第16回 言語聴覚士国家試験 第136問
音声学第16回
硬口蓋化が起こり得ない音はどれか 。
a.[m]
b.[t]
c.[z]
d.[ç]
e.[j]
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — d.[ç]、e.[j]
硬口蓋化とは、音が硬口蓋との接触を増加させ、より前舌で調音される変化です。硬口蓋化が「起こり得ない音」は、すでに硬口蓋で調音される音(硬口蓋音)か、調音位置が後ろすぎて前進できない音です。[ç]と[j]はともに硬口蓋音であるため、さらに硬口蓋化することは不可能です。
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【各選択肢の解説】
a. [m]
✅ 硬口蓋化が起こり得ます。[m]は両唇鼻音ですが、軟口蓋鼻音[ŋ]への変化はコーアーティキュレーションにより調音位置が後退することはあります。逆に軟口蓋化(後退)することはありますが、硬口蓋化(前進)も音韻体系によって可能です。
b. [t]
✅ 硬口蓋化が起こり得ます。[t]は歯茎音(アルベオーラ音)ですが、より前方の硬口蓋との接触が増加して[t͡ʃ]のような音への硬口蓋化が可能です。多くの言語で観察される変化です。
c. [z]
✅ 硬口蓋化が起こり得ます。[z]は歯茎摩擦音ですが、硬口蓋化により[ʒ](後部歯茎摩擦音)への変化が可能です。言語によってはさらに硬口蓋化が進行することもあります。
d. [ç]
❌ 硬口蓋化が起こり得ません。[ç]は硬口蓋摩擦音であり、すでに硬口蓋で調音されています。さらに硬口蓋化することは調音位置的に不可能です。
e. [j]
❌ 硬口蓋化が起こり得ません。[j]は硬口蓋滑音(semi-vowel)で、舌背が硬口蓋に接近した状態で調音されます。すでに硬口蓋調音であるため、硬口蓋化の対象にはなり得ません。
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【試験対策ポイント】
硬口蓋化が「起こり得ない」条件:
- すでに硬口蓋音である([ç]、[j])
- これ以上前進できない調音位置
- 調音位置の後退化(軟口蓋化)が起こる場合はある
硬口蓋化が起こり得る音(d,e以外):
- [m]:両唇音 → 調音位置を後ろから前へ変化させ得る
- [t]:歯茎音 → [t͡ʃ]への変化
- [z]:歯茎摩擦音 → [ʒ]への変化
キーワード:
- 硬口蓋化=調音位置が舌背側(後方)へ移動する現象
- すでに硬口蓋で調音される音は硬口蓋化できない(冗長)