第16回 言語聴覚士国家試験 第135問
音声学第16回
持続して発音できないのはどれか。
a.[I]
b.[ŋ]
c.[nj]
d.[ts]
e.[w]
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — d、e
持続して発音できない音(止音・破裂音)の特徴は、閉鎖が形成されて一気に開放される瞬間的な音響事象であり、持続的な気流を必要としません。[ts]と[w]がこれに該当します。一方、[I]、[ŋ]、[nj]は気流が持続的に通過するため、音を延長することが可能です。
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【各選択肢の解説】
a. [I]
✅ 正しい。持続して発音できます。[I]は前舌高母音で、舌が硬口蓋に接近した状態を保つ限り気流が側面を通過し続けるため、延長可能です(例:「いーーー」)。
b. [ŋ]
✅ 正しい。持続して発音できます。[ŋ]は軟口蓋鼻音で、軟口蓋を閉鎖しながら鼻腔を通じて気流が持続的に通過するため、延長可能です。
c. [nj]
✅ 正しい。持続して発音できます。[nj]は鼻音[n]と半母音[j]の複合で、両者とも気流遮断がなく(または一時的で)、継続可能な音響特性を持ちます。
d. [ts]
❌ 誤り。持続して発音できません。[ts]は摩擦音[s]の前に破裂音[t]を伴う音。破裂音[t]は舌尖と歯茎で瞬間的な閉鎖を形成し、それを開放する「閉鎖音」であり、本質的に瞬間的です。持続不可。
e. [w]
❌ 誤り。持続して発音できません。[w]は唇・軟口蓋半母音で、唇を丸めた狭い開口状態を素早く通過するため「瞬間性」を持ち、持続的な延長ができません。破裂音ほどではありませんが、瞬間音の性質を有します。
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【試験対策ポイント】
持続可能な音(継続音) vs 持続不可の音(瞬間音)の分類
| 音種 | 持続 | 理由 |
|---|---|---|
| **母音** | ◯ | 気流遮断なし → 無制限延長可 |
| **鼻音** | ◯ | 口腔閉鎖も鼻腔通過 → 延長可 |
| **摩擦音** | ◯ | 狭い通路で気流継続 → 延長可 |
| **破裂音/閉鎖音** | ✗ | 完全閉鎖→開放の瞬間性 → 延長不可 |
| **半母音** | ✗ | 非常に短い遷移 → 延長困難 |
| **破裂摩擦音** | ✗ | 破裂音成分 → 本質的に瞬間的 |
主要な瞬間音
- 破裂音:[p, b, t, d, k, g]
- 破裂摩擦音:[tʃ, dʒ, ts, dz]
- 半母音:[j, w, ɥ]
典型的な迷いやすいペア
- [n](鼻音→持続可)vs [t](破裂→持続不可)
- [s](摩擦→持続可)vs [ts](破裂摩擦→持続不可)
- [i](母音→持続可)vs [j](半母音→持続不可)