第20回 言語聴覚士国家試験 第83問
音声学第20回
[pa]の産生に関与しないのはどれか。
- 1.下顎の運動
- 2.口唇の閉鎖
- 3.軟口蓋の挙上
- 4.舌尖と硬口蓋との接触 ✓
- 5.口唇の急激な開放
正答:4番
解説
■ 正答:4番 — 舌尖と硬口蓋との接触
[pa]は両唇破裂音(bilabial stop)であり、産生に必要な要素は「口唇での完全閉鎖」「軟口蓋の挙上」「肺からの呼気の急激な開放」です。舌尖と硬口蓋の接触は[ta]などの歯茎破裂音で必要ですが、[pa]には一切関与しません。
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【各選択肢の解説】
1. 下顎の運動
✅ 正しい。口唇を閉じるためには下顎が上方に引き上げられる必要があり、両唇破裂音[pa]の産生に関与します。
2. 口唇の閉鎖
✅ 正しい。[pa]は両唇破裂音(p)であり、上下の口唇が完全に接触して閉鎖を形成することが絶対条件です。これが破裂音の特徴です。
3. 軟口蓋の挙上
✅ 正しい。軟口蓋が挙上することで、鼻腔への気流を遮断し、口腔内に呼気を貯めることができます。軟口蓋が下がっていると鼻音化してしまいます。
4. 舌尖と硬口蓋との接触
❌ 誤り。これは[ta](歯茎破裂音)の産生に必要な要素です。[pa]は口唇での閉鎖であり、舌の位置は中立的であり、舌尖と硬口蓋の接触は不要です。
5. 口唇の急激な開放
✅ 正しい。口唇で閉鎖を形成した後、その閉鎖を急激に開放することで破裂的な音響が生じます。破裂音(stop/plosive)の本質的な特徴です。
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【試験対策ポイント】
破裂音(stops/plosives)の産生メカニズム
| 要素 | [pa] | [ta] | [ka] |
|---|---|---|---|
| 閉鎖位置 | 両唇 | 歯茎 | 軟口蓋 |
| 下顎運動 | 必要 | 必要 | 必要 |
| 軟口蓋挙上 | 必要 | 必要 | 必要 |
| 舌尖挙上 | 不要 | 必要 | 不要 |
| 口唇閉鎖 | 必須 | 不要 | 不要 |
主な破裂音と産生位置
- p/b:両唇(bilabial)→下顎と口唇の運動が重要
- t/d:歯茎(alveolar)→舌尖の挙上が必須
- k/g:軟口蓋(velar)→舌背の上昇が必須
全破裂音に共通する要素
- 軟口蓋挙上(口腔圧の確保・鼻音化防止)
- 閉鎖部位での完全な気流遮断
- 閉鎖の急激な開放(破裂的音響の生成)
- 下顎の協働(口唇・舌の正確な位置決めの補助)
舌と硬口蓋の接触が関与しない音
[pa][ba][fa][va]など両唇音すべてと、[ka][ga]などの軟口蓋音