図形模写
左の見本を見ながら、右の空いた枠に同じ図形を写します。単純な図形から、立方体、重なった図形、部品の多い複合図形まで5段階です。
写した図の「どこが崩れたか」を見る
図形模写は、できた・できないより崩れ方に情報があります。同じ「写せなかった」でも、次の見方で中身が違います。
- 左側が欠ける… 立方体の左の面、複合図形の左の部品だけが抜ける。半側空間無視を疑う材料
- 部品はそろっているが、つながりがずれる… 線の数は合っているのに角が閉じない、交わる位置がずれる。構成障害で多い形
- 見本に重ねて描く(closing-in)… 右の枠ではなく見本の上や近くに描き始める。重度の構成障害でみられる
- 単純化する… 立方体が四角形1つになる、重なりが2つの離れた図形になる。立体の把握や、全体と部分の統合が苦しい
右半球損傷では全体の輪郭は崩れるのに細部は残りやすく、左半球損傷では輪郭は保たれるのに細部が抜けやすい、とよく言われます。目安なので決めつけには使わず、他の所見と合わせて見てください。
レベルの中身
- レベル1… まる・しかく・さんかく・十字などの単純図形(4問)
- レベル2… 2つの図形の組み合わせ。しかくの中にまる、対角線入りのしかく、旗、矢印(4問)
- レベル3… 立方体・円柱・四角すい・家などの立体や線画(3問)
- レベル4… 重なった五角形・重なったまるとしかくなど。MMSEの模写に近い形(3問)
- レベル5… 長方形に部品を3〜5個足した複合図形。毎回組み合わせが変わる(2問)
描く順番も記録する
複合図形では、どこから描き始めたかで方略が見えます。外枠から描いて中を埋める方は全体を先につかめています。端の部品から1つずつ足していく方は、部分から組み立てていて、途中で全体がずれやすい。可能なら、描いた順に色ペンを変えてもらうと後で読み返せます。
立方体が描けないとき
立方体はもともと難しい課題で、健常の高齢者でも崩れることがあります。立方体だけで判断せず、レベル2の平面の組み合わせが写せるかを先に確かめてください。平面が写せて立体だけ崩れるなら、奥行きの表現の問題として扱えます。
よくある質問
- 見本を見ないで描く(再生)にも使えますか
- 使えます。見本の側を紙で隠すか、見本だけ先に見せてから折って描いてもらってください。視覚性の記憶の課題になります。
- 枠からはみ出して描いてしまう
- はみ出し方も記録してください。右の枠の右寄りにだけ小さく描くなら、空間の使い方が右に偏っている可能性があります。
- 点を結ぶ形のほうがやりやすい方には
- 点図形は、格子点が手がかりになるぶん取り組みやすく、線の位置や長さのずれも数えやすい形です。
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内容は言語聴覚士が監修していますが、対象者への適用の可否は担当の専門職が判断してください。