STカコモン — 言語聴覚士国家試験 過去問・解説

第18回 言語聴覚士国家試験 第136問

音声学第18回
子音の産出について誤っているのはどれか。 a.摩擦音は声帯振動を伴わない。 b.両唇破裂音では閉鎖区間において口腔内圧が高まる。 c.破擦音では破裂の直後に摩擦区間が存在する。 d.はじき(弾き)音では閉鎖が生じる。 e.接近音の方が摩擦音より狭めの程度が大きい。 1. a,b 2. a,e 3. b,c 4. c,d 5. d,e

正答:2番

解説
■ 正答:2番 — a,e 本問は「子音の産出メカニズム」に関する知識問題です。一見、複数の選択肢が正しく見えますが、「摩擦音と接近音の狭め程度」の違いを理解していることが鍵になります。aとeが誤りであり、b、c、dは正しい記述です。 --- 【各選択肢の解説】 a. 摩擦音は声帯振動を伴わない。 ❌ 誤り。摩擦音には「有声摩擦音」と「無声摩擦音」の両者が存在します。例えば、「ず」(有声歯茎摩擦音)や「ず行」は声帯振動を伴います。本選択肢は「摩擦音は常に無声である」という誤った前提に基づいています。 b. 両唇破裂音では閉鎖区間において口腔内圧が高まる。 ✅ 正しい。破裂音(/p/、/b/)は両唇で完全に閉鎖するため、呼気が閉鎖部位で圧力を高め、その後放出時に破裂音を生じます。この口腔内圧の上昇は破裂音の産出に不可欠な特徴です。 c. 破擦音では破裂の直後に摩擦区間が存在する。 ✅ 正しい。破擦音(/tʃ/「ち」、/dʒ/「じ」など)は、破裂区間と摩擦区間の両者を含む複合音です。破裂で閉鎖を開放した直後、同じ位置でやや狭い摩擦を形成します。 d. はじき(弾き)音では閉鎖が生じる。 ✅ 正しい。はじき音(例:英語の"r"、日本語の「ら行」の一部)は、舌が歯茎に短時間接触(閉鎖)し、その後素早く離れます。破裂音ほど明確ではありませんが、閉鎖相が存在します。 e. 接近音の方が摩擦音より狭めの程度が大きい。 ❌ 誤り。これは逆です。摩擦音の方が接近音より狭めの程度が大きく、気流に乱流を生じさせて摩擦音を形成します。接近音は狭いが、摩擦を生じないほどの開き具合(半母音的)を保ちます。 --- 【試験対策ポイント】 子音産出の狭め程度と音響特性 | 音のタイプ | 狭めの程度 | 音響特性 | 例 | |---|---|---|---| | 母音 | 最も開く | 共鳴音 | /a/、/i/ | | 接近音 | 狭い(ただし摩擦なし) | 共鳴音+ノイズ最小 | /j/「や」、/w/「わ」 | | 摩擦音 | さらに狭い(乱流発生) | 摩擦ノイズが支配的 | /s/「さ」、/z/「ず」 | | 破裂音 | 完全閉鎖 | バースト+摩擦 | /p/「ぱ」、/b/「ば」 | キーワード: - 摩擦音には有声・無声両者が存在する - 狭め程度:接近音 < 摩擦音(重要な区別) - 破擦音=破裂+摩擦(時間的連続体) - はじき音=短時間の接触・閉鎖を含む
関連

▶ 第18回 全問一覧

▶ 音声学 の過去問一覧