PTカコモン理学療法士国家試験 過去問・解説

第48回 理学療法士国家試験 午後 第95問

人間発達学第48回午後

第48回 理学療法士国家試験 午後 第95問(人間発達学)の正答は 4 です。加齢に伴い脊髄前角の運動ニューロン(前角細胞)は減少します。

問題
高齢者にみられる特徴はどれか。
  1. 1. 男性における前立腺の萎縮
  2. 2. 卵胞刺激ホルモンの低下
  3. 3. 歩行開始時の心拍数減少
  4. 4. 前角細胞数の減少
  5. 5. 立位時の骨盤前傾

正答:4番

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解説
■ 正答:4番 — 前角細胞数の減少

加齢に伴い脊髄前角の運動ニューロン(前角細胞)は減少します。1つの運動ニューロンが失われると、それが支配していた筋線維は他の運動単位に取り込まれるか脱神経性萎縮に陥るため、運動単位数の減少=筋力低下(サルコペニア)の重要な基盤となります。


【各選択肢の解説】

1. 男性における前立腺の萎縮
❌ 誤り。加齢に伴って前立腺は肥大します(前立腺肥大症)。60歳以上の男性の過半数にみられ、頻尿・残尿感・尿勢低下といった排尿障害の原因となります。
2. 卵胞刺激ホルモンの低下
❌ 誤り。閉経後は卵巣機能が低下してエストロゲンが減少し、視床下部・下垂体へのネガティブフィードバックが外れるため、FSH・LHはむしろ上昇します。
3. 歩行開始時の心拍数減少
❌ 誤り。加齢により心拍応答は鈍く(立ち上がりが遅く)なり最大心拍数も低下しますが、運動を開始すれば心拍数は増加します。減少することはありません。
4. 前角細胞数の減少
✅ 正しい。加齢による運動ニューロンの脱落は、とくに速筋線維(TypeⅡ)を支配する大型の運動ニューロンで目立ち、瞬発力の低下として現れます。
5. 立位時の骨盤前傾
❌ 誤り。高齢者では骨盤後傾と胸腰椎後弯(円背)が特徴で、股関節屈曲位・膝屈曲位をとりやすく、重心が後方に偏位します。

【試験対策ポイント】

加齢変化は「増える/減る」を混同しやすいので、増加するものを先に押さえます。

加齢で増加・上昇するもの:残気量、機能的残気量、収縮期血圧、脈圧、末梢血管抵抗、前立腺容積、FSH・LH(閉経後女性)、体脂肪率、骨盤後傾角、身体動揺(重心動揺)

加齢で減少・低下するもの:前角細胞数、運動単位数、速筋線維(TypeⅡ)の断面積、最大酸素摂取量、最大心拍数、肺活量・1秒量、腎血流量・糸球体濾過量、骨密度、皮膚の弾力、深部感覚・振動覚、暗順応能

姿勢の加齢変化は「円背・骨盤後傾・股関節屈曲・膝屈曲・足関節背屈」という一連のパターンで覚えます。この姿勢は重心を後方に偏位させ、後方への転倒リスクを高めるとともに、歩幅の減少・歩行速度の低下・すり足につながります。理学療法では脊柱伸展運動、股関節屈筋群のストレッチ、抗重力筋(大殿筋・脊柱起立筋・下腿三頭筋)の強化が中心になります。

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