第20回 言語聴覚士国家試験 第1問
リハ医学第20回
正しいのはどれか。
- 1.WHOによると、健康とは身体的、精神的ならびに社会的に完全に良好な状態をいう。 ✓
- 2.ICFでは環境因子は考慮しない。
- 3.QOLは身体機能で評価される。
- 4.ノーマライゼーションとは機能を正常化することである。
- 5.リハビリテーションの目的は臓器の正常化である。
正答:1番
解説
■ 正答:1番 — WHOによると、健康とは身体的、精神的ならびに社会的に完全に良好な状態をいう。
WHO憲章(1946年)で採択された健康の定義は、単なる疾病や障害がないという消極的状態ではなく、身体的・精神的・社会的に良好な状態にあることを求める積極的定義です。これはリハビリテーションの理念的基盤となっており、受験生が最初に押さえるべき重要な知識です。
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【各選択肢の解説】
1. WHOによると、健康とは身体的、精神的ならびに社会的に完全に良好な状態をいう。
✅ 正しい。WHO憲章の健康の定義そのものです。身体的・精神的・社会的の3側面すべてが重要です。
2. ICFでは環境因子は考慮しない。
❌ 誤り。ICFの最大の特徴は「環境因子」を明示的に組み込んだことです。個人因子・健康状態・環境因子が相互作用して活動制限や参加制約が生じることを示しており、環境調整の重要性を強調しています。
3. QOLは身体機能で評価される。
❌ 誤り。QOL(生活の質)は身体機能だけでなく、心理的側面(満足度・幸福感)、社会的側面(人間関係・役割)、身体的側面を総合的に評価します。主観的・多次元的な概念であり、機能スコア単独では測定不可能です。
4. ノーマライゼーションとは機能を正常化することである。
❌ 誤り。ノーマライゼーションは「障害者が一般社会と同じ生活条件を得るべき」という理念で、機能正常化ではなく、環境・社会的障壁を除去することが本質です。たとえ機能が完全に回復しなくても、社会参加が可能な環境を整備することが目的です。
5. リハビリテーションの目的は臓器の正常化である。
❌ 誤り。リハビリテーションの目的は臓器レベルでの正常化ではなく、「活動」と「参加」の向上です。ICFの枠組みでは、個人因子と環境因子との相互作用の中で、生活の質(QOL)と社会参加の実現を目指しています。
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【試験対策ポイント】
重要概念の整理:
| 概念 | 内容 | 誤りやすい点 |
|---|---|---|
| WHO健康定義 | 身体的・精神的・社会的に良好な状態 | 「完全に」「良好」がポイント |
| ICF | 機能・身体構造、活動、参加、環境因子、個人因子 | 環境因子を無視しない(重要) |
| ノーマライゼーション | 社会的障壁除去・生活条件均等化 | 機能正常化ではない |
| QOL | 多次元的評価(身体・心理・社会) | 身体機能のみでは測定不可 |
| リハ目的 | 活動・参加の向上(ICF視点) | 臓器正常化ではない |
頻出ポイント:
- リハビリテーション医学の基本理念はWHO健康定義に始まる
- ICFと旧ICDFの大きな違いは環境因子の位置付け
- ノーマライゼーション=障害者自立支援法に反映された理念