第16回 言語聴覚士国家試験 第137問
音声学第16回
第 I 音節と第2音節の頭子音が音声学的に異なるのはどれか 。
a.まんめん(満面)
b.かき(柿)
c.じじょう(事情)
d.せっすい(節水)
e.ぶんぼ(分母)
1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e
正答:3番
解説
■ 正答:3番 — b,c
この問題は、各単語の第1音節と第2音節の頭子音が「音声学的に異なるか」を判定する問題です。音声学的に異なるとは、調音位置・調音様式・声帯振動など音響特性が異なることを指します。
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【各選択肢の解説】
a. まんめん(満面)
❌ 誤り。「ん」→「め」で、どちらも両唇音(m音)です。[n]と[m]は異なる子音に見えますが、「ん」が「め」の前に来る場合、同化して[mm](両唇音+両唇音)となり、音声学的には同じ調音位置です。したがって第1音節と第2音節の頭子音は音声学的に同じ。
b. かき(柿)
✅ 正しい。第1音節は「か」[k](軟口蓋音)、第2音節は「き」[k'](硬口蓋音)です。どちらも[k]ですが、後続母音によって調音位置が変わります。[k](無色)と[k'](有色・前舌化)は音声学的に異なります。
c. じじょう(事情)
✅ 正しい。第1音節は「じ」[dʒ](歯茎後部音、アフリケート)、第2音節は「じょ」[dʒ'](硬口蓋音、アフリケート)です。後続母音により舌位置が変わり、音声学的に異なります。
d. せっすい(節水)
❌ 誤り。第1音節「せ」[s](歯茎音)、第2音節「す」[s](歯茎音)。どちらも歯茎摩擦音で調音位置は同じです。後続母音は異なりますが、頭子音の音声学的特性は同じ。
e. ぶんぼ(分母)
❌ 誤り。第1音節「ぶ」[b](両唇音)、第2音節「ぼ」[b](両唇音)。「ん」は鼻音で、「ぼ」の前では[m]に同化しますが、どちらも両唇音で調音位置は同じです。
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【試験対策ポイント】
| 単語 | 第1子音 | 第2子音 | 判定 | 理由 |
|---|---|---|---|---|
| まんめん | [m](両唇) | [m](両唇) | 同じ | 同化により両唇音+両唇音 |
| かき | [k](軟口蓋) | [k'](硬口蓋) | 異なる | 母音による舌位置の変化 |
| じじょう | [dʒ](歯茎後部) | [dʒ'](硬口蓋) | 異なる | 母音による舌位置の変化 |
| せっすい | [s](歯茎) | [s](歯茎) | 同じ | 同じ調音位置 |
| ぶんぼ | [b](両唇) | [b](両唇) | 同じ | 同化により両唇音+両唇音 |
**キーポイント**
- 日本語における「有色化」:[k]→[k']、[g]→[g']など、後続母音が非後舌母音(i,e)のとき舌位置が前移する
- 撥音「ん」の同化:直後の子音の調音位置に同化する(ん+m音→[mm]、ん+b音→[mb]などに同化)
- 音声学的に「異なる」=調音位置・様式・有声性など音響特性が変わることを意味する