抑揚の読み分け
同じことばを、ふつうに言う(。)・たずねる(?)・おどろく(!)の3通りに読み分けます。声の上がり下がりは矢印と線で示します。レベル5は場面を読んで、自分で言い方を決めます。
同じことばでも、言い方で意味が変わる
「雨、ふってる」は、下げれば報告、上げれば質問、強く言えば驚きです。話しことばでは、この上がり下がり(抑揚・プロソディ)が意味の一部を運んでいます。抑揚が平板になると、聞き手は質問なのか報告なのかがわからず、会話が噛み合わなくなります。
パーキンソン病などの運動障害性構音障害では、声の高さの幅が狭くなり、一本調子になりがちです。右半球損傷では、気持ちを声に乗せる、相手の声から気持ちを読む、の両方が苦手になることがあります。どちらも、語や文は言えるのに「伝わり方」が変わる、という困りごとになります。
レベル
| レベル | 中身 |
| 1 | 単語を3通りに(あした・ほんとう・おいしい など)5語 |
| 2 | 短い句を3通りに(雨が ふってる・もう 終わった など)5つ |
| 3 | 文を3通りに(明日は 晴れるらしい など)4文 |
| 4 | 12の文が、ばらばらの言い方で並ぶ。文末の矢印だけを見て読む |
| 5 | 場面を読んで、その気持ちに合う言い方を自分で選んで読む(答えは解答面) |
矢印は、下向き=ふつうに言う(文末が下がる)、上向き=たずねる(文末が上がる)、!=おどろく(高く始めて強く下がる)です。レベル1〜3では、矢印の横に声の高さの動きを線で描いています。
使い方
- まず聞き分けから… 本人が読む前に、STが3通りで読み、どれを言ったか当ててもらいます。聞き分けられない場合は、表出より先に聞き取りの練習が要ります。
- 大げさに… 抑揚が平板な方は、本人が「大げさすぎる」と感じるくらいでちょうど相手に伝わります。録音して聞き返すと、自分の声の平板さに気づきやすくなります。
- レベル4・5で自分で決める… 矢印が順に並んでいるうちは、型をなぞっているだけです。順番がばらばらのレベル4、場面から決めるレベル5で、意味に合わせて抑揚を選ぶ練習にします。
観察のポイント
- 上げられるか、下げられるか… 疑問の上がりだけが出ない、驚きの強さだけが出ない、など型が偏ります。出ない型を重点的に。
- 高さでなく大きさで代用していないか… 声の高さを変えられない方は、大きさや長さで区別しようとします。それも伝わる工夫ですが、高さの幅を広げる練習と並行してください。
- 場面の理解… レベル5で言い方を選び間違えるときは、抑揚の問題か、場面(気持ち)の読み取りの問題かを分けて見ます。
よくある質問
- 方言でも使えますか
- 使えます。語のアクセント(橋と箸の違い)は地域で変わりますが、文末を上げると質問、下げると報告、という区別は多くの地域で共通です。本人の地域の言い方で読んでかまいません。
- レベル5の答えは1つですか
- 場面ごとに一番自然な言い方を解答面に書いていますが、言い方の幅はあります。本人が選んだ理由を聞き、場面に合っていれば正解にしてください。
- 声の大きさの練習もできますか
- このプリントは高さの変化が中心です。声の大きさ(音量)の練習は、文を読む課題で「隣の部屋に届く声で」と指示する形で、物語音読などと組み合わせてください。
このページで作った教材は、臨床・授業・家庭学習で自由に印刷して使えます。
内容は言語聴覚士が監修していますが、対象者への適用の可否は担当の専門職が判断してください。