興奮は太い線維ほど速く伝わる。
❌ 誤り(内容は正しい)。直径が大きいほど軸索内の電気抵抗が小さく、伝導速度は速くなります。太い有髄のAα線維は約70〜120 m/秒、細い無髄のC線維は約0.5〜2 m/秒です。
3. 有髄線維では跳躍伝導が起こる。
❌ 誤り(内容は正しい)。髄鞘が絶縁体として働き、興奮は電位依存性Naチャネルが集中するRanvier絞輪を飛び飛びに伝わります。これにより伝導速度が大きく上がり、エネルギー消費も少なくて済みます。
4. 興奮は隣接する別の線維に伝わる。
✅ 正しい(=誤っているもの)。絶縁性伝導により、1本の線維の興奮は同じ神経束内の他の線維へは伝わりません。もし伝われば、触覚の刺激で運動が起きるなど情報が混線してしまいます。
5. 興奮の大きさは変わらずに伝わる。
❌ 誤り(内容は正しい)。不減衰伝導の原則です。活動電位は各部位で新たに発生し直すため、距離が離れても振幅は減衰しません。全か無かの法則とも関連します。

【試験対策ポイント】

神経線維の分類と伝導速度は数値で覚えておきましょう。

線維髄鞘直径伝導速度主な機能
Aα(Ia・Ib)有髄12〜20 µm70〜120 m/秒骨格筋運動・筋紡錘・腱器官
Aβ(II)有髄5〜12 µm30〜70 m/秒触圧覚
有髄3〜6 µm15〜30 m/秒錘内筋線維支配
Aδ(III)有髄2〜5 µm12〜30 m/秒速い痛み・冷覚
B有髄1〜3 µm3〜15 m/秒交感神経節前線維
C(IV)無髄0.4〜1.2 µm0.5〜2 m/秒遅い痛み・温覚・節後線維

伝導の3原則(両側性・絶縁性・不減衰)に対し、シナプス伝達は一方向性・シナプス遅延あり・易疲労性という正反対の性質をもちます。この対比が国試の定番です。また「太い線維ほど速い」「太い線維ほど圧迫に弱い(=圧迫麻痺では運動・触覚から障害される)」「局所麻酔薬は細い線維から効く(=痛覚から消える)」というセットも合わせて押さえると応用問題に強くなります。

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