PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第48回 理学療法士国家試験 午後 第94問

生理学第48回午後

第48回 理学療法士国家試験 午後 第94問(生理学)の正答は 4 です。慢性閉塞性肺疾患では換気不全によりCO₂が貯留し、呼吸性アシドーシスとなります。

問題
慢性閉塞性肺疾患による呼吸性アシドーシスで腎性の代償が起こって、状態が安定している。基準値と比べた場合の動脈血液所見として正しいのはどれか。
  1. 1. pH:上昇
  2. 2. PaCO₂:下降
  3. 3. PaO₂:上昇
  4. 4. HCO₃⁻:上昇
  5. 5. SaO₂:上昇

正答:4番

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解説
■ 正答:4番 — HCO₃⁻:上昇

慢性閉塞性肺疾患では換気不全によりCO₂が貯留し、呼吸性アシドーシスとなります。これに対して腎臓が重炭酸イオン(HCO₃⁻)の再吸収を増やして酸を緩衝するため、代償が完成した安定期にはHCO₃⁻が基準値より上昇します。


【各選択肢の解説】

1. pH:上昇
❌ 誤り。アシドーシスなのでpHは低下します。腎性代償によって基準値(7.35〜7.45)に近づきますが、基準値を超えて上昇することはありません。
2. PaCO₂:下降
❌ 誤り。呼吸性アシドーシスの原因そのものが肺胞低換気によるCO₂の貯留です。PaCO₂は基準値(35〜45 Torr)より上昇します。
3. PaO₂:上昇
❌ 誤り。COPDでは換気血流比不均等と肺胞低換気により酸素化が障害されるため、PaO₂は基準値(80〜100 Torr)より低下します。
4. HCO₃⁻:上昇
✅ 正しい。腎の尿細管でHCO₃⁻再吸収とH⁺排泄が亢進し、基準値(22〜26 mEq/L)を超えて上昇します。これが腎性代償の実体です。代償には数日を要するため、慢性の病態で成立します。
5. SaO₂:上昇
❌ 誤り。PaO₂の低下に伴い、動脈血酸素飽和度も低下します。

【試験対策ポイント】

酸塩基平衡は「pHの向き→一次性の異常→代償の向き」の3手順で判定します。

  • 呼吸性アシドーシス:PaCO₂↑ → 腎性代償でHCO₃⁻↑(COPD、呼吸筋麻痺、睡眠時無呼吸)
  • 呼吸性アルカローシス:PaCO₂↓ → 腎性代償でHCO₃⁻↓(過換気症候群、間質性肺炎の初期)
  • 代謝性アシドーシス:HCO₃⁻↓ → 呼吸性代償でPaCO₂↓(腎不全、糖尿病性ケトアシドーシス、下痢)
  • 代謝性アルカローシス:HCO₃⁻↑ → 呼吸性代償でPaCO₂↑(嘔吐、利尿薬)
代償は必ず一次性の変化と同じ向きに動く(PaCO₂↑ならHCO₃⁻も↑)のがポイントです。「pHを基準値に戻そうとする働き」であり、pHが基準値を越えて反対側に振れることはありません(過剰代償は起こらない)。

臨床的には、CO₂ナルコーシスに注意が必要です。慢性のCO₂貯留患者では呼吸の駆動が低酸素刺激に依存しているため、高濃度酸素を投与すると呼吸が抑制され意識障害に至ります。COPDの酸素療法ではSpO₂ 88〜92%程度を目標とします。

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