第16回 言語聴覚士国家試験 第38問
音声学第16回
下線部の子音が必ず閉鎖を伴うのはどれか。
- 1.まずい
- 2.しぜん
- 3.はなぢ
- 4.つづき
- 5.おどり ✓
正答:5番
解説
■ 正答:5番 — おどり
「おどり」の「ど」に含まれる子音[d]は、必ず閉鎖を伴う閉鎖音(破裂音)です。これは舌が歯茎に接触して空気を完全に遮断し、その後放出する動作を含むため、物理的に閉鎖が必須です。
---
【各選択肢の解説】
1. まずい
❌ 誤り。「ず」の子音[z]は摩擦音です。舌と歯茎の間に隙間があり、空気を通して摩擦させるため、閉鎖を伴いません。
2. しぜん
❌ 誤り。「し」の子音[ʃ]と「ぜ」の子音[z]は両方とも摩擦音です。どちらも気流を通す隙間が必須で、閉鎖を伴いません。
3. はなぢ
❌ 誤り。「な」の子音[n]は鼻音で、舌が歯茎に接触しますが、空気は鼻腔を通るため完全な閉鎖ではなく、「口腔内での閉鎖を伴う」という厳密な意味での閉鎖を伴いません。「ぢ」の[d]は閉鎖音ですが、下線部は「な」です。
4. つづき
❌ 誤り。「つ」の子音[ts]は摩擦を伴う閉鎖音(破擦音)で、短時間の閉鎖後に摩擦が生じます。「づ」の[dz]も同様の破擦音です。ただし、下線部の指定がない場合、選択肢全体を見ると摩擦要素が含まれます。「つ」だけなら閉鎖を伴いますが、完全な閉鎖音ではなく、破擦音の特性上「摩擦」も伴うため、「必ず閉鎖を伴う」の厳密な解釈では除外されます。
5. おどり
✅ 正しい。「ど」の子音[d]は声帯が振動する有声閉鎖音(有声破裂音)です。舌が歯茎に完全に接触して空気を遮断し、その後放出するため、物理的に口腔内の閉鎖が必須で、必ず閉鎖を伴います。
---
【試験対策ポイント】
子音の分類(閉鎖を伴うか否か)
| 子音タイプ | 特徴 | 閉鎖を伴うか | 例 |
|---|---|---|---|
| 閉鎖音(破裂音) | 完全に空気を遮断→放出 | ✅ 必ず伴う | [p][b][t][d][k][g] |
| 摩擦音 | 隙間を通して空気を摩擦 | ❌ 伴わない | [f][v][s][z][ʃ][ʒ] |
| 破擦音 | 閉鎖後に摩擦が続く | △ 伴うが摩擦も伴う | [ts][dz][tʃ][dʒ] |
| 鼻音 | 口腔では閉鎖・鼻腔から放出 | △ 厳密には口腔内の完全閉鎖でない | [m][n][ŋ] |
| 側音 | 舌の側辺から気流が通る | ❌ 伴わない | [l] |
キーポイント:「必ず閉鎖を伴う」=閉鎖音のみ該当。破擦音や鼻音は閉鎖の後に別の動作が伴うため、「純粋な閉鎖のみ」という厳密な基準では異なる。